すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

北紀行~やっぱりコトバ篇

2018年07月15日 | 雑記帳
 長いドライブにはよそ見運転がつきもの…なんて、怖いことは書かれないが、見知らぬ土地では運転中でも、つい看板や店名などに目が向きがちである。

 見慣れない名前やコトバは、助手席の連れ合いとの絶好の話のタネにもなる。
 ぱっと一瞬で見取ったゆえに、正確さに欠けるかもしれないが、なんだあっと思ったことをいくつか。


 「赤字丼」

 えっ…と思ったが、おそらく道内産のたくさんの名物、ネタなどをのっけて、採算を度外視した(ような)豪華などんぶりを指すのだろう。

 しかし、普通なら「満足丼」とか「北のスペシャル丼」のような名称になるのではないか。
 つまり、買い手にとっての感覚が問題なのではないか。

 それを「ウチは赤字覚悟で出してます」と言った自分だけの勢いを名付けてしまうのは、あまりに不遜ではないか。
 「食べさせてやる感」に通じる不快さも残る。
 食べなくともいいぞ、赤字丼は!

 いや、そうでなく、ひょっとすると果実の赤い汁がかけられている丼も考えられるか。



 「小さな人生の卒業式」

 信号で止まった角にあるセレモニーホールの看板には、そんな一文がデザインされていた。

 なるほどね。
 北海道に限らず、小規模や家族だけの葬儀も多くなっているのだろう。
 でもこれだと、比喩としての「卒業式」が「小さな」でなく、「人生」の方が「小さな」ととられないか。

 そりゃあ多くの場合その通りの細やかさであることは認めるが、誰も葬儀屋に「小さな人生」とは言われたくないような気がする。

 それから「卒業」というからは、「証書」が必要だけど、当人がもらえないんだね。



 「人生の甘納豆」

 いろいろなショップでお菓子などを見て、ネーミングに感心したけれど、ベストはこれかなと思う。
 黒豆を使っていて、その横に記されたコピーもなかなか洒落ていた。

 「黒(くろ)うかけますが  豆(まめ)にがんばります」

 垢抜けなくとも、ダサくとも、しみじみとした味わいがあるコトバは心に沁みるものだ。

コメントを投稿