サジッタ&清史郎の部屋

相棒3頭と暮らす馬日記

馬は楽しいぞ~!!

2006-12-23 15:07:42 | 美子
今月初めの全日本学生女子選手権大会が終わり、現役引退となった美子ですが、後輩の面倒を見て力をつけさせるためには、自分が担当する馬をもっと良い状態に維持しないといけない。そのためには自分がもっと上手にならなければならないと言うことで、引退後も継続して練習に来ています。

私自身も美子に目前の試合がある訳ではないし、出来るだけ馬の楽しさを教えてやりたいと言う指導内用に変化しています。
だから改善のための注意は与えますが、以前のような罵声を浴びせることは有りません。もっとも・・・、美子自身も完全に一皮剥けた状態になっていますから、叱る必要がなくなったことも有ります。

今の時点で、美子が綺麗に乗れないのは私の調整が不十分な場合がほとんどで、納得できる状態で馬を渡すと、お世辞抜きで『美しいな~(注、馬の態勢と騎手の姿勢が・・・)』と思うことが多く、その意味でも美子の出来不出来は私の鏡かな~と思えます。
とは言え、人の下乗りに左右されるのではなく、馬の作り方(下乗り・ウオーミングUP)を教わりたいと言うのが美子の希望ですから、そのために必要な技術を教え始めました。

馬術は、【反応のスポーツ】であると かつてご指導頂いた大坂頴三先生は仰います。馬のバランスや速度・脚の強弱やライン取り・リズムなど馬からもたらされる情報に素早く反応し、人間がどんどん指示を馬に与える、これが馬術です。
指示には脚・拳・体重移動の扶助が全てでありますが、どこでどの指示を与えることが適切か、人間が明解な指標を持っていないと馬に指示は出せません。

私には、その指標が何であるかを美子には教え続けてきた自負が有ります。だから清悠がベストコンディションだった時の馬体バランスを思い出し、そのバランスに一歩でも近づけるように努力しなさい・・・という抽象的な言葉が今の美子への指導となります。

しかしベストコンディションに導くためには、各種二蹄跡運動が自由自在に使える必要があります。斜横歩~前肢旋回、肩内~腰内~反対姿勢前肢旋回、肩内~腰内~横歩~後肢旋回、停止~後退・・・。これらの運動を常歩・速歩・駈歩で行なえる技術があってこそ、馬の柔軟性を高め、馬のバランスを維持できると言うものです。
だから、美子への具体的指導は、二蹄跡運動のコンビネーション指導となりました。

馬にも、人間にも段階があります。斜横歩は二蹄跡運動の中でも基本運動ですが、これ一つ取ってみても美子は完全に行なえないです。
常歩であれば、
①中央線から蹄跡へ向かって斜線上斜横歩
②縦蹄跡上での直線上斜横歩
③縦蹄跡から縦蹄跡までの深い斜線上斜横歩
④斜め手前を往復に手前を換えながら斜線上斜横歩
⑤中央線を挟んで山形乗りの斜横歩
といったように難易度も変化しますが、④⑤からは接点での体制の変化が入ってくる。その中で脚扶助を完全な主扶助にして運動を行なわねばなりません。これがなかなかでない。常歩であれば⑤の運動までは何とか行なえる美子ですが、どうしても進行方向に人間の重心が流れ、馬上にドーンと座って脚で馬を捌く雰囲気には程遠いです。
ましてや速歩で⑤を行なうことになれば、2節の速歩リズムを継続することすら出来ない。
何度かトライして、今日のところは不完全なまま終わったのですが、形として明解な課題がでることは、日々の練習に取り組む上ではとても面白いことだと思います。

しかし、⑤の運動は実はかなりのハイレベルです。これを斜横歩でなく横歩で行なうことは、セントジョージ賞典馬場のもう1ランク上のインターメディエイトNO,1が要求しているのですから。


新しいことを美子に教えるのは楽しいです。今までのように規程課目の運動が出来るとか出来ないではなく、馬の運動向上に直結する概念を教えているのだし、引退する前はとても苦労していた事も難なくこなしていたりする。
私は最近言うのですが、『これからが本当の馬の楽しさが判って、馬術の本質に触れることが出来るのだよ』と。


下記は2005年8月27日の記事です。綺麗な収縮駈歩を発進する美子を見て、一人感慨にふける練習時間でした。(笑)
ただし、完璧なのは右駈歩でした。左は今日も不得意だったかな・・・。

【美子が駈歩発進に苦労しています。清兎ならそうでもないのですが、清史郎の左駈歩発進が出来なくて、昨日はどん底でした。
とにかく反応が悪いのです。常歩で歩いていて駈歩発進を要求しても、実際に動作が起きるのは輪乗り半周後とか。今日も『前肢旋回~。旋回後、直ちに左駈歩発進。』の号令に動作が起きたには10数m先で、しかも手前が反対。これはもう、激怒!!激怒!!

そこで美子に言ったことは、『お前の馬に対する情報伝達は、大昔の電話機じゃ。光ファイバーが敷設された現代のものじゃあない。受話器を上げてハンドルをクルクル回したら、『ハイ、電話局です。』と交換手が出てきて、『あ、もしもし広大の美子です。清史郎さんの左駈歩をお願いします。』と言って接続してもらって、回線が通じたら『あ、清史郎さんの左駈歩さんですか?』と言っているようなもんじゃ!!
しかも相手は、『あ、私は右駈歩で、掛け間違いです~。』と言われとる状態だ~!!』でした。流石に私も噴出してしまいましたが、ニュアンスは大いに伝わります。
とにかく、馬と人間の間に回線が通じていないのです。

馬は全く悪くないから直しようもありません。私が乗れば自在に左右とも発進するのだから。しかし最終的な問題は、ハミ受けと推進のバランスです。そのことを指摘し続けて、昨日は3%くらいだった左駈歩の発進率が今日は30%ほどに改善した。やれやれです。】

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