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想像力で昇華せよってこと

2024年05月02日 | 読書
 4月中旬からの読了はわずか2冊。Re35『僕たちの居場所論』(内田樹・平川克美・名越康文 角川新書)Re36『木挽町月光夜咄』(吉田篤弘 ちくま文庫)である。読み止め、読みかけも数冊あるが、まあ読書は進まなかったな。でもこの二冊は面白かった。内容が捉えきれなかった点もありつつ、肌が合うのだろう。


 吉田篤弘の小説は結構読んできたが、このエッセイで極まったのは、やはり都会人だということ。書名が表すように「江戸っ子」の血をひいている人はやはり違うなあと素直に憧れる。似たような感覚は松本隆にも抱いてしまうし、どうしても田舎者の手の届かない世界、その魅力は大きいし、この齢でもそう感じる。


 地方から都会への人口流失が止まらない訳は様々に分析される。人的環境や就職口の問題も確かにあるが、やはり「東京」への憧れが下地を作るのではないか。「テレビっ子第一世代」(笑)としては、あれだけ魅力のあるモノ・コトを見せ続けられたらそりゃそうでしょと言い訳がましく思う。諦めてこそ冷静になれる。


 それはそうと『~居場所論』である。あまりの整理下手は読了本の行方さえわからない。堂々と居場所を確保している三人の鼎談は痛快であり、「自分」のままに行動し見つけたようだ。「落ちつくべき場所。安心していられる場所」という意味に添えば、自分がもし都会に住んでいれば、その場所を見つけられたのか。



 2024.5.2 細いけれど今年のネマガリダケ初収穫。双子(笑)


 三者の道は様々だが、結局好きなことに没頭する、他者の締め付けに抗う、自ら居心地のいい場所を創り出すといったステップを踏んでいる気がした。だから説得力がある。引き寄せて我が身を考えると、中途半端さは否めない。ただ最後が肝心でありそれは可能なこと。都会への憧れは想像力で昇華せよってことか。


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