すぷりんぐぶろぐ

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ぶれない自然体

2008年01月25日 | 雑記帳
 歌舞伎座の花道から登場する坂東玉三郎を観て、びっくりしたことがある。
 衣装で見えない裾の中に、まるで機械仕掛けの台車でも入れているような動きだ。
 頭が少しも動かない。上体にひとかけらのぶれも感じられない。

 録画しておいたNHKプロフェショナル仕事の流儀を見た。
 以前、佐渡の「鼓動」との共演ドキュメンタリーにも感動させられたが、今回はいわば玉三郎の核をなす部分に焦点が絞られていて、深く見入ってしまった。
 あの優美な踊りを見せる玉三郎が身体的なハンディを抱えていたことや、共演者との打ち上げなどの雑事にも参加せずひたすらにケアに励むことなど初めて知ることも多かった。

 年間500を越す公演をこなすための「流儀」は、これまでこの番組で取り上げられた様々なプロたちの中でも出色ではないかと感じた。
 それにしても、スタジオの中での玉三郎は肩の力が抜けていた。まさに自然体の趣きがあった。キャスターの質問に対して言いよどんでいる姿にも、自分の中の感覚を何より大切にしていることがわかる。

 遠くを見ない。明日だけを見る。

 このことばが自然体から導き出されるとき、その人間の大きさ、深さはいかばかりであろうか。
 想像もできない。


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