高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

モモスズメ

2007年08月31日 09時48分06秒 | Weblog
モモスズメは全国的に分布するきわめて普通種で、春から夏にかけて年2回発生する大型の蛾である。
幼虫はウメ、モモ、サクラなどを食べる。
前翅は地味だが、後翅がピンク色なところで他のスズメガと区別できる。
手元の植物図鑑では、夜間花の咲くオオマツヨイグサなどに飛来して吸蜜する代表的なスズメガと解説しているが、講談社の日本産蛾類大図鑑では「口吻が著しく退化している」と記述してある。
ならば果たして花から吸蜜できるのか?
実際に吸蜜現場を見たことがないので分からない。
私のライトトラップでは夜10時過ぎより朝方にかけて飛来するので、かなり夜遅い時間帯に飛翔活動するものと思われる。
(撮影:宇佐町2006.6.27)

ツキミソウ

2007年08月30日 10時17分24秒 | Weblog
ツキミソウ(月見草)は白花の4弁花のことで一夜でしぼむ。
黄花のマツヨイグサの仲間も一般にはツキミソウと呼ぶことがあるがこれは誤りである。
夜間だけ花が咲く植物はごく少なくツキミソウ、オオマツヨイグサ、アレチマツヨイグサ、コマツヨイグサ、マツヨイグサなどがあるが、これらは北米または南米原産で江戸時代に渡来している。
ならば江戸時代以前は夜間吸蜜活動をするスズメガ類は早朝または夕方咲く花または昼も夜も咲き続ける花を吸蜜していたのであろう。
ツキミソウは栽培花で枯れやすく野生で見かけることはない。
この写真は夜8時30分頃の撮影でまだ花が開ききっていない。また、花弁の黒い点は虫の食害による穴である。
(撮影:高知県立牧野植物園2004.8.8)

ベニスズメ

2007年08月29日 10時42分01秒 | Weblog
全身がピンク色に染まった美しいベニスズメ。
全国に分布している普通種で、幼虫はツキミソウ、オオマツヨイグサ、ヤナギラン、ホウセンカ、ミソハギ、ツリフネソウほか多くの植物(草)を食べ、
ホウセンカが植わっている庭ではこのイモムシをよく見かける。
しかし、ライトトラップでは成虫は不思議と出会う機会が少ない。
これはトラップ場所のせいか、それとも集光性が弱いからだろうか?
成虫は夜だけ咲くツキミソウやマツヨイグサの仲間の花に飛んできて蜜を吸う。
また、クワガタやカブトムシとともに樹液に飛んで来ることも知られている。

(撮影:宇佐町2006.5.15)

コマツヨイグサ

2007年08月28日 10時49分53秒 | Weblog
北米から入ってきた帰化植物コマツヨイグサ(小待宵草)。高知県では1970年頃より多く見かけるようになってきた。海岸や河原に多いが他の至る所でごく普通に生えているが夜間だけ花が咲くので目立たない。
夕方7時過ぎに見たときは全く咲いていなかったが、9時頃気がつくとライトトラップの明かりの下で開花していた。どうも明るさではなくアサガオのように体内時間で判断して咲くようだ。
どうして夜間咲くのか?
昼間咲いても花粉を媒介してくれるライバル昆虫が多いので、夜間咲いて昆虫を独占するのではと考えられる。この昆虫は蛾のベニスズメやモモスズメなどがあげられる。
昼間は花がしぼんでいるので、私のようなライトトラップをする変わり者だけがこの花をじっくり鑑賞する恩恵を受けられるのだと勝手にほくそ笑んでいる。
(撮影:越知町2007.8.18)

アカエグリバ

2007年08月27日 10時09分07秒 | Weblog
前翅が赤く後縁がえぐれていることからアカエグリバという。
幼虫の食草はアオツヅラフジで、本州、四国、九州、対馬、屋久島、種子島に分布している。
越冬は卵、幼虫、成虫の3態で、年間を通してごく普通に成虫を見かける。
真冬のライトトラップでフユシャクに混じって飛来するので寒さにもかなり強いようだ。
年間3~4世代を繰り返し、成虫の寿命は越冬個体を別にすると30~45日に及ぶ。
成虫は果実の汁を吸うので果樹園の害虫として有名で、1雌は1,000~1,200卵とものすごい産卵数をもつたくましい蛾である。
(撮影:宇佐町2006.5.31)

貝の標本

2007年08月26日 10時26分29秒 | Weblog
8月25日に高知市潮江科学図書館で毎年恒例の「標本に名前をつける会」があり今年も講師として出席した。
この会にはもう30年近く出ているが私は昆虫関係ではなく、いつも貝類の担当になっている。
もちろん昆虫の方に興味があるのだが、他にもっと詳しい昆虫関係の講師がおいでることと、貝類を同定できる講師が県内にあまりいないからと思われる。
貝は昆虫に劣らず種類が多く、これがあれば大丈夫という詳しい図鑑は未だになく、海岸に打ちあがって模様もはっきりしない個体は同定がきわめて困難な上に、長い間この分野から遠ざかっている私にとってなかなか種名が思い出せない。
そこで、私は県内の海岸で普通に見られる貝を集めて標本ケースを作り、テーブルの上に置いてそれと照らし合わせることにしている。
こうすれば同定作業が早まるし、子供たちも探すゲーム感覚が出て良いかなと思っている。
しかし、残念なことに昨年あたりから昆虫や貝を持ち込む子供が激減し、今年は昆虫実物標本の持ち込みは0、貝もわずか1件のみと寂しい限り・・・・
何とかしなければと思うこの頃である。
(撮影:高知市潮江科学図書館2007.8.25)


モンシロドクガ

2007年08月25日 09時15分03秒 | Weblog
成虫が有毒の蛾といえばドクガ(毒蛾)の仲間である。ドクガという名前がつくとすべて毒があるわけではない。この仲間では属名Euproctisのうち10種ほどが幼虫時代の毒針毛を腹部や尾端部につけている。産卵時には卵塊に母蛾の毛で覆うので卵から成虫まですべて毒針毛を持つことになる。
毒針毛を持ったドクガの成虫はどれも黄色い色をしているが、このモンシロドクガは例外的に白い。幼虫は黒色型のキンケムシと呼ばれるものと、黄色型のクワノキンケムシと呼ばれる2つの型があるが暖地では黄色型が多い。
年2~3回発生し、ウメ、ナシ、サクラ、リンゴ、クリ、クヌギ、コナラ、クワなど多種の樹木を食べる。
普通種ということだが高知県では少なくあまり見かけない。北海道では内陸部の低山地で多数見かけた。やや北に多くいる種なのだろうか?
(撮影:宿毛市2007.6.21)

イラガ

2007年08月24日 09時48分24秒 | Weblog
イラガ科のイラガは高知県では絶滅危惧種に指定されている。希な種かというとそうではなく、各地の低山地で多くはないがよく見られるので、何故絶滅危惧種に指定されたのか経緯が分からない。
成虫は毒がないので手に触れても大丈夫だが、この仲間の幼虫は毒棘がありこれに刺されると電撃的な激しい痛みを感じ、イラと呼ばれ嫌われている。
幼虫は夏から秋にかけて見られ、カキ、ナシ、ウメ、サクラ、カエデ類、ヤナギ類、クリ、クヌギ、ハンノキ、クルミ、ザクロほか多くの樹木につく。
繭は木の枝につき、スズメノショウベンタゴやスズメノテッポウと呼ばれ、蛹はタマムシと称し釣り餌として市販されているそうである。
(撮影:日高村2007.6.21)

ヤナギバルイラソウ

2007年08月23日 10時30分42秒 | Weblog
近年道端や空き地で頻繁に見かけるようになってきた紫の花が咲く植物、
初夏から秋まで花が見られる。いったい何という種名なのか?
いろいろな図鑑で探してみたがどう探しても一致するものがない。
近年移入した園芸品種かもしれないと園芸関係の本でも探したがやはり載っていない。
この謎の植物はずっと気になり続けていた。
ところが昨年沖縄方面に旅行することになったので、琉球の植物図鑑を購入してパラパラめくっていると突然この謎の花が目に飛び込んできた。
それはキツネノマゴ科のヤナギバルイラソウ(柳葉ルイラ草)だった。
ルイラは奇妙だが、属名のRuelliaからきているようだ。
メキシコ原産で、花は1日でしぼむが次々と開花して長期間鑑賞できる。
観賞用に導入されたが繁殖力が強く各地で雑草化しているそうだ。
我が家の庭でいつの間にか頭を出して咲いていたのも道理だ。
長い間持ち続けてきたしこりがやっと解けて頭がすっきりした。
(撮影:宇佐町2006.8.29)

トサオサムシ

2007年08月22日 09時59分40秒 | Weblog
夜間ライトトラップをすると多数の虫が飛来する。
光には時々オサムシ、ムカデ、クモ、アリなどもやって来る。これらははねを持たないので這ってやって来るのだ。
この夜は地面を忙しそうに素早くはい回る虫を見つけた。蛾を口にくわえている個体もある。
大きさと黒っぽい色でトサオサムシと直感し、手で押さえて確認すると間違いなかった。
これはオサムシの仲間では大きくてなかなか貫禄がある。
背面は周辺が金緑青色を帯びて美しい。
しかし素手でつまんでしまったため、指が猛烈に臭くなってしまった。肉食のこの虫は今の季節シデムシ並みに臭いのだ。しまったと思ったが後の祭り・・・
トサ(土佐)オサムシをいう名前がついているが、高知県以外となりの愛媛県にも分布している。
(撮影:越知町2007.8.18)