すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

大人の出番という難問

2008年08月10日 | 読書
 「子供の挑戦 大人の出番」(野口芳宏著 モラロジー研究所)を読んだ。

 23の小話は、どれも学校や子どもに関わる日常の風景を描いている。いくつか野口先生の著書で読んだ内容も含まれているが基本的には書き下ろしの形で機関誌に掲載されたものだ。

 結論が明示されているものが多いとはいえないが、将来を暗示しているようなエピソードで締めくくられているのがほとんどだ。その中で「12 指導力を超える子の出現」は、まったく先行きが見えないままに収められていた。
 ベテラン教諭の声に耳もかさずに乱暴な言動を続ける子。「来年も受け持ちを」と校長に言われ苦悩が深まったままに話は終わる。

 「本書は子育てを深く考え合うヒント集」とのことだし、自分で方向を考えよというのが著者(野口先生)の意味づけだろうが、それにしても困難さばかりが圧し掛かってくる。
 第二章「心を動かす言葉の力」に収められたことを考えても、担任教師は言葉を尽くしただろうし、誠意ある行動もしているように読み取れる。それでもなおかつ子供に改善は見られない。「熱い情熱」だけで解決できる様相でないことは明らかだ。

 とすればそれ以上のことが要求されている。それは何か。

 学校と教師の力だけで解決ができるというものでもありません。私は「解決」の鍵の一つが「平等」という言葉の功罪の吟味にあるのではないか、と考えています。

 それは指導という枠を超えた制度的な何か、ということになるのだろうか。
 具体的には、学級担任の責任を全うしただけではどうにもならぬほど、症状が進行しているのかどうかの見極めが大切だ。その後どんな態勢をとり、体制を作っていくか。かなり難問だ。

コメントを投稿