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龍馬くんと龍馬と弥太郎

2011年04月11日 | 読書
 『発達障がい児 本人の訴え ~龍馬くんの6年間』(向山洋一監修 東京教育技術研究所)

 この本は2冊シリーズで、1冊目については先月下旬に感想をメモしておいた。
 http://blog.goo.ne.jp/spring25-4/e/9676c18d43a63dc0341644eaa5e9d8b2

 2冊目もすぐに読んだのだが、年度替わりの忙しさにかまけて記録していなかった。改めて、いくつか記しておきたい。

 《Ⅱ 逐条解説編》と題されたこの本は、平山諭という臨床発達心理学の専門家の方が記している。
 自分の障害について記している龍馬くんが書いた文章に添う形で解説が書かれていてわかりやすい。情報として新鮮な事柄はさほど多くなかったが、そうかと考えさせられる箇所がいくつかあった。

 一般的に、日本人が同じ感情を持つ対象については、感情表現を教えてもいいとさえ、筆者は思っている。
 お花を見たら「きれい」か「かわいい」かだし、ハムスターや金魚は「かわいい」だろう。


 龍馬くんが、音楽の鑑賞の時間に「どんな感じか」と問われることに対してパニックを起こすことに対しての解説である。
 筆者の表現からは、現場では感情表現の指導としてパターン的な教え込みは一般的ではないことが予測されるが、現実はどうなのだろうか。

 感情の分類、言語化は普通学級でもあまり体系立てて行っている実践はないように思う。なんとなく刷り込まれいることが多いし、そのことを基にして、言葉の意味を再確認していくのは中学年ぐらいからが多いのかもしれない。
 感情表現の指導は、意見の分かれるところだろうが、もう少し綿密に検討されてしかるべきかもしれない。

 さて、発達障害を持つ偉人についてはある程度知っていたが、その中に「坂本龍馬」がいることは今まで知らなかった。筆者も例として挙げていた。ああそうなんだと、ネットで「坂本龍馬 発達障害」で検索すると、結構ヒットした。

 その真偽についてどうこうというわけではないが、龍馬像のイメージはどうしても最近のNHK大河ドラマがあり、重ねて考えてしまうのは仕方がないことか。
 福山クンの役どころをアスペルガーなどと決めつけたらお叱りをうけるだろうが、流布されている龍馬についての情報をみると、なるほど専門家でもそう判断するだけのことはあるようだ。

 龍馬がそうであれば、周囲は相当イライラしただろうに、と考える。
 そうだ、そうではないか。一番イライラしたのは、弥太郎だった。
 あのドラマは、龍馬に振り回されながら自分を築いた弥太郎という視点なので、その意味では相当面白い。

 本に戻って「龍馬くん」がこう言っているのだ。

 「僕にしつこくぐちゃぐちゃ言ってくる人は、僕と同じ発達障害者だ。」

 弥太郎もしかりと言うことか。
 いえいえ、史実とはずいぶん違うドラマであることはわかっているので…ああそれにしても、あの最終回の弥太郎の死に様は印象的だったなあ。今でも映像が目に焼き付いている。

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