羽花山人日記

徒然なるままに

リニア中央新幹線

2024-06-01 19:45:01 | 日記

リニア中央新幹線

わたしはリニア中央新幹線については、ニュースで時々見る程度で勉強したことがないので、ほとんど意見をいうことはできないが、この建設計画を知った当初から、「ちょっと怖いな」と「なんのために」という感じを持ち続けている。

今週、リニア新幹線について二つの記事を読んだ。それに関連して感想を述べてみたい。

5月29日付の朝日新聞11面、「月間安心新聞」という欄に、千葉大学院大学教授神里達博さんの論説が載っていて、リニア中央新幹線の技術的な問題点が指摘されていた。

一つは、超電導状態にするためにコイルを極低温にする必要があり、ヘリウムガスで冷却する。世界的なヘリウム資源の不足への懸念と、ガス漏洩の危険が問題として存在する。また、超電導磁石の超電導が消失して温度が急激に上昇する「クエンチ」という現象があり、液体ヘリウムが急速に気化する危険がある。

二つ目は、約9割がトンネルを通過するリニア新幹線は、地震によって鉄道を横切る活断層にずれが生じると、大惨事になる危険性がある。

JR東海はこれらのリスクについて対処済みとしているが、その詳細が明らかになっていないと神里さんは指摘する。

リニア新幹線が「ちょっと怖い」という感じは、この記事を読んで強められた。もう60年前になるが、ハネムーンで京都に行ったとき、開通したばかりの新幹線を「ちょっと怖いから」とさけて、在来線を利用したのを思い浮かべた。

今週号の「AERA」に、ライターでラジオパーソナリティの武田砂鉄さんの『リニア中央新幹線はそもそも必要なのか』と題するエッセイが載っている。

武田さんは、3兆円の財政投融資で進められている国家的プロジェクトともいうべき「大事」の前には、「小事」が切り捨てられてその完成が優先されることを指摘する。

トンネルを掘った膨大な土をどこに捨てるかも決めず、盛り土による土砂災害への対策は立てられているのか。高いところから低いところに向かう水の流れが断ち切られれば、広範囲にわたって水位が低下する。岐阜県内の地下水位の低下は当初から警告されていたことの現われで、影響はもっと広域に広がるのではないか。これらが武田さんの危惧するところである。

リニア新幹線の経済効果について、東京・名古屋・大阪を短時間で結ぶ巨大都市圏の形成が挙げられているが、では大都市の間に挟まれた地域についてはどうなのか、「メガリージョン」と「地方創生」とは両立不能ではないか、と武田さんは指摘する。

わたしはこの意見を読んで、車に乗っていた時に比べて、歩いている方が周辺から得られる情報量がはるかに多いことを連想していた。

リニア中央新幹線工事遅延の最大原因といわれていた川勝さんが舌禍で静岡県知事を退いたが、地下水位の問題が浮上して、工事の完成は2034年以降にずれ込むことになった。

どうやらわたしは「ちょっと怖い」、「なんのために」の感じを抱きながら、リニアー中央新幹線の完成を見ずにこの世からいなくなることになりそうである。

 

遺  作

今日の「おんがく交差点」(テレビ東京)のゲストは、日本を代表するチェリストの苅田雅治さんだった。ホステスの大谷康子さんとは旧知の中で、話に花が咲き、大谷さんが珍しく多弁だった。

苅田さんがソロ演奏に選んだ曲は、尾崎宗吉作曲の『チェロとピアノの為の「夜の歌」』だった。作曲者の尾崎さんは1945年に戦死されている。この曲は戦地に赴く前の遺作である。

冒頭から曲に引き込まれた。悲しみを通り抜けた透明感とでも表現しようか、聴いているうちに涙が止まらなくなった。

上田市近郊にある画廊の「無言館」が心に浮かんだ。

 

サツキからアジサイへ 季節は移る

 

STOP WAR!

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする