すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

重いことを語る薄い本

2008年09月13日 | 読書
 話すことが苦手であるという思いが強いからか、「話し方」などの本を買うことが多かった。
 しかしある程度の冊数を読んで、少し食傷気味であることも確かである。

 そうは思いながら、過日本屋で次の本を手に取った。
 
 『話すチカラをつくる本』(三笠書房)

 薄いくていい、愚娘にも読ませようかな、などという理由もあるが、やはり一番は著者。
 山田ズーニーだというところに惹かれた。
 ほぼ日で出している『おとなの小論文教室』は、その書名とは少しかけ離れた印象がある本だった。
 「書き方」よりも「生き方」のインパクトが強いとでも言ったらいいか…。

 この薄い本も確かに、「方法」「技術」がしっかり組み立てられながら書かれてあるが、やはり著者らしさが出ていると感じた。

 あなたの根っこにある思い

 「伝わる要件」の最後に出したこの言葉。
 話し方の本なのに、「何を言うか」より「どんな気持ちで言うか」が大事と言い切る。もちろん字面だけならその手の言葉はたくさん出会ったが、著者は「自分の根本思想は『自慢』でした」とさらけ出すことで、読み手との距離をぐっと縮めてみせる。

 もう一つ、今までの著書と重なっていて、山田が強調している言葉がこれだ。

 相手理解

 これを表面的に行ってしまったとき、人が信頼をなくすことを知らぬ者はいないだろう。
 つまり、根っこにある思いが対象である相手に向いていないとできないことである。
 そう考えると、「相手理解」は単純な言葉であるが、そこには真剣に向き合うという姿勢が貫かれていなければならない。

 コミュニケーションは実は重いものなんだと、この軽く薄い本は教えてくれる。

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