高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

ヨスジコヤガ(沖縄編52)

2009年01月31日 17時11分17秒 | Weblog
この蛾は何だろう?
コヤガの仲間らしいが図鑑を見てもわからない。

展翅標本ができあがって蛾類大図鑑で再度見直してみたらヨスジコヤガに一番似ている。
蛾類大図鑑では奄美大島の1標本のみという。
他に記録はないかと探すと蛾類通信No.221で沖縄本島でも見つかったと報告されていたが標本画像はない。
ネットで検索しても画像は出てこないし、いずれにしてもかなり少ない種のようである。

比較は蛾類大図鑑の小さな画像のみの少ない情報で不確実ではあるが分布も合うのでこれはヨスジコヤガと判断した。

奄美大島、沖縄本島の他、アフリカ、インド、スリランカ、南太平洋諸島に分布する。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)

リュウキュウトビモンハマキ(沖縄編51)

2009年01月30日 10時45分19秒 | Weblog
これまでほとんど手をつけていなかったこともありハマキガ類の同定は苦手なのだが、リュウキュウトビモンハマキは茶褐色の紋がくっきりと濃いことからこれではないかと見当がついた。

しかし、蛾類大図鑑の解説を見ると成虫は4月下旬~5月上旬となっている。
発生時期が違うし、この仲間は個体変異や斑紋の似た種が多いので同定に自信がなくHP「みんなで作る日本産蛾類図鑑」掲示板に問い合わせたところ、がいすとさんよりリュウキュウトビモンハマキに間違いないとのお返事をいただけた。
秋も成虫が発生しているようだがこれ1頭しか見かけなかったので、この時期個体数は多くないらしい。

奄美大島から台湾にかけて分布している。

食草はまだ分かっていないようだが、トビモンハマキが枯れ葉を食べることから似たものを食べている可能性が考えられる。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)

クロミスジシロエダシャク(沖縄編50)

2009年01月29日 09時02分11秒 | Weblog
クロミスジシロエダシャクは前翅に走る3本の黒い帯がとても目立ち美しい。

四国では時々出会うが少ない。
北海道から台湾にかけて分布する。
沖縄本島は蛾類大図鑑では分布域に含まれてなく、琉球列島産昆虫目録には含まれているので四国以上に少ないかもしれない。

幼虫はエゴノキ、ハクウンボクを食べる。

斑紋は個体変異があるが、沖縄本島産の2個体を見るとどちらも前翅の黒帯が幅広く、特に裏面の暗色部分が四国産が灰色なのに比べ、沖縄産は真っ黒な違いに驚いた。
かなり違いを感じたのでS氏に問い合わせてみると「亜種レベルの差が出る可能性がある」とお返事をいただいた。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)

スジモンヒトリ琉球亜種(沖縄編49)

2009年01月28日 09時30分28秒 | Weblog
コンビニの照明に飛来した蛾を探していると隅に止まっている白っぽい蛾を発見した。
何だろうと近寄って確かめるとスジモンヒトリだった。

何だスジモンヒトリか、地元四国ではとても多いごく普通種である。
採集する気にならず見逃したが、翌日も同じ場所に止まっている。
せっかく遠い沖縄まで来たし、ここでは他にこれといったものも見あたらなかったのでついでに持ち帰ることにした。

後で調べると沖縄本島の個体は何と琉球亜種ではないか。
勉強不足だった。
持ち帰ってよかったと反省する。

スジモンヒトリは蛾類大図鑑によると個体的ならびに地理的変異が強い種で、琉球亜種は秋生の♂はより黄色っぽく、前翅裏面の赤い部分が黄色くなっているそうだ。

幼虫は雑食性でクワ、ケヤキ、サクラ、その他多くの植物を食べる。

四国では低山地で一夜に100以上飛来することもある多い種だが、沖縄では個体数はどうなんだろう?

(沖縄県国頭村 2008.11.26)

ミドリホソナミシャク(沖縄編48)

2009年01月27日 09時59分05秒 | Weblog
灯火に飛来したミドリホソナミシャク
斑紋は個体変異がある。

屋久島から沖縄を経て台湾にかけて分布する。
食草はわかっていないようだ。
北限にあたる屋久島できわめて普通種というのは、他の地域は少ないので少し不思議な気がする。
これは食草に関係するのだろうか。

ミドリホソナミシャクは石垣島で5月に採集した標本があり、これが2頭目となった。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)

アマミアオナミシャク(沖縄編47)

2009年01月26日 09時32分56秒 | Weblog
アマミアオナミシャクは九州、対馬、屋久島、奄美大島にかけて分布している。
一方よく似たクロスジアオナミシャクは北海道から九州、対馬、屋久島に分布する普通種である。

今回沖縄本島で出会ったこの個体はどちらになるだろうか?

♂ならアマミアオは後翅基部から灰黒色の特殊鱗を密布しているので簡単に区別できるが、♀だと個体変異があり外観では区別しづらい。
HP「みんなで作る日本産蛾類図鑑」掲示板でどちらか聞いてみたが回答はなかった。
沖縄本島では初記録となるようだ。

幼虫はクロスジアオがタデ科のイタドリから見つかっているので、それに近い植物を食べているのだろう。

分布で比べて近い方のアマミアオナミシャクと一応同定したがあまり自信はない。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)



ツマジロキノカワガ?(沖縄編47)

2009年01月25日 09時38分15秒 | Weblog
宿のベランダに設置した水銀灯の照明に茶色い小さな蛾が飛来していた。

見覚えのない模様なので多分ハマキガあたりだろうと思っていたが、展翅標本が完成してよく見直すと開張21mmでハマキガではないようだ。

そこで、HP「みんなで作る日本産蛾類図鑑」掲示板に問い合わせると、がいすとさんよりコブガ科でツマジロキノカワガかもしれないというお返事をいただいた。

ツマジロキノカワガは蛾類大図鑑によると「1961年7月15日に福井県で♀が発見されたのみで、インド~オーストラリアに広く分布する」と出ている。
図鑑の標本は痛んでいてはっきりした模様がわからない。
見覚えがないはずだ。

その後調べていると「九重昆虫記1」に「1981年5月9-10日に佐賀県で1♂が発見された偶産蛾」と出ていた。

同上の掲示板ではGA-SHOWさんが2007年11月6日に同じ沖縄本島国頭村で似た♂を発見されていることもわかった。

これがツマジロキノカワガだとしたら、日本で公表されたものとしては4番目の発見で♀としては2番目の記録となるのかもしれない。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.24)


ハナジロクチバ(沖縄編46)

2009年01月24日 09時05分56秒 | Weblog
ハナジロクチバははねに1本の細い筋が走っている。
色彩は多少の個体変異がある。

対馬、九州以西、台湾、インド、オーストラリアにかけて分布している。
本州では広島市や南紀で偶産蛾として見つかった記録がある。
「琉球列島産昆虫目録」を見ると四国も分布に入っているが、いつどこで発見されたのか、それとも見落としたのか手元の資料では見つけられなかった。
四国で見つかっていても不思議はないだろう。

琉球列島では時々見つかるようだが個体数は少ない。

「蛾類大図鑑」によるとおそらく日本には土着していないと述べられている。
幼虫は中国の調査でムクロジ科の植物を食べるそうだ。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)

ツマジロエダシャクの黒化型(沖縄編45)

2009年01月23日 08時51分11秒 | Weblog
ツマジロエダシャクは本州の関東あたりから沖縄にかけて、台湾、朝鮮、中国に分布するごく普通のエダシャクである。

前翅と後翅を離して縮れた枯れ葉のような形で止まる特異な習性がある。
これは天敵に見つかりにくくする擬態なのだろう。

色彩は明暗の個体変異があり、沖縄本島では地元高知でもよく見かける明るい色彩の個体も見られたが、最終日にこのような黒化型の個体が飛来した。

ツマジロエダシャクの黒化型はこれまで沖縄で見つかっているが発見例は少ないようだ。
インターネットの検索で探すと多数のツマジロエダシャクの写真が見られるが、黒化型の画像は見つけられなかったので、この沖縄編に含めて紹介することにした。

幼虫はミカドアゲハと同じクスノキとオガタマを食べる。

(撮影:沖縄県大宜味村 2008.11.28)

ミナミウコンノメイガ(沖縄編44)

2009年01月22日 10時00分21秒 | Weblog
ミナミウコンノメイガはウコンノメイガによく似ているが、横線がより太くはっきりしている。
また、ウコンノメイガが九州以北に分布しているのに対してミナミウコンノメイガは九州以南で、台湾、インド、オーストラリア、サモア諸島に広く分布している。
九州は分布が重なっているが、沖縄で見つかるものは分布でミナミウコンの方と判断できる。

蛾類大図鑑をみると「海外の幼虫はイラクサ科のカラムシ、オオイワガ属のほかバショウ科のバショウ属に寄生する」と出ている。

それに対して「誘蛾燈No.170」をみると日本ではカラムシは食べるがバショウ科のシマバナナやバショウは食べなかったという報告がある。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)