放射線測定器は一時の高騰品薄から一転最近はディスカウントも始まりました。あってはならない事故とは言え一般住民まで測定器を持ち歩く事態は正しく憂慮すべき問題。
このような事態が起こる遥か以前に秋月電子で放射線測定器のキットが販売されていました。浜松フォト製のガイガー管を使用したもので10年以上まえのキットにさえオークションでは高値が付く始末でした。
少し前、秋月でSiPINフォトダイオード S6775を使った簡易放射線量モニタキットが販売されました。S6775単体部品では大分前から販売されており一度試作をしました。しかしチャージアンプはノイズだらけで検出信号をカウント出来るに至らず失敗。
この辺の処理をどう行っているのかの興味で作ってみました。
回路はPINフォトダイオードのガンマ線感度をFETオペアンプ LMC662で増幅しPICで換算液晶表示させています。
組みあがった基板を試してみると表示動作が不安定です。配線のチェックも行いましたが特に気づくところがありません。
買い物ついでに秋月八潮店に持ち込んだところ後日、精査回答がありました。
放射線カウントを音で知らせる圧電素子のアース位置が違うと。。。。。
組み立てマニュアルには主語不明の”5cm程度のビニール線の被覆をむいて、SW4付近のGNDに半田付けします”とあります。どうもこの1行を誤解したようです。なぜこの1本だけアースを別に取るのか不思議に思いましたが深く考えませんでした。
ちゃんと読むとSPの配線先については記述がありました。アースを離した為にインダクタンス、リアクタンス、レジスタンス成分が影響したようです。
秋月通いを始めてもう40年、、当時はトタン屋根バラック小屋でココだけ戦後の焼け跡に立つ闇市のような感じでした。。。。部品やキットのワクワク感は当時から変わらずです。
今や本店ビルを始め各所に事業所を構え年商27億を越す企業に成長しました。段ボールを並べたバラックで二日酔いの酒臭い息を吐きながら客と言い争っている店員がいた当時の面影は微塵もありません。
放射線測定器は数台作りましたがガイガー管カウンターの感度に適うものはありませんでした。安価で低電圧動作のPINフォトダイオードセンサーが主流ですが感度はガイガー管の1/10以下でCPM(1分間に検知する放射線数)は1-2CPMです。これは10分以上の測定時間が必要で私のような気の短い人間には到底待ちきれません。。。。
μSV/h換算表示はこの検出能に大きく依存しランダムに入射する放射線がたまたま続くと高線量を示し無検知時間が長いと低い表示となり長い測定時間で平均値を出す必要があります。
原理的にも部品的にも同程度の市販廉価版半導体放射線測定器で数分での測定結果は何をかいわんやで幻を追いかけているようなもの。。。。。
高検出能を有するガイガー管はC国での一部生産を除き殆ど見られなくなりました。現在の主流は半導体センサーで性能を満足させる大面積センサー使用機では数十万します。これと数千円で購入できる半導体放射線測定機に同じ性能を求めるのは全くのお門違いというべきですが巷では表示された数値を固く信じて疑わない人も多い。。。
SiPINフォトダイオードS6775はガンマ線専用センサーではなくガンマ線に感度がある事を利用したものですが固体シンチレーターで、(驚くことに一般的に大変入手が難しいシンチレーターも秋月で販売されています。)ガンマ線入射を光に換えフォトダイオード本来の光センサーとして利用が本来用途に近い使い方でしょう。
諸兄のweb掲載では半導体センサーのチャージアンプの問題点であるノイズ対策、(本KITではアルミホイルでグルグル巻きせよとあります。)に決定打を決めたようなものがありました。センサーの微弱な信号を高ゲインアンプで増幅する為に生じる問題点をセンサーにFETを抱かせヘッドアンプとする構想です。この方式では極めて安価に問題を克服する事が可能で素晴らしいアイディアです。
固体シンチレーターも入手したので手直しし核種スペクトラムを測定できるようまた少しの高感度化を図って見ようと思います。
放射線量測定KITとしては¥3700と安価で研究目的ならともかくこれで放射線量を測定するには沢山疑問符がつきます。
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