長谷川宏さん
朝日新聞今回の「語る 人生の贈りもの」は、在野の哲学者長谷川宏さんを取り上げていた。
長谷川さんは1960年代末から70年代にかけての大学の激動期に、東大全共闘の重鎮として活動されていたことを知っている。
全共闘と称する集団は、ノンセクトあるいはノンポリの学生が接着剤になって党派が取りこまれたような集団で、全共闘運動が沈静化するとともにノンセクトの学生は個に分散して生き方を模索し、それに伴って党派は党派としてそれぞれに分かれていくという経過をたどったように思う。
当時の運動についていろいろな総括を聞くが、あまり意味がないように感じる。むしろ、当時の思想・行動をどう自己に反映させて生きていくか、当時の状況に関しては個としての自己の総括しかなしえないのではないかと思う。その意味で、14回にわたる長谷川さんの語りはわたしにとって意義深いものであった。
長谷川さんは当時文学部の大学院生で、ノンセクトの立場で運動に参加されていたと記憶している。「人生の贈りもの」に記載されているが、運動の後大学には一切戻らないというけじめを自分に課し、在野の哲学者としての立場を貫いている。
学習塾を経営してたつきを立て、市井人・家庭人として暮らしながら読書会を組織し市民と交流している。在野の哲学者として矜持を持ち続け、難解な哲学書の翻訳で国際的にも高い評価を受け、大部の『日本精神史』を上梓する。
その生き方に「すごいなあ」と感心しつつ、どこかほっとしたものをわたしは感じている。
最終回で、長谷川さんは「最近気にかかるのは、出版界がわかりやすさばかり追っているように見えること、-----読者を甘く見ないほうがいい。」と言っている。なるほどと思う。
かといって『日本精神史』に取り掛かる勇気はない。数多い著書の中では何とか取り付けそうな『幸福とは何か』を読んでみようかなと思っている。
鉢植えのサトザクラ
カミさんの友達が写真を送ってくれた。
母の日に息子さんから贈られたとか。
STOP WAR!