高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

日本鱗翅学会四国支部会2010

2010年02月28日 19時52分11秒 | Weblog
今日は日本鱗翅学会四国支部会が愛媛県総合科学博物館で開催され出席してきた。
テーマは「2009年四国の迷蝶・迷蛾」で、今年は四国4県で発見された蝶や蛾について、クロマダラソテツシジミを中心に講演がなされた。

演題は、
①「徳島県で2009年に発生したクロマダラソテツシジミ」
②「2009年高知で発生したクロマダラソテツシジミ」
③「愛媛県におけるクロマダラソテツシジミの分布拡大状況」
④「2009年に徳島県で見られた迷蝶と迷蛾」
⑤「最近の高知県の偶産蛾」
その他
⑥「蝶類モニタリング調査(パートⅡ)」
⑦「オオムラサキの保護活動」
⑧「日鱗学(LSJ)の全国版RED蛾類リスト作成小委員会報告」

以上8名の講演だった。
今回の会はクロマダラソテツシジミ漬けとなってしまった。
そのほか2009年に発見されたタテハモドキ、アオタテハモドキ、カバマダラなどの発見報告も加わりどれも興味深い内容で活発な意見交換がなされた。

私は⑤で発表させていただいた。
取り上げたのはリュウキュウフトスジエダシャク、クロオビフタオ、クロメンガタスズメ、キョウチクトウスズメ、イチジクヒトリモドキ、マエジロアカフキヨトウ、アカマダラヨトウ、クロモンシタバ、キモンクチバ、サンカククチバである。
2009年は高知県で見つかった偶産蛾といえるものはクロモンシタバだけで、キョウチクトウスズメは見つからず、残りは定着蛾という貧相な結果報告に終わってしまったが、このような内容でもしないよりはましだろう。

ミツボシヨトウ(石垣島編16)

2010年02月27日 08時57分38秒 | Weblog
ミツボシヨトウは腎状紋の外側に白く小さな三角紋があり、その両側に白点をそなえる。
これを星に見たて種名をミツボシ(三星)とつけたのだろう。

石垣島では普通種らしく、よく灯火に飛来してきた。

屋久島、奄美大島、沖縄本島、石垣島、西表島、台湾に分布している。
対馬でも見つかっているらしい。

幼虫はキツネノマゴ科のヤンバルハグロソウを食べる。

(撮影:石垣島野底岳 2007.5.19)

マルモンクチバ(石垣島編15)

2010年02月26日 08時52分47秒 | Weblog
マルモンクチバは講談社の日本産蛾類大図鑑には出ていない。

前翅は薄茶色の地にはっきりと黒い紋があり、他に似た種がいないので知ってさえいれば同定を誤ることはないだろう。

この黒紋は円形のものや、このようなだ円形をした個体もある。

石垣島と西表島にこれまで2回行ってそれぞれ見られたので、それほどまれな種ではなさそうだ。

沖縄本島、石垣島、西表島、台湾、東南アジアに分布している。
幼虫はクロヨナを食べる。

(撮影:石垣島野底岳 2009.5.19)

フタオビコケガ(石垣島編14)

2010年02月25日 08時55分12秒 | Weblog
フタオビコケガは薄茶色の地に黒い紋がある。

高知県の低山地ではよく似たクロテンハイイロコケガがよく見られるが、クロテンハイイロコケガは地がもう少し灰色がかっていて大きいことで、最初に見つけたとき別種であることがすぐにわかった。

石垣島と西表島では普通種らしく灯火によく飛来した。

日本では石垣島と西表島に分布、外国では台湾、中国、マレー~インドに分布している。
幼虫の食草はわかっていないが、おそらくコケ類を食べるのだろう。

(撮影:石垣島於茂登 2007.5.14)

ヒメツマグロシロノメイガ(石垣島編13)

2010年02月24日 09時04分27秒 | Weblog
小さくて白くかわいいヒメツマグロシロノメイガは沖縄ではそれほど少なくないようだ。
前翅の翅頂付近が黒いことからツマグロ(端黒)の名がついている。

四国には色模様の似たもっと派手なツマグロシロノメイガがいるが、こちらははるかに大きい。

ヒメツマグロシロノメイガは派手さはないが見慣れていないこともあってか、何となく愛着を感じてしまう。

九州、屋久島、トカラ列島、奄美大島、徳之島、沖縄本島、石垣島、西表島、台湾、中国、マレーシア、インドに広く分布している。
幼虫の食草はわからない。

(撮影:石垣島於茂登 2007.5.14)

ナタモンアシブトクチバ(石垣島編12)

2010年02月23日 09時01分15秒 | Weblog
ナタモンアシブトクチバは目立つ前翅の黒紋の形と内横線の内側が黒くならないことで同属の他のアシブトクチバと簡単に区別できる。

初めて出会ったときは嬉しかったが、次々と灯火に飛来してきたのでその気持ちが薄らいでしまった。
石垣島では少なくないようだ。

今回のライトトラップでは計7頭の飛来が確認できた。
四国南部の海岸付近では同属のオキナワアシブトクチバが普通に見られるが、石垣島では1頭しか飛来しなかった。
ということはナタモンアシブトクチバの方がより南方系の種ということになりそうだ。

奄美大島以南の沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島、台湾、インド、太平洋諸島、オーストラリアに分布している。
屋久島や本州でも見つかっているが偶産と思われる。

幼虫はオオシマコバンノキを食べる。
おそらく同じコミカンソウ属のシマコバンノキやアカハダコバンノキも食べるのではないだろうか。

(撮影:石垣島野底岳 2007.5.19)

コガタツマキリエダシャク(石垣島編11)

2010年02月22日 08時35分27秒 | Weblog
Xerodes属(ツマキリエダシャク)の仲間は日本には3種いてモンシロツマキリエダシャクとミスジツマキリエダシャクとこのコガタツマキリエダシャクになる。

コガタと名がついているように3種の中では小型になる。
色や斑紋や模様などは変化に富み、初めて見つけたときはこれがいったい何なのか全くわからなかった。

宮古島、黒島、石垣島、西表島、台湾、中国に分布している。
幼虫の食草はわかっていない。

(撮影:石垣島野底岳 2007.5.19)

キオビハマキモドキ(石垣島編10)

2010年02月21日 08時52分26秒 | Weblog
石垣島で出会ったハマキモドキガは石垣島編4で紹介したイヌビワオオハマキモドキとこのキオビハマキモドキになる。

イヌビワオオハマキモドキの開張18~20mmの大きさに比べ、こちらのイヌビワオオハマキモドキは開張11~14mmとかなり小さいが、ハマキモドキガ科のほとんどはこの程度の大きさをしている。

夜間灯火に飛来することもあるが、昼飛性で日中林縁の木の葉上でピョンピョンとジャンプして可愛く移動する様子が観察できる。

前翅は基部が黒く、中央に黄色い帯が走る。外縁の縁毛は白い。
止まるときは頭を低くして前翅の外側を高く持ち上げる。

石垣島、西表島、台湾、フィリピン、ニューギニアに分布している。
幼虫の食草はわかっていない。

(撮影:石垣島於茂登 2007.5.18)

オビベニホシシャク(石垣島編9)

2010年02月20日 09時37分58秒 | Weblog
オビベニホシシャクはオレンジ色の地に赤紫色の紋があるとても美しいシャクガだ。

昼間薄暗い林内を歩いていると飛び出すこともあるが、夜間灯火にはよく飛来する。
これだけ派手な色をしているととても目立つが、黄色が警戒色ということから、目立つことによって天敵から身を守っているのだろう。

♂はオレンジ色が濃く、♀は黄色っぽい。
触角や脚はかなり長い。

九州(南部)、屋久島、トカラ列島、奄美大島、徳之島、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島、インド~マレーに広く分布する。

幼虫の食草はトウダイグサ科のオオバギだが、クスノハガシワやアカメガシワも少し食べるという。

(撮影:石垣島野底岳 2007.5.19)

オバナワスズメ(石垣島編8)

2010年02月19日 09時09分23秒 | Weblog
オバナワスズメは日本では石垣島と西表島に分布している。
講談社の日本蛾類大図鑑には「石垣島で1934年にとれて以来30年あまり姿が見られなかったが、1968年以降多産するようになった」と解説している。

私はこれまで5月に石垣島と西表島で出会っているがそれほど見られなかった。
秋になると個体数が増えるのかもしれない。

外国では台湾、インド~オーストラリアに広く分布している。

前翅の模様は別種ではないかと思われるほど個体変異が大きい。

幼虫はインドではオシロイバナ科のオオクサボク属を食べるという。

(撮影:石垣島野底岳 2007.5.19)