徳川中期、時の先覚者として政治改革を理想に、非難と悪罵の怒号のなか、頑なまでに己の意思を貫き通す田沼意次。従来、賄賂政治の代名詞のような存在であった意次を、商業資本の台頭を見通した新進の政治家であったと云う視点で、不屈の人間像を描いている。山本周五郎の代表作「樅ノ木は残った」を連想させる作品だ。