かもめ食堂(映画)
なんとなくつけたテレビで、『かもめ食堂』という映画を観た。
観ているうちにだんだん引きずられて最後まで観てしまった。奇妙な映画だが面白かった。観終わってからWikipediaで映画のデータを調べた。2007年に公開された萩上直子監督の日本映画である。
ストーリーらしいものはない。
フィンランドの港町でサチエ(小林聡美)という日本人女性が、「かもめ食堂」という日本食を売り物にする食堂を開く。地元の人たちには珍しがられるが、客は全くない。
ある日日本かぶれのトンミ・ヒルトネンという青年が入ってきて、ガッッチャマンの主題歌の歌詞をたずねる。どうしても思い出せないサチエは、町で見かけたミドリ(片桐はいり)という日本人女性に歌詞を教えてもらい、それが縁でかもめ食堂を手伝ってもらうことになる。
ミドリは外国に行きたいと目をつぶって地図を指さしたら、そこがフィンランドだったという。
サチエは日本食にこだわるが、ふと焼いてみたフィンランド定番のシナモンロールのにおいに誘われて客が入るようになる。
そんなある日、日本人の女性がふらりと入って来る。彼女はマサコ(もたいまさこ)といって、両親が亡くなって介護から解放され、エアギターの選手権戦をやるようなおおらかなフィンランドにあこがれてやってきたという。ところがチッキの荷物が行方不明でしばらく滞在しなければならなくなり、その間店を訪れ結局食堂を手伝うことになる。
通りからいつも食堂の中を覗き込んでいる女性があり、意を決したらしく店に入ってきて、強い酒を注文し一気飲みしてつぶれてしまう。自宅まで送り届けられた女性は、3人を相手に「自分は亭主に逃げられてどうしていいかわからない」と訴える。それをフィンランド語を知らないマサコが受け止め、お互いに意を通じ友達になる。
ピクニックに出かけた留守中に、かもめ食堂の前に店を出していたオーナーが忘れ物を取りに入り、泥棒と間違えられるが仲直りして一緒にテーブルを囲む。
腹がすいたみんなは、サチエの提案でおにぎりを作って食べる。この「梅、かか、鮭」のおにぎりが店の定番メニューとなり、人気を呼ぶ。そしてついに「かもめ食堂」は満席の日を迎える。
煙に巻かれたような気がするが、心に残る映画である。
フィンランドという国に、「かもめ食堂」という日本が出現する。縁もゆかりもなかった3人の日本女性が、お互いの個性を発揮し、尊重しあいながら一種の日本人社会を形成する。そこに、箸を使って日本食を食べるフィンランド人の客が入り、一種奇妙な国際色が生まれる。
理屈は考えない方がいいだろう。言葉でいうより感じればいいと思う。3人の女優さんは淡々とそんな映画にふさわしい名演技を披露している。
あんまりおいしそうにおにぎりを食べるのを見て、わが家でも夕食はおにぎりにした。
カサブランカ
今年から仲間に入れてもらった公園花壇に植えたユリが開花した。
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