日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
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【映画】バジュランギおじさんと、小さな迷子

2024-05-14 20:00:00 | 本・映画・展覧会

 口のきけないパキスタンの女の子が、願掛けに来たインドでお母さんとはぐれ、お母さんはパキスタン側に戻ってしまった!異国でさまよう彼女が知り合ったのは、ヒンドゥー教ハヌマーン(猿)神を心底敬う、バカがつくほど正直で真っ直ぐなインドの男。彼女に懐かれた男は、「敵対国」パキスタン、異教徒である彼女を疎ましくも思うが、彼女を母親の元へ送り届けようとパスポートもビザもないままパキスタンを目指す。

 二国関係、宗教、食文化の違いなどが描かれ、それゆえの艱難辛苦が物語に面倒にし、厚みを加えている。ただしパキスタン(の人々)は悪として描かれてはおらず、体制側の圧力に対し庶民の善意が描かれ、彼の願いを援助する力となり緒対立を超えた人類愛が提示されている。インド映画お決まりの群舞シーンも数回、唐突感にはもう慣れた。特に男と女の子が最初に出会うシーンでのダンスは見事。

 本作は離れた街から山あいの村へ向かうロードムービーでもあり、乗り物や景色も重要な要素なのが、旧作の再上映でありながら観に行った理由。冒頭のパキスタン(ラホール)~インド(デリー)国際列車「サムジャウタ急行」はかねてより乗ってみたい列車であり、雰囲気が窺えた。そして物語の後半に登場する、パキスタン国内のド派手なバス。設備的には遠慮したい感じだが、パキスタンを語る上で欠かせなそう。カラコルムエリアの雄大な眺めは、たとえヒマラヤトレッキングをせずともそこへ行くだけの価値はありそうに思えた。そろそろ、パキスタン訪問を検討してみようか。欲を言えばバングラデシュ(ダッカ)~インド(コルカタ)の国際列車とセットで「大インド縦断鉄道旅行」にしたいのだが。

 2024年4月28日 川崎・チネチッタにて

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【本】「午後三時にビールを-酒場作品集-」(中公文庫)

2024-05-14 06:00:00 | 本・映画・展覧会

 酒を飲む作家による、酒飲みのエッセイ集。太宰治や坂口安吾と言った文豪レベルから、近年の作家まで。

 エッセイと言ってもセレクトされているのは己の飲み方や嗜好を綴った作品ではなく、酒を介した交遊録と言うべき作品。なので作者と同時代の作家が多数登場し、そういう繋がりがあったのかと知ることもできる。

 また作家たちが出入りしていた店も実名で多数登場、調べてみると現在でも続いている店あり、閉店もしくは移転した店あり。同じ場所で今でも営業している店には、ちょっと行ってみたくなった。

 本書に登場しない著名作家が決して酒を飲まないと言うわけではあるまい。その気になれば続編編集は可能であるようにも思えたが、近年の作家はこうした交流譚を記すのに熱心ではないのかもしれない。

 2024年4月26日 自宅にて読了

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