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桜と絵本と豆乳と

23人の華を読む

2017年04月24日 | 読書
 アンソロジーとは「詞華集」を表していたが、今は特定ジャンルの作品集という意味にとらえられている。語源をもっとたどると「花集め」。そこから鉢植えに花を寄せるイメージが湧く。お気に入りの作家をめあてにしながら、他の作家の文章に触れると、そのイメージに納得する。知らない花はまだたくさんある。



2017読了39
 『最後の恋 MEN’S 』(伊坂幸太郎、他  新潮文庫)

 男性作家7人による執筆。男女による違いは正直わからない。分析できるほどの読み手でもない。個人的には朝井リョウと荻原浩の作品の仕掛けに惹かれた。恋は秘するほどに「物語」に近い気がする。それは内部情報の蓄積があり、攪拌があり、発酵があり…という過程をたどるからだ。目の付け所がスタイルになる。


2017読了40
 『見上げれば星は天に満ちて 心に残る物語~日本文学秀作選』(浅田次郎編  文春文庫)

 森鴎外の『百物語』を皮切りに12人の作家の13作品。編者の浅田は「私にとってのすぐれた小説」と書くが、文壇的に見ても?強力な布陣だ。短編小説にはストーリー、着想のインパクトが必須なことを思い知る。改めて中島敦の『山月記』には心打たれた。永井龍男は初めての気がする。小津映画のように感じた。


2017読了41
 『警官の貌』(今野 敏、他  双葉文庫)

 警察小説と言えば今野敏の『隠蔽捜査』程度しか知らない。他に3人の作家の短編が編まれている。刑事それも捜査一課に関わる人物が中心になるのが普通と思うが、ここでは主人公や主要な人物の設定が面白い。三課(窃盗等)や留置担当官、通訳捜査官…警察組織を描く醍醐味は、縦系列の中の多彩さの中にあった。

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