すぷりんぐぶろぐ

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ちっぽけな邂逅だとしても

2011年10月25日 | 読書
 初めて新幹線の車内誌を家へ持ち帰った。

 「ご自由にお持ち帰りください」と記されているが、今までそんなことをしたことはなく、いつもペラペラとめくりながらそのままだった。大抵の人がそうだと思う。

 今回は持っていった新書などを読みふけていて、手をのばさなかったこともあるのだが、表紙の特集名に惹かれた。

 『邂逅の森』を旅する

 ああ、あれだと思った。
 数年前に熊谷達也作品群にはまるきっかけとなった小説だ。
 http://blog.goo.ne.jp/spring25-4/e/559055e8945cfc8921a5581d53b34251

 東北に住む私たちは、完璧なまでに稲作文化に育ったと思っていたが、実は狩猟文化の素地も少なくないことを考えさせてくれた。
 巻き狩りの場面など迫力があり、臨場感あふれる書きぶりは見事だったと思う。
 
 さて、この冊子の特集は「秋田マタギに学ぶ自然との共生」と題されていて、様々な資料を用いて、マタギのことが説明されている。
 当然ながら、そうした猟をする者は少なくなってはいるが、まだ40人ほど存在するという。
 そして昔ながらの風習を色濃く残す猟が行われていることに、少し驚きを感じる。
 その昔ながらの風習について細かく記されているが、つまりは山を、山の神を崇拝し、「獲物を授かる」という自然観によって形成されるものだ。

 比べようもないのだが、この秋は毎週のように秋の恵みを採りに、低い山へ入った。
 ほんの小一時間ほどであっても、ああこれが自然なんだなあと感じることも少なくない。
 一昨日などはわずかに残ったブナの林に踏み入ったときに、本当に久しぶりに「風がさざめく」という言葉を思い出し、しばし立ち止まったほどである。

 「自然に生かされている」などというといかにも美辞麗句のようだが、今起こっている様々なことを考えたとき、やはりその重みはぐっと強く感じられる。
 観光でもレクリェーションでもいいから、自然の中に身を置いて感じる体験は大切にしたいと思う。

 ちっぽけな邂逅だとしても、それはおそらく心が待ち望んでいたから感ずるに違いない。

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