カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「零式戦闘機」吉村昭

2024年07月29日 21時18分59秒 | 本 / BOOKS

1968年刊行の吉村昭の歴史小説。
戦艦武蔵を読んで吉村作品のその姿勢に打たれた。
真実に何も足さない、真実から何も引かない。
盛り上げるために脚色しないところが好きだ。

さてゼロ戦である。正式名称は零式戦闘機と言う。
1939年に初飛行し終戦までに10,430機が生産された。

三菱重工業で開発されたのだが、携わった人の苦労と努力によって、
海軍から期待された非現実的な性能が、実現されて行く様子が描かれている。

軽量化の為に防弾設備がないとか、時速500Km超だとか、
3000Kmを超える航続距離だとか、
20mm機銃2門と7.7mm機銃2門とか、
切り離し式の燃料タンクとか、折り畳み式の車輪とか、
当時は画期的だった。

日本はアメリカに比較して航空機の開発に関してはかなり遅れており、
完成した当初は零戦の性能が敵国に信用されてなかった。
そのため1940年の初陣では零戦の性能と精鋭パイロットにより、
13機で敵機27機をあっという間に撃墜してしまった。

最初は無敵だったのだが、いかんせん資金力と人員に開きがありすぎた。
1機に10機では勝ち目はなく、性能に勝った敵機が現れ、
優秀なパイロットが戦死していき、物資も食料もなくなってしまい、
ついには日本は敗戦してしまう。

名古屋工場から各務原飛行場まで牛車(馬もあり)で運ぶとか、
開発者があまりの激務に弱ってしまうとか、
終戦間際に中学生までもが工場に駆り出され、
食料も乏しいなか不眠不休で製造を続けたとか、
改めて戦争当時の様子を知る事ができた。

 

これは広島県呉市の大和ミュージアムにある零戦。
改良を加えられた62型で終戦間際に琵琶湖に不時着していた機体を、
1978年に引き上げて修復した物。

 

< ゼロ戦 > (零式艦上戦闘機五四型)

全幅:11m、全長:9.237m、全高:3.57m 、
自重:2,150Kg、最高速度:時速572.3Km、
航続距離:850Km。
武装:翼内20mm機銃2挺(携行弾数各125発)、
     13.2mm機銃2挺(携行弾数各240発) 。
爆装:250Kg、500Kg爆弾1発、
   30Kg小型ロケット弾4発より選択。

吉村氏の小説は真実を脚色していないので、
凄惨な場面であっても落ち着いて読む事ができる。
昭和の戦争シリーズがあるので、続けて読むつもりである。

 

 

 


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