高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

オオシロテンクチバ

2009年02月28日 09時13分32秒 | Weblog
オオシロテンクチバは昔はライトトラップするとよく飛来した記憶があるが、近年はあまり見かけなくなった。

オオシロテンクチバは黒い前翅に少し黄色みを帯びた1つの白点をもつ。
よく似た模様のシロテンクチバは前翅全体がやや明るく赤みを帯び、純白の白点であることで区別できる。

シロテンクチバが北海道から九州にかけて分布しているのに対して、オオシロテンクチバは本州の関東から日本海側の新潟県あたりを北限として沖縄にかけて分布しているので西日本の蛾といえるだろう。

幼虫はキイチゴなどのイチゴ類やアラカシを食べるらしい。

(撮影:土佐市横浪半島 2009.2.26)




マエジロアカフキヨトウ2

2009年02月27日 09時05分33秒 | Weblog
マエジロアカフキヨトウは前回2008年10月21日に紹介した。

その内容は、
① 日本では従来屋久島の高地にしかいないとされてきたが、近年は奄美大島や九州でも見つかっている。
② 四国では2005年に西部の山で初めて発見されて以後は各地で毎年見られるようになり、現在では東部にも分布を広げ標高500m以上の山頂あるいは峠付近の6ケ所で計20頭以上が捕獲されている。
③ 今後の分布や個体数の推移が注目される蛾である。

これまではすべて8月から11月にかけて発見されていた。
今回の発見は新産地となり、しかもこれまで内陸部の標高の高い山ばかりだったのに、ここはすぐ下に海が見える標高200mほどの峠になる。
最初見つけたときはクサシロキヨトウあたりだろうと思っていたが、捕らえて見て初めてマエジロアカフと気づいた。
通常前翅はオレンジだが、越冬したためこのようなピンクに色あせたと考えられる。

冬になって内陸の個体が暖かい低山地に移動してきたのか、それともここで羽化したのか、氷点下にさらされて2月まで生き抜いたことは興味深くたくましさを感じる。

(撮影:高岡町 2009.2.24)

ヨスジノコメキリガ

2009年02月26日 09時19分48秒 | Weblog
ヨスジノコメキリガは前翅にはっきりと4本の直線に近い筋があり、前翅外縁はギザギザのノコギリ状をしているのですぐにわかる。

晩秋越冬型で、春に見つけることが多く秋は今まで1個体しか出会ったことがない。
北海道から九州まで分布し灯火や糖蜜に集まる。
普通種ということだが高知県下では少ない。
1000m以上の四国中央山地から海岸近くの低山地まで広く分布している。

幼虫はシラカバ、サクラ、ケヤキなどの広葉樹のほか草のギシギシまで食べる雑食性である。

(撮影:高岡町 2009.2.24)


ケラ幼虫

2009年02月25日 09時07分32秒 | Weblog
灯火にケラの幼虫がやってきた。

土中にトンネルを掘って生活するので、前脚はモグラのような鋭いつめのある平たい形をしている。
子どもの頃は畑や花壇や庭で土を掘り返すと度々出会い、つかまえては「ケラさんケラさんおまえのお茶椀(ちゃわん)どのくらい」などと大きさを問いかけて、前脚の開き方で大小を判断する遊びをしたことを思い出してしまう。
しかし今ではほとんどケラを見かけることがなくなってしまった。
このような遊びももう消えてしまうのかと思うと寂しさが込み上げてくる。

この場所ではまだいるようで、夏に灯火採集をすると成虫がよく来る。
成虫でも幼虫でも越冬するのでこの暖かさで土中からはい出してきたらしい。
灯火下では活発に動き回るのでいつもは撮影困難だが、この夜は低温下で動きが遅いため運良く撮影できた。

雑食性で植物の根やミミズなどを食べる農業害虫になっている。

(撮影:土佐市横浪半島 2009.2.14)

アゲハ

2009年02月24日 09時09分43秒 | Weblog
昨日、庭で見つけていたアゲハが羽化した。
山間部でもアゲハがちらほら飛んでいる。

庭のアゲハのすぐ横ではモンシロチョウも飛んでいた。
昨年庭で最初にモンシロチョウを見つけたのは2月29日だったので、今年は6日早いお目見えとなる。

例年より虫の出現が早いけれど、これは暖冬のせいか。

(撮影:高知市 2009.2.23)

ブナキリガ

2009年02月23日 09時56分33秒 | Weblog
ブナキリガは春に出現し、北海道から九州まで全国に分布する普通種である。

高知県では外観のよく似たホソバキリガが混生して多いのだが、ブナキリガの方はやや少ない。
両方とも食樹も似ているのでホソバキリガが優勢でブナキリガを押しのけて勢力を広げているからかもしれない。

ブナという名前をみると幼虫はブナを食べると思ってしまうが、ブナを食べるという記述は探した限りでは見あたらなかった。
蛾類大図鑑には「和名は食樹を示すものではない」との但し書きがついている。
ということは、ブナは食べないということなのだろう。

調べてわかったのはサクラ、リンゴ、クヌギ、ミズナラ、カシワ、ウラジロガシ、マンサクなどの各種広葉樹を食べるということだった。
これだけ多種だと飼育するともっと別の樹木も食べそうに思える。

(撮影:土佐市高岡町 2009.2.15)

日本鱗翅学会四国支部第14回例会

2009年02月22日 20時32分44秒 | Weblog
本日は日本鱗翅学会四国支部第14回例会が隣県の愛媛県総合科学博物館で開催されたので朝から行ってきました。

今回のテーマ講演は「最近増えたもの、減ったもの-四国の場合-」でした。

内容は
① 愛媛県のタテハモドキ(続編)(愛媛)
② 愛媛県のツマジロウラジャノメ(愛媛)
③ 愛媛県の蝶・個体数変動の動向(愛媛)
④ 四国で発生したクロマダラソテツシジミとソテツシジミ属の蝶(香川)
⑤ 減った蝶・増えた蝶(徳島)

そのほかの演題
⑥ モニタリングサイト1000(愛媛)
⑦ 2008年四国の蛾と沖縄本島採集記(高知)・・・私の発表
⑧ 2008年の高知のアサギマダラの移動調査(高知大学分)(高知)
⑨ その他

20名ほどの参加者があり、後席には標本箱が多数並び、講演はどれも興味深い話でとても有意義な一日を過ごすことができました。

先ほど帰宅、日帰りの往復は疲れました。
長距離運転は歳のせいか以前と比べて無理がきかなくなってきました。


スカシエダシャク

2009年02月21日 09時33分31秒 | Weblog
「何だ、またこれかあ」といつもがっかりするスカシエダシャク・・・

一度に多く飛来することはないが低山地では1年中ごくごく普通に見かける。
見つけていつも見過ごしてしまうのだが、改めてじっくり観察すると結構特徴がある。
前翅後翅とも外横線の内側が透明なのでスカシという名がついている。
外縁の形も独特の角張りがあり、いつもこのように両翅を広げて止まるので何だかイシガケチョウを連想してしまう。
灯火によく飛来するが、時々昼間見かけることもある。

日本では関東以西、沖縄まで分布しているので西日本の蛾といえるだろう。
幼虫はヤブニッケイから見つかっている。

(撮影:土佐市横浪半島 2009.2.14)

アカキリバ

2009年02月20日 08時38分14秒 | Weblog
アカキリバは全国に分布する普通種である。
蛾類大図鑑によると「6月から10月まで見られる」となっているが、四国では真冬も含め1年中よく見かける。
果樹園では多数見られるかもしれないが、私の経験では灯火に多数飛来したことはない。
来てもほとんどは1~2頭といった程度である。

口は全体が強くキチン化していて先端は鋭くとがり、側面は多数の鋭い刺状突起がある。
この口で果実に穴を開け果汁を吸蜜するので、果樹の害虫としての吸蛾類を代表する種に含まれている。

幼虫はクサイチゴ、カジイチゴ、ナワシロイチゴなどのイチゴ類につく。

(撮影:土佐市横浪半島 2008.2.14)

クロテンキリガ2

2009年02月19日 08時53分55秒 | Weblog
昨年春にも紹介したクロテンキリガだが、それと比べるとこちらは赤みを帯びた個体になる。

照葉樹林帯で早春に発生する西日本のキリガである。
高知県では低山地で見つかるが個体数はやや少ない。

幼虫はエノキ、ウバメガシ、タブなど多食性で各種広葉樹を食べる。

個体変異があることもあって同定は迷うが、私にとって好きなキリガの一つである。

(撮影:土佐市横浪半島 2009.2.14)