オレンジ色の紫陽花

携帯から軽快に綴るおいらの日々。
…だったのだが、ツイッターのまとめブログに変更。極稀にこっち単独の記事もある、かも。

「THE 有頂天ホテル」

2006年02月08日 23時46分27秒 | 水曜日は映画の日
「THE 有頂天ホテル」
 出演:役所広司、生瀬勝久、戸田恵子、伊東四朗 他


見たよ!見た!しかもしっかり水曜日に(女性1000円)!
まだそんなに仕事も立て込んでいなかったので、昼から休みをとってたんだけど(小学校の授業参観だった)午前中から休み、つまり一日休みにしてもらいました。(正社員のMっち、ごめんよー)(いやここで謝っても)
平日の朝一の回だったからか、それほど混雑していませんでしたよ。それに学生諸君はテストだろ?え?うひひひ。

面白かった!
何がどうでも面白かった!
映画ってそう、娯楽なんだよな、って改めて思いました。喜劇ってのはこれだよな、みたいな。
んー、なんていうか、贅沢な作品だなーと思った。

まず、キャストがね!言うまでもなくね!すでに公開前の予告だの公開後の宣伝だので多くの出演者が明らかになっていますけれども、あんなの、氷山の一角!
上記以外でもスタメン級(笑)では香取慎吾、松たか子、佐藤浩市、篠原涼子、角野卓造、オダギリジョー、川平慈英。
スタメンから外れるけどベンチ入り級(笑)では唐沢寿明、西田敏行、麻生久美子、原田美枝子、YOU、寺島進、梶原善、石井正則(だっけ?古畑に出てきた西園寺くん)。
一発頼むよの指名打者とかピンチヒッター級(笑)ならほんとにいろいろ出ています、これはもう一瞬ちらっと出てさらっと消えるキャラも多数なので、DVDになったらじっくり捜してみるのも楽しいよ、絶対。
ちなみにおいらが一番ヤラレター!(業界人を気取りたい奴が言うところの「おいしい」)キャストは、配車係の相島一之。彼が出た瞬間、うわ、ここに出たか!三谷作品だから絶対どこかに出てくると思ったけど、そうかい、こんなとこかい、ヤラレター!て。危うく声に出そうでした。
それから話の流れっていうか、展開っていうか。映画の上映時間と、話の設定上の時間とが同じ速さなんです。おいらは見てないけどほら、「24」って確かそうだったよね。あーれが映画なんだからそりゃ贅沢ですよー。しかもそんなにゆっくりな時間の流れ方なのに、全然話が間延びしない。しないどころか消化不良になるくらい展開速いです。いろんな事がどどどどー、と同時進行します。しっかりついてこいよー!て感じ。
ストーリーはね、これはもう、見ないと分かりません。決して複雑ではありません。あるホテルを舞台にした人生模様。それに尽きる。でもその人生ってのがほんとに十人十色。いや正確には出てきたキャストの数だけ用意されてます。だから、誰に肩入れして(注目して)見るか、で全然違ってくると思う。さらには、この映画を初めて見る時って多分、そのたくさんの人生をまんべんなく、できるだけ同じウェイトで見ようとすると思うの。だからものすっごい頭使うし気合いも抜けないし、見終わった後の充実感(と疲労感)は3時間上映分くらいはあると思う。だから面白いのかも。「濃い映画」ですよ。
みどころは、もう、人によりけりだと思います。三谷さんが宣伝に出るたびに言う、西田敏行のお尻丸出しシーン(三谷さんはこれを「あれだけ僕が念入りに練り上げた映画なのに、西田さんのお尻に全部持っていかれた」とか言います。…確かに。)はほんっとに一瞬なので見逃すなよ!そういうシーンがあると知ってるだけに、ここか?それとも次か?って期待して待ってるから、いざそれが出てきた時に面白い(=ウケる)のかもしれないけどね。
おいらとしては、慎吾ちゃんが歌った♪ドンキホーテ、サンチョ~♪っていう歌が、多分甲本ヒロトの歌だというのが、ああ、ナイス選曲!と思った。これは慎吾の選曲だろうか、それとも三谷さんだろうかな。慎吾は確か、ブルーハーツ好きだったよな。
あと、オダギリジョーのハゲデコにもヤラれました。いいのかオダギリ!斎藤一をやったあなたがこのハゲデコで!(笑)おいら西田敏行のお尻よりも、オダギリのハゲデコを見た瞬間の方が吹いたよ!

そういえば、テレビでトミーズ雅がこの映画を見た話をしてて、「この事についての解釈を、誰かと話したいねん!その、これはどういう意味なんか、ていうのをな、ちゃんと語り合いたいねん!」とか言ってたんですが、もちろん「この事」ていうのはネタバレになるからテレビでは言えへん、ので、彼が何についてそう言ってたのかは分かりません。が。…そんなとこあったかなあ?解釈について迷うようなとこ、あったかなあ?色々な話が混ざってるから目まぐるしくはあるけど、それぞれについては至って単純明解だと思ったんだけどなあ?…おいらはちゃんと見られてないんでしょうか?

「深紅」

2006年02月08日 00時30分39秒 | ほぼ、文庫本
深紅/野沢尚/講談社文庫

帯にもありましたが、これ映画になったようですね。メジャーなところで上映したのかどうか分かりませんが、レンタルに出たら見る、…かも、しれない。いやだって水川あさみちゃん好きだし。
実はこの本、昨年の秋にちらりと立ち読みしてて、その冒頭から36ページの真ん中あたりまでを一気に、それこそ引きずり込まれるように読みました。京都の丸善があと二日くらいで閉店する、という日曜日(土曜日だったかも)で、もう随分スカスカになった文庫のコーナーをぶらぶらと物色してた時でした。

「お嬢さん」
 池田さんが呼びかけてくる。(略)
「長い間、お疲れ様でした。到着しました」
 池田さんはやっと使命を終えたのだった。
(「深紅」より本文抜粋)


ここまで読んで、よっぽどこのまま買って帰ろうかと思ったんだけど、如何せん、お財布がね(苦笑)。っても文庫本なので1000円もしないんだけど(税込み695円)、でもこの後でメインの買い物があったので、後ろ髪を引かれて引かれて引かれて引かれたけど、買わずに帰りました。
それから、ブックオフで捜したり、よく行く本屋でも、ほんとに何度となく探したんだけど、なくてねー。あー、これはあの丸善で買わなかったから本が怒ってるんだな、と思った。(本に限らず、どうしようどうしようって迷って結局買わなかった物が、その後全然巡り会わなくなることって、あるよね。)
買えない間も、冒頭の一気読みした部分をほとんど覚えていて、もちろん一字一句丸暗記してという意味ではなくて話の筋を、なんだけど、なんかこう、すでに頭の中で映像化されたイメージとなっていたような気がする。主役の「お嬢さん」と池田さん(地方のタクシー運転手)に呼ばれた小学6年生の女の子は、今やってるドラマ「白夜行」で綾瀬はるかの少女時代をやってる子(前のクールで「女王の教室」にも優等生役で出てたよ)。ちなみに池田さんは高橋克実(笑)。
ほんとにもう、どこの誰がいたずら(もしくは意地悪)してるんだか、ちっともさっぱり見掛けなくってさー。気持ちを紛らわせようとして、野沢尚の他の文庫本もちょろっと読んではみたんだけど、いや実際他の作品でいくつか機会があったら読もうかなと思ってるのはあったから、それを立ち読みしてもみたんだけど、どうにもこうにも尚更「深紅」が読みたくなって。なんかね、ちょっとした片思い状態だったよ、ここ3ヶ月くらい。

で、時は移ろって、おいらはなんとその間に運転免許なんてものを取ってしまい、初乗りに「だー」に叱咤激励されまくりながらぶらぶらしたんですよ。その中でいつもの本屋に行きましたですよ。
正直、本屋でちょっと休憩したかったんですよ。なんせ初乗りですから!教習所の教官よりも厳しい教官(=「だー」)(笑)を横に乗っけてますからね、疲れるなんてもんじゃないっすよ!
んでもそんなおいらをちゃんと、どこかの誰かは見ていてくれたようで、よしよし、ぶぅたれずによくここまで来たね、じゃあご褒美だ、といわんばかりのタイミングで、「深紅」は何気なく目線を止めた文庫の棚の、ほんとに目の前にすとん、とありました。
なに、なに、なに!?あれほど捜して捜してフラれ続けたヤツに、こんなにあっさり巡り会っちゃってもいいんですか!?やっほう!ブラボー!カミサマありがとう!おいらの片思いは一気にぐわっっ、とヒートアップですよ。
読みたい読みたい、ががっっっと読みたい。
我慢なんて出来ません、立ち読みしました(笑)。しかも、前回立ち読みしたところまで。ほら、ドラマなんかでもクライマックスの回の冒頭部分に、初回から前回までをざざっと振り返ったりするところがあるじゃないですか。まさにおいら、あれをやりましたよ。ざざっと振り返るどころか、念入りにじっくりビデオ録画を見直した、くらいの念の入れ様で。ははは。

さて。
ここから本題(本の感想)に入ります。前振り、長すぎ!!

なんか、
え?あれ?え、それでいいの?あら?いや、そうじゃないでしょ、ねえ?
…あ、終わっちゃった。
みたいな感じ。
これは偏に、おいらの3ヶ月にも及ぶ片思い状態の副作用だと思われます。あまりにも、その見事な冒頭部分に飲み込まれて、その印象ばっかりが強くなっていって、思い入れも気持ちの入れ込み様も多分半端じゃなかったんです。今なら分かる。
でも読んでる最中にはそれが分からなくて、えー、なんでー、こうなっちゃうのー、 うわつまらねえ! とか思っちゃったよ。なんてまあ無礼な。
熱くなり切ってしまった、ヒートアップしすぎて針が振り切れてしまった頭では、おいらの嫌いな、ド派手な展開だけを追っていって人間性の欠片も掘り下げないで、サスペンスじゃなくホラーやスプラッタムービーのような筋書きを期待してたんです、いつの間にか。うん、今なら分かる。
さすがは野沢尚です。
そんな安っぽい話ではありませんでした。そう、今なら分かる。

というわけで、もうちょっとインターバルを空けて、おいら自身(の頭と気持ち)をクールダウンさせてから再読します。

それにしても、これだけは思った。
野沢尚の小説って、どうしてこう、簡単に映像化できるんだろう。文字を読む端から、頭の中でそれが一編の映画(またはドラマ)になっていく。
「反乱のボヤージュ」でもそうだった。
きっと、彼(だよね?)が多くのテレビドラマの脚本を手がけていることと、無関係ではないだろうけど、惜しむらくはもう新作が読めないってことだ。(なんて言えるほど数を読んでいるわけではないので、口幅ったいことこの上ないですが。)