高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

ノヒラトビモンシャチホコ

2009年03月31日 09時54分34秒 | Weblog
今年3番目に出会ったシャチホコガは昨年も紹介したノヒラトビモンシャチホコだった。
前翅のノコギリ状の白い模様がよく目立ち魅力高い。
このような春だけ1回発生するシャチホコガの類は少ないのではないだろうか。

本州、四国、九州に分布する。
蛾類大図鑑では「四国中央山地に産する」と出ているが、それ以外に海岸近くの低山地でも広範囲にかけて見られ、この時季は珍しくはない。

幼虫は低山地ではクヌギ、1000m以上の山ではミズナラを食べているようだ。

(撮影:高岡町 2009.3.28)


ツマジロシャチホコ

2009年03月30日 09時44分38秒 | Weblog
今年に入ってシーベルスシャチホコに続いて2番目に出会ったシャチホコガはツマジロシャチホコだった。

一度に多数発生することはないが、低山地では普通種でシャチホコガの中では最も頻繁に見られる。

北海道、本州、四国、九州、対馬にかけて分布している。
幼虫はクリ、ツノハシバミ、シデの類、ミズメ、シラカンバ、コナラなどかなり多種の樹木を食べる。
年2回の発生というが、春から秋まで長期間成虫が見られるので高知県ではもしかしたら3回くらい発生するのかもしれない。

本種に混じってよく似たタカオシャチホコも飛来するので同定には気をつけるようにしている。
タカオシャチホコは前翅中央がより黒っぽく腎状紋が現れないことで区別できるが、野外では一見同じように見えてしまう。

(撮影:高岡町 2009.3.28)



ハネナガブドウスズメ

2009年03月29日 09時51分19秒 | Weblog
昨年もこの時季に紹介したハネナガブドウスズメがまたやってきた。

比較的色や大きさが似ている近縁のブドウスズメやクルマスズメと比べて一番個体数が多いといえる。
しかし、昨年2008年3月末に出会って以後、夏から秋にかけて全く姿が見えなくなってしまったのだ。
ブドウスズメやクルマスズメの方は例年と個体数にほとんど変化がない。
クルマスズメが昔と比べてやや減少傾向にある程度である。
これほど大きな変化は今までなかったと記憶している。

食草がお互いほぼ同じなので生存競争があるのかもしれないが、
あれほど多かった本種が忽然といなくなるのはとても異様に感じた。
以前オオミノガが突然見られなくなったのは寄生バチの影響と聞いているが、今回似たような仲間がいる中で本種だけが消えてしまうのは不思議でならない。

1年後の同じ3月末に別の場所で再び見つかったので絶滅しているわけではなく少し安堵したが今年は個体数がもとに戻るのか、普通種ながらとても興味深く思っている。
この変化は高知県だけなのか・・・・・、
全国的にはこれら3種の個体数の増減はどうなんだろう?

(撮影:高知市 2009.3.22)

クロフオオシロエダシャク

2009年03月28日 09時07分58秒 | Weblog
ここ数日、春から冬に戻ったような気候で風も強く、月齢はよいのだが夜出かける気分にならない。

これまでは比較的珍しい種や南方系の種を中心に取り上げてきたが、今年は撮りためた最新画像も在庫が残り少なくなり、仕方なく普通種ばかり紹介している。
まあ、どのような種が多いのか述べるのもそれなりに意味があるだろう。

ということで、今回はクロフオオシロエダシャクを紹介する。
本州から沖縄まで、北海道を除く地域に分布している。
平地や山地のどこでも春から秋にかけてごく普通に見られる。
白地に黒い紋が散らばるこのような模様のシャクガは多いが、どこでも最も頻繁に出会うのがこれである。
前翅先端が突き出たようになった形が他の種と見分けるポイントになる。
といっても一度に二桁飛来するというほど多産することはない。

奄美大島以西ではよく似たタイワンオオシロエダシャクが混在するので同定に気をつける必要がある。

(撮影:高知市 2009.3.22)





リンゴドクガ

2009年03月27日 08時52分30秒 | Weblog
リンゴドクガは普通種で低山地から四国中央山地まで広く分布している。
普通種といってもそれほど多い方ではない。

春と夏の年2回の発生で、手元の標本を見ると3月、4月(一番多い)、5月、7月、8月の採集記録があり、秋に採集された個体はない。
ただし、見つけてもよほどのことがない限り今では採集しない。
正確な発生時期を知るにはこれまでメモしたデータノートをすべて調べ直す必要が出てくる。

北海道、本州、四国、九州、対馬、屋久島に分布する。
リンゴという名前から幼虫はリンゴにつくことがわかるが、それ以外にナシ、サクラ、ヤナギ、クヌギ、コナラ、アベマキなどさまざまな樹木を食べる。

この画像の個体は♂で、♂は前翅の2横線の間が黒くなる。
♀は一回り大きく、2横線の間が黒くならない。
また、触角の違いでも簡単に雌雄の区別ができる。

(撮影:高知市 2009.3.12)

モンシロムラサキクチバ

2009年03月26日 10時10分21秒 | Weblog
モンシロムラサキクチバはモンムラサキクチバと並んで低山地で春から秋にかけて見られる普通種である。

色は紫ではないのにムラサキの名がつくのは何だかふさわしくないような気がするのだが・・・・、よく見れば紫っぽい感じがしなくもない。
よく似たモンムラサキクチバからつけたのだろうか?

両種を比べるとモンムラサキクチバの方が多いようだ。
お互い大きさや色合いは似ているが、モンシロムラサキクチバはよく目立つ細長い白い紋があることで簡単に区別できる。

本州、四国、九州、対馬に分布する。
幼虫はボタンヅルを食べる。

(撮影:高知市 2009.3.22)

ウスグロクチバ

2009年03月25日 09時24分09秒 | Weblog
ウスグロクチバは低山地に分布しており昔はまれな種と考えられていたが、近年はやや個体数が増えてきたのか割合見つかるようになり今では珍しい種ではなくなった。
春から秋にかけて見られるが春や初夏に出会う機会が比較的多い。
灯火に飛来したときは敏捷ですばやく飛び回る。

本州の紀伊半島、四国南部、九州、対馬、沖縄にかけて分布する。
幼虫はカゴノキ、タブノキ、ヤブニッケイなどを食べる。

(撮影:高岡町 2009.3.21)

カワムラトガリバ

2009年03月24日 09時54分05秒 | Weblog
今年もお目見えしたカワムラトガリバ

このような紋をもつトガリバは他にモン、キマダラ、ウスベニ、ヒメウスベニなどがあるが、このカワムラトガリバの模様が個人的には一番気に入っている。
発生したばかりのこのような個体は特に美しい。
また春の3~4月だけ発生するというのもまたいい。

低山地に分布していてそれほど少ない種ではないのだが、幼虫の食草はまだ分かっていないようだ。

(撮影:高岡町 2009.3.21)

シロトゲエダシャク ♂

2009年03月23日 09時49分39秒 | Weblog
シロトゲエダシャクは早春に発生する。

高知県では深山で見られるが少ない。
私の手元にある6♂の標本はすべて3月に採集している。
シモフリトゲエダシャクは時に多数飛来することがあるが、こちらはそのようなことはない。

シモフリトゲエダは暗い色合いで魅力は今ひとつだが、シロトゲエダは名前の通り白っぽい色をして明るく好ましい感じがある。

♀ははねが縮んで退化しており飛ぶことができない。
幼虫はブナ、ニレ、バラ、カエデ、ヤナギ、その他かなり多種の樹木を食べる。

(撮影:香美市 2009.3.18)

スギタニキリガ

2009年03月22日 10時05分07秒 | Weblog
スギタニキリガは早春に発生する。

キリガの中では大型で貫禄があり独特の目立つ模様は強さを感じる。
昔は個体数が多かったが、近年はかなり少なくなってしまった。
四国では深山で見ることができる魅力高い種である。

幼虫はサクラ、クヌギ、コナラなどの広葉樹を食べる。
北海道には似たシベチャキリガがいるようでそちらも一度見てみたい。

(撮影:香美市 2009.3.18)