「お若けえの、お待ちなせえやし」と云う歌舞伎の有名な台詞は 聴いたことがあるが、本書の主人公番随院長兵衛が云った言葉だったと、 巻末の開設を読んで初めて知った。なるほど、全編に思わず「いよっ」っと 声をかけたくなる物語だ。反面、現在の国内外の政治や会社の変革の 中で衝突するエネルギーを見る思いだ。池波正太郎の小説は奥が深い。