■人間関係などをめぐる吉凶と禍福が、方位によって決定されるという信仰は、中国古代から存在しています。戦国時代には陰陽五行説に《易》の哲学を合わせて、さまざまな分野で五行や十干十二支あるいは八卦を配当して、全体的な世界観が成立していきます。たとえば《黄帝宅経》は唐代に成立したものと考えられ、ここでは方位を二十四の分野に分け、乾・震・坎・艮・辰を陽位――刑禍として、また坤・巽・離・兌・戌を陰位――福徳としています。こうした方位の配当は、住居についての関心事がもっぱらの問題となり、家を新築する場合は、刑禍の方向を先に建てるべきであり、その後で福徳の方向を建てれば吉となります。
このようにして方角の吉凶を云々する俗信により、陰陽道の考えを背景としつつ、歳徳神がつかさどる方角が、とくに恵方といわれるようになりました。
〈恵方について〉
■白虎と金神
このようにして方角の吉凶を云々する俗信により、陰陽道の考えを背景としつつ、歳徳神がつかさどる方角が、とくに恵方といわれるようになりました。
〈恵方について〉
■白虎と金神