高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

ネグロエダシャク

2009年09月30日 09時15分03秒 | Weblog
ネグロエダシャクが灯火に飛来してきた。

地味で目立たない色模様をしているが、そこが気に結構入っている。
前翅の基部が黒っぽくなっていることから「ネグロ」と名がついたのだろう。
蛾では「ネグロ」とか「ネジロ」と呼ばれる種がいくつかある。

ネグロエダシャクに似たものにナカジロネグロエダシャクがあるが、
前翅基部にある暗色模様の形の違いで区別できる。
両種とも四国に産し、ナカジロネグロよりネグロの方が少ない。

♂の触角はこの画像の個体のように両櫛歯状で♀は糸状をしている。

北海道、本州、四国、九州に分布していて秋に発生する。
幼虫はホオノキを食べる。

四国ではおもに標高500m以上の中央山地で見つかっている。
手元の標本を取り出してみると
ネグロエダシャクは9月下旬から10月中旬に発見されており、
ナカジロネグロは10月中旬から11月下旬にかけて発見されているので、
同じ秋に発生するとはいってもネカジロネグロの方が遅れて発生しているように感じられる。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.9.23)

クロカバスジナミシャク

2009年09月29日 09時00分55秒 | Weblog
クロカバスジナミシャクは小さいが黒地にやや青みを帯びたすじ雲を思わせる白い模様が入りなかなかきれいだ。

少ないようでこれは初めての出会いとなった。

日本では本州、四国、九州に分布している。
8月下旬から10月にかけて見られるということなので秋の蛾であろう。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.9.23)





シロスジカラスヨトウ

2009年09月28日 09時08分00秒 | Weblog
シロスジカラスヨトウは光沢のある真っ黒いはねに純白の2本の筋があり、何度も見ているはずなのに新鮮な個体は思わず魅入られてしまうほどとても美しい。

日本では北海道と沖縄を除いた本州、四国、九州、対馬に分布している。
四国では深山で夏の8月から晩秋の11月にかけて見つかるが数少ない。
年間出会うのは2~3頭以内といった程度である。
夏に発生するらしく無傷の新鮮な個体は手に入れにくい。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.9.23)

ニッコウキエダシャク

2009年09月27日 09時25分32秒 | Weblog
ニッコウキエダシャクが灯火に2頭飛来してきた。

このような新鮮な個体は色濃く赤みを帯びて美しい。
古びてくると色あせて種名の通り黄色っぽくなる。

種名のニッコウは太陽の光というより地名の栃木県の日光からついたような気がするがこれは何の根拠もない。
他の蛾を調べてみるとニッコウアオケンモン、ニッコウケンモン、ニッコウエダシャク、ニッコウシャチホコ、ニッコウトガリバ、ニッコウナミシャク、ニッコウフサヤガ、ニッコウマダラメイガなど多数あるのは興味深い。
いずれにしてもニッコウという呼び名は聞こえよく私は気に入っている。

本州、四国に分布しており、幼虫はサワフタギを食べる。
成虫は9月下旬から11月にかけての秋に発生する。
本州では平地や山地で多産するらしいが、四国では深山に限られ数少ない。

(撮影:徳島県剣山 2009.9.21)

ウラウスキナミシャク

2009年09月26日 09時53分03秒 | Weblog
ウラウスキナミシャクは何だか人工的に描いた模様に感じてしまう。
これが自然にできた模様とは思えないのだ。
それだけに不思議な感覚にとらわれてしまう。

考えを広げてみれば蛾に限らず生物の模様や色彩や形はすべて自然に構成されたものであることは明白なことのだが・・・・。
これらはすべて何らかの意味があるのだろうか。
理由を見つけることは無意味なことかもしれない。
そんなことを深く考えるのはやめよう。
ロマンがあっていいじゃないか。
自然の不思議さに魅入られてしまったらもう抜け出せない。

日本では本州(関東以西)、四国、九州に分布している。
低地では年2回春と夏に発生するということだが、これまで四国で発見した3頭はすべて9月である。
まれな種らしくなかなか出会えない。

(撮影:徳島県剣山 2009.9.21)

キモンクロアツバ

2009年09月25日 10時06分40秒 | Weblog
キモンクロアツバは黒い前翅に橙黄色の三日月紋がありよく目立つ。

こちらも初めて見る種であることがすぐにわかった。
四国では2000種を超す蛾を発見しているが新たに発見した種かどうかはほぼわかる。
長年ライトトラップを続けていても未だに新たな出会いがあるのはそれだけ種類が多いからといえる。
それが蝶と違って蛾の奥の深さに魅入られてしまう理由なのだ。

シロホシクロアツバにやや似るが、こちらは白紋なので違いがわかる。

日本では北海道、本州、四国に分布している。
本州や四国ではかなりまれなようだ。

(撮影:徳島県剣山 2009.9.21)

ネアカナカジロナミシャク

2009年09月24日 09時20分47秒 | Weblog
あれ? これはいったい何だろう?

頭初は時々見かけるフタテンナカジロナミシャクと思ったが、よく見ると前翅基部がピンク色に染まっている。
初めて出会う種である。
図鑑で照合するとこの特徴からネアカナカジロナミシャクとわかった。

講談社の蛾類大図鑑によると「北海道、本州、朝鮮、サハリン、シベリア南東部、中国に分布する。本州では東北地方の北部から関東、中部の山地でとれている。夏の終わりから秋の始めに出現する。」と記述されている。

この図鑑では四国は分布に入っていないので、四国ではかなりまれではないかと思われる。
少々擦れて斑紋がぼやけてはいるがラッキーな出会いとなった。

(撮影:徳島県剣山 2009.9.21)

ワタアカキリバ

2009年09月23日 09時23分58秒 | Weblog
今年もワタアカキリバに出会えた。

ワタアカキリバは雌雄で色合いが違っている。
♀はこのように前翅全体が橙黄色で、♂は外半部が紫がかった橙褐色をしているので簡単に区別できる。

日本では北海道から沖縄まで全国で見つかっており、おもに西南部で発見されることが多い。

幼虫は種名の通りワタを食べるのだろうが、日本ではフヨウ、オクラ、ハイビスカスなどが記録されている。

成虫は夏から秋にかけて発生する。
四国ではこれまで採集した10頭の標本が手元にあり、すべて9月と10月なのでおもに秋の蛾といえる。
海岸付近の低山地から1000m以上の四国中央山地まで広範囲で見つかるが少ない。

(撮影:横浪半島 2009.9.14)

ヨスジアカヨトウ

2009年09月22日 10時53分15秒 | Weblog
昨夜は灯火にヨスジアカヨトウが飛来した。

前回は2006年なので実に3年ぶりの再会になる。
橙紅色の前翅に4本の細い筋があるこの色模様と側縁のギザギザは魅力一杯でとても美しい。

日本では北海道、本州、四国、九州に分布している。
幼虫の食草はわかっていない。

四国では成虫は9月に見つかるがまれである。
四国内陸部の深山で時折見つかる。
割合開けた見晴らしのよい場所に生息しているようだ。

(撮影:徳島県剣山 2009.9.21)

トビイロリンガ

2009年09月21日 09時50分33秒 | Weblog
トビイロリンガは小さいけれどよく目立つ黄色く可愛いリンガである。

前翅前縁の中央が少しえぐれているが、これは♂の特徴になる。
ハイイロリンガなどと比べて斑紋の変異はほとんどない。

日本では本州の関東以南、四国、九州、対馬、屋久島に分布している。
年2化で幼虫はアラカシを食べる。
(atozさんに食草を教えていただき修正しました。)

高知県では成虫は5月から10月にかけて海岸付近から四国中央山地まで広域の低山地でかなり普通にみられるが多数飛来することはない。

(撮影:宿毛市 2009.9.17)