人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

平田篤胤の怪異聞き書き集

2008-06-14 00:02:43 | 神秘思想
■国学者の平田篤胤は、自らの編著『仙境異聞』について「此は吾が同門に、石井篤任と云者あり。初名を高山寅吉と云へるが、七歳の時より幽界に伴はれて、十四歳まで七箇年の間信濃国なる浅間山に鎮まり座る神仙に仕はれたるが、この間に親しく見聞せる事どもを、師の自ずから聞き糺して筆記せられたる物」と説明しました。この著はやがて平田家門外不出の極秘本となります。
寅吉は七歳のときに丸薬売りの老人が壺の中に体ごと入り込んで宙へ飛び去るという光景を目にします。老人は既述のごとき幽界に棲む天狗――杉山僧正と名乗る山人――で、以来寅吉はこの翁を師とあおいでの修行に専心し、江戸と幽界を往還しつつ、祈祷呪禁、製薬、書法、武芸などの仙道修行に励んできたというのです。

寅吉の「なんだこりゃ体験」は、皆目信じることのできない内容のものですが、篤胤がこの体験談の事実性を疑わず、かかる異境の存在を確信するにいたる心理のうちには、興味深いものがあると思います。篤胤はまた同様の心的ロジックから、前世を記憶する少年、勝五郎を調査した『勝五郎再生記聞』を著し、稲生平太郎なる少年が山の古塚を侵したのをきっかけとして、恐ろしい妖怪たちに襲撃されたことを記録した『稲生物怪録』を編述しました。

以下のテキストでは、これらの聞き書き集についてまとめてあります。

〈平田篤胤の怪異聞き書き集〉_1

〈平田篤胤の怪異聞き書き集〉_2

〈平田篤胤の怪異聞き書き集〉_3

〈平田篤胤の怪異聞き書き集〉_4

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