サジッタ&清史郎の部屋

相棒3頭と暮らす馬日記

同じ写真で恐縮ですが・・・

2007-01-30 12:17:34 | 庄原TRF
ケイクンの治療で疑問に思ったことを、競馬場に勤務している獣医であるH.M.さんに質問しました。
とても丁寧に判り易く説明してもらいましたが、自分一人だけの知識にするのが勿体無くて、本人に掲載の許可をもらえましたので紹介します。

【H.M.さんへの質問】

私のブログにも書いているのですが、酷いケイクンになった馬を治療で引き取りました。元の厩舎では立ち腫れも酷く、球節から下のくびれが全くない状態でした。
それを先ずは大型のバリカンで飛節まで毛刈りし、指で掻き落とせる汚い瘡蓋は除去しました。それだけでも肢はかなりスッキリしたのですが、3週間後に小型のバリカンを買って、更に毛足を短く完璧な毛刈りを行ないました。
そうしたら、血管が腱が浮き出るくらい肢が引き締まって、大変良好な状態になりました。

獣医学的に見た場合、何が起きたのでしょうか。立ち腫れには色々な原因があるでしょうが、ケイクンとは無関係な立ち腫れする馬に毛刈りをしてみたら、効果あるでしょうか?

ある学生は、私の厩舎には善玉菌が多く居て、だから症状が改善するんだ・・・などとも言うのですが、如何思われますか?

【回答】

僕は微生物に疎いので、獣医学的なコメントはできないのですが、読んでみて思ったことを書いてみます。
ケイクン(繋皸)とは要するに皮膚炎です。皮膚に炎症が起きているのです。炎症とは生体の防御機構、回復機構です。
つまりケイクンとはなんらかの侵襲に対して生理反応が起きている状態なんですが、その侵襲というのは、まぁ大体が感染なんです。
ご存知の通り、馬の脚元はかなり汚染された環境です。いくら馬房を丁寧に掃除しても、馬のボロには大量の細菌がいるし、おがくずみたいな湿った環境は細菌繁殖の温床とも言えるでしょう。肢を綺麗に洗ったとしても、毛の間は湿度が保たれて汚物も溜り、細菌の繁殖に最適な環境になります。

毛を刈ることによって、汚れ(細菌の塊がいると考えてもらえれば結構)をつきにくくして、乾燥した環境を維持できるのです。細菌は生育するのに湿度(水分)が必要ですから、乾いた環境にすることによって細菌はそれ以上増殖しにくくなります。
つまり感染の原因である汚物の付着を防ぎ、細菌増殖を防ぐ乾燥環境をつくったため、持続的な感染が収まり、炎症も落ち着いたということです。

この馬に関して、立ち腫れとおっしゃっているのはおそらく炎症による腫脹だったのだと思います。熱感がありませんでしたか?(他の肢と比べて温かくなかったですか?)
炎症が起こると「熱感、発赤、疼痛、腫脹」が生じます。これを炎症の4徴と言います。(逆にいくら腫れてても熱感がなければそれは炎症ではないと判断します)

いわゆる立ち腫れというのは、飲み会の翌朝女子が「長靴が入らない~」というあのむくみで、原因は循環障害(血行障害)です。ですからこれが毛刈りで治るとは考えにくいですね。

「善玉菌」
あるあるに出てきそうな言葉ですね。どんな生理活性をもつ細菌なんでしょうか。ためしにその子に厩舎のオガ食べさせてみてください。立ち腫れを治す細菌がいたら製薬会社がほっとかないでしょうね~。



如何でしょうか・・・。皆さんの参考になれば私も、そして掲載を快く許可してくれたH.M.さんも喜ぶことと思います。
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