愛車のプリウスを業者に引き取っともらい,別れを告げた。11年間,115,287キロを走破。リッター19キロは走ったので,使ったガソリンは約6千リットル。この手の非ハイブリッド車の半分の燃費で,リッター120円とすると,約36万円の節約になったことになる。傷だらけだが,人身事故を起こさなかったことは幸運。今夜はプリウスの労に感謝して,一杯やった。いよいよ車無しの生活に入る。
愛車のプリウスを業者に引き取っともらい,別れを告げた。11年間,115,287キロを走破。リッター19キロは走ったので,使ったガソリンは約6千リットル。この手の非ハイブリッド車の半分の燃費で,リッター120円とすると,約36万円の節約になったことになる。傷だらけだが,人身事故を起こさなかったことは幸運。今夜はプリウスの労に感謝して,一杯やった。いよいよ車無しの生活に入る。
アルバムを整理していたら,古い写真が出てきた。かつて生家が経営していた製糸工場の写真だ。片倉製糸の番頭をしていた祖父が,暖簾分けしてもらって創業した,従業員5~60人の零細企業。太平洋戦争が始まって,生糸の輸出先が亡くなり,1943年に廃業した。近在の農家から買い取った繭の中で遊んだ記憶がある。
上の写真は繰糸場で,煮た繭から生糸を繰り出して巻き取る工程,下は再繰場で繰取った糸を出荷用に巻き直す工程をそれぞれ示している。世界遺産の富岡製糸場を訪ねたら,同じ設備が展示されていて懐かしかった。
糸繰りの時に生糸を巻き取った木枠が残っていて,インテリアとしてワインや花瓶を置くのに利用している。
土地規制法が昨日深夜に参議院で可決され,成立した。自衛隊基地や,原発など安全保障上重要な施設周辺の土地利用を国が規制する法律である。施設の重要性に応じて,政府が「注視区域」,「特別注視区域」に指定し,土地・建物の所有者を調べ,売買に届出を義務付ける。どういう基準で指定されるかはあいまいである。
わたしが,JICAの専門家として赴任していた1982年に,パラグアイで経験したことだ。首都アスンシオンでの仕事を終えて,任地へ帰る途中,雨で浸水している牧場に馬が数頭たたずんでいる情景を写真に撮ろうと,車を止めてカメラを向けていたところ,100mほど向こうから,鉄砲を担いだ兵士が駆けてくるのに気付いた。まわりに誰もいないので,目的はわたしだと考え,とっさにカメラを車のトランクにしまい込んで,待つことにした。兵士の「何をしているか」の問に,「かくかくしかじか」と答えたところ,そばに立っている看板を指さし,「ここは撮影禁止の場所だ」と厳しい顔で睨みつけられた。看板には,”Zona militar”(軍事区域)と書かれていた。パラグアイ外務省発行の身分証明書を出し,弁解これ務めて解放してもらった。カメラを取り上げられなかったのは幸いだった。
日本で軍事区域などというものにお目にかかったことがないので,全く面食らった。
わたしのマンションは東日本最大の自衛隊補給廠に隣接している。基地は丸見えである。下の写真は2月15日のブログに掲載したものだが,下の方に基地がくっきりと写っている。カメラを向けてもお咎めなしだ。
わが家の周辺が規制区域にならないことを願っている。
2002年パラグアイの田舎道で撮影。本文とは関係ありません。
霞ヶ浦
廃車まであと二日。霞ヶ浦までドライブした。湖水と一緒に筑波山をと思ったが,光の関係でぼんやりとしか写らなかった。
ナス
ナスの初採りをした。最初に着いた果実は,木がまだ小さいので,早めに収穫する。カミさんが焼いてくれた。食卓に並ぶ,ナス,ジャガイモ,シソはすべてわが菜園の産物だ。
白髪
テレビの画面を撮影
五輪強行を前に無観客を訴える,尾身分科会会長に白髪が目立つようになった。
牛久大仏
車を手放すまであと4日。隣町にある牛久大仏までドライブして,お参りしてきた。
わが家からは西方にあり,いつも背中を拝んでいる。台座も含めた高さは120mで世界最大の立ち姿の仏像だそうである。周囲は霊園に囲まれ,胎内に入って80mまで登ることができる。写経コーナーもあるが,今日は時間がなく断念した。東本願寺派浄土真宗に所属する。
園内の紫陽花が満開だった。
哀悼
小林亜星さんが逝った。享年88歳。わたしが大好きな都はるみが歌う『北の宿から』が彼の作曲だと知って,驚いた。風貌からは,あの曲のイメージは想像できない。ご冥福をお祈りします。
1960年の今日,国会構内で東大文学部学生の樺美智子さんが亡くなった。死因はいろいろ取り沙汰されているが,当時のわたしは心情的に機動隊の暴行によると信じていた。
5月20日の衆議院における安保改定の単独採決を契機として,国会への抗議行動が激化していった。わたしも学生自治会の一員としてデモに積極的に参加した。新安保条約によって,日本がより積極的にアメリカとの軍事同盟にコミットしようとすることへの不安,そし何よりもこのような国の命運を決することを単独強行採決して,自然成立で可決させようとする非民主的な暴挙への怒りが,わたしを行動に駆り立てていたように思う。
連日のデモで「これがほんとのデモクラシ」などという駄洒落が交わされていたが,わたしは6月15日当日,デモクラシに疲れて,夕方から下宿で眠り込んでいた。夜の7時過ぎに目が覚めてつけたラジオが,デモ隊が国会構内に入り,女子学生が一人死亡したと報じるのを聴いて,矢も楯もたまらない気持ちになり,一人で国会へと向かった。雨が降っていた。
日比谷公園の近くまで行くと,群衆と警官隊が入り混じっていて,訳も分からず人の走る方角へと進んでいったら,警官の隊列を追っかける形になっていた。たちまち数人の警察官に取り巻かれ,警棒で殴られ始めた。持っていた傘を頭にかざして警棒を防いでいたら,警官の一人がわたしへの暴行を制止し,「どうしてこんなところにいるんだ。あっちに行きなさい。」と解放してくれた。右往左往したが,結局デモ隊には会えず,なすこともなく下宿に帰った。レインコートを脱いだら,血がべったりとついていた。
翌日,東大全学の授業は中止になり,昼から樺さんの追悼集会が開かれた。集まった教職員,学生で,安田講堂前の広場から銀杏並木が埋め尽くされた。国会への追悼デモには茅総長が先頭で,デモ隊列の先頭が御茶ノ水駅に達した時に,最後尾がようやく正門を出るところだった。
あれから60年。日本は安保条約の下で経済を発展させ,幸いなことに国際紛争で直接的な武力行使を行うことなく過ごしてきた。しかし,安保関連法や自衛隊法の改定によって,自衛隊の活動する自由度は大きくなってきている。
自分たちがどんな状況に取り巻かれているのか,私自身も改めて見直したいと思う。
ラブピース
一月ぶりのコカリナ同好会ラブピースの例会に参加。リーダーのギタリストKさんの指導で,約10曲のアンサンブル。2時間半があっという間に過ぎた。
取手市の会場に車で来るのは,今日が最後。来月からは電車バスの乗り継ぎになる。楽しい集まりだから,苦にならない。
G7
G7に集まった首脳たちが,東京オリパラの支持を表明とか。わが国の首脳は,外面を良くして国民の負担はどうでもいいということか。
Bingからダウンロード
今朝のニュースで,環境省が特別天然記念物のトキを2026年から本州で放鳥することを決めたことが報じられた。ふと,このニュースに違和感を覚えた。
トキは1952年に特別天然記念物に指定されたが,2003年をもって全滅している。日本に現存するトキは,中国から導入されたものを人手によって繁殖し,放鳥されたもので,日本に自生していたものではない。1952年の指定をそのまま現存のトキに横滑りさせていいものだろうか。
広辞苑で天然という言葉を引いてみた。「人為の加わらない自然のままの状態。また,人力では如何ともすることのできない状態」とある。人為の加わらない自然のままの状態が,地球上に存在するか疑問ではあるが,現存トキはどうも天然物には当てはまらないような気がする。しかし,法律では,現存トキは2003年まで存在したものと同じであるとみなすのである。文句を言っても始まらない。いずれにせよ,トキは大事にしなければならない,と自分を納得させた。
日本の野外に生息するトキは,500羽近くに達しているという。以前に習った集団遺伝学では,集団のサイズが500以下になると,近親交配の頻度が高くなって集団の減衰が促進されるという。現存のトキ集団の近縁係数は自然集団に比べればかなり高いだろうから,500ではまだまだ不足である。外部から個体を導入して繁殖する必要がある。
この悩みは,兵庫県豊岡市にあるコウノトリの繁殖センターでも聞いた。日本のコウノトリは1971年に絶滅している。兵庫県は2003年にコウノトリ野生復帰推進計画を策定し,繁殖・放鳥に取り掛かり,現在217羽が全国で確認されているという。野生生物の集団として維持するには圧倒的に不足している。
人為的に「天然」を作り出すのは容易ではない。
コウノトリ,2020年兵庫県豊岡市にて撮影
テレビの画面を撮影
久しぶりにビデオに録っておいた映画,『インビクタス/負けざる者たち』を観た。南ア黒人初の大統領,ネルソン・マンデラが主人公だ。マンデラを扱った映画は3本観たが,楽しさではこれにとどめを刺す。制作,監督はマカロニウエスタンの大スタークリント・イーストウッド,主演はマンデラ大統領ご指名の名優モーガン・フリーマンが演じている。
映画は,1995年南アで開催されたラグビーワールドカップを縦糸に,そして大統領の警護チームのエピソードを横糸にして展開する。当時,黒人と白人の間にはわだかまりが大きく,南アは国としての統一を欠いていた。マンデラは,自国主催のワールドカップでの,ラグビーチーム「ボカ」への応援を通じて国民の一体感を育てようとする。
公開の場における警護チームに,元公安の白人が補充される。反発する黒人のチームリーダーに,マンデラは「赦す」というキーワードで説得する。白人に仕返しをするのではなく,力を借りることが必要だと諭す。「赦しが魂を自由にする。」ガンジーの「非暴力不服従」とマンデラの「赦す」は表裏一体をなしているように思える。
マンデラはボカの主将を執務室に招き,ワールドカップに込めている自分の思いを語る。そして,自分が獄中にあった時に心の支えだった詩「インビクタス」を手渡す。
ラグビーは白人のスポーツで,黒人には人気がなかった。マンデラはボカに黒人居住区の少年たちにラグビーを教えさせ,黒人からの支持を導く。
ワールドカップで,南アチームはオーストラリア,サモア,フランスと連破し,決勝ではニュージーランドオールブラックスを,延長の末破り,カップを獲得する。チームが勝ち進むにつれてスタンドでふられる旗が,旧南ア国旗から新しい国旗へと変わっていく。優勝後,選手たちはあれほど嫌悪していた新しい国歌,「神よアフリカに祝福を」を,観衆とともに声高らかに歌う。
恐らくニュースの映像を取り入れたと思うが,6万を超える大観衆の見守るラグビーのシーンは圧巻である。
ロンドンに行った時,国会前の広場に並べられているチャーチル以下,イギリスの政治家の像に混じって,ネルソン・マンデラの銅像が置かれているのを見た。胸迫る思いがした。
ロンドンにて2014年撮影
6月6日に,NHKスペシャル『2030年 未来への分岐点(4)神の領域への挑戦~ゲノムテクノロジーの光と影』が放映された。わたしはこの番組を録画したはずが,うっかり消してしまったらしく,困っていたところ,友人の一人が,そのまとめ記事の存在を教えてくれ,内容を知ることができた。一読して戦慄が走った。
ゲノムテクノロジーとは,生物の遺伝子のセット,ゲノムに修飾を施す技術で,昨年ノーベル賞を受賞したジェニファー・ダウトナ博士が開発したゲノム編集技術によって一挙に加速された。この技術によって,遺伝子の本体であるDNAの塩基配列を任意に操作することが可能になった。
例えば,受精卵にゲノムに手を加えて,デザイナーベビーを誕生させることもできる。実際に,中国の賀建奎という研究者は,2018年にエイズウイルスに感染しにくい二人のデザイナーベビーを誕生させている。さすがにこの行為は国際学会で非難を浴び,賀建奎氏は懲役3年の実刑判決を受けている。
このほかに番組では,ゲノムを一から合成して感染直のあるウイルスを作り出した例,あるいはヒトとサルのキメラ(異種の細胞が混在する状態)を作ってヒトの臓器を取り出そうというアイデア,バクテリアのゲノム編集が自宅でできるキットが通販されている事実など,びっくりする話が紹介されている。WEBサイト,2030未来への分岐点 (4)“神の領域”への挑戦〜ゲノムテクノロジーの光と影~ - NHKスペシャルまとめ記事 - NHKスペシャル - NHKで詳しく知ることができる。
現在ゲノムテクノロジーの分野では,アメリカを抑えてトップを走る中国は,2030年に向けて,この技術を成長分野の大きな柱の一つに位置付けている。ゲノムテクノロジーは,2030年にはコストのかからない,容易に実行可能な技術になると予測されている。人類に利益をもたらすのか,破滅させるのか,2030年はその分岐点にあると番組では述べられている。
この記事で特に印象に残った発言が二つある。一つは重篤な遺伝病を受精卵へのゲノム編集で治療しようとする中国の黄教授,「倫理のことは、倫理学者にお任せすべきだと思います。彼らの知恵で問題の解決にあたるのです。私のような生物学者は、技術的なことを研究するのが仕事です」,もう一人は,ダウン症の娘がいる母親,「多様性を理解することが必要ですが、必ずしも世の中はそうなっていません。ダウン症の子がいる親の間には、こんな言葉があります。「『あなたを変えることはできないが、あなたのために世界を変えることができる』。ですから、テクノロジーを倫理的に利用するには、多様な価値観が認められるように、世界を変えていくことが必要です」
システムのフィードバックには,正と負がある。結果が原因を加速させる正のフィードバックは,いずれはシステムを破滅に導く。例えば核兵器。正のフィードバックは核兵器の拡散を結果した。国連の核禁決議はこれに負のフィードバックをかけようとしている。わたしたち人体は負のフィードバックシステムによって,行き過ぎたら原因を抑制し,定常状態を保っている。
科学技術は正のフィードバックで進歩を遂げてきた面が大きい。われわれ人類の知恵,知性,感性は,ゲノムテクノロジーに負のフィードバックをかける能力を持っていないのだろうか。孫・子のことを考えると,持っていると楽観したいのだが。