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桜と絵本と豆乳と

梅雨期の読書は五月晴れ

2021年06月28日 | 読書
 今月は後半になって、結構「読める」本に出合った。まとまった感想は記せないが、メモだけはしておこう。


『願わくは、鳩のごとくに』(杉田成道  扶桑社)

 もちろん『北の国から』フリークを自認する者として、杉田演出もしくは監督映像作品は注目してきた。ただ著作は読んだことがなかった。2010年発刊の本なのでドラマ終盤そして最終回の件が実に興味深い。
 しかし、本の中心は著者自身の家族や再婚のことで、57歳にして30も年下の女性と一緒になった波乱のドラマ(笑)は面白い。結婚式の参加者へ渡したという手紙の一節が全てを物語る。
「変化するのが人の世ならば、どんな変化もお友達」



『逃亡小説集』(吉田修一  角川書店)

 「逃げろ ○○」と題された4編からなっている。いずれも読ませる。吉田作品の中でもかなり読みやすい部類だ。
 読了後ふと思い出したのが『スマホ脳』という新書に書かれてあった、私たちの現実とは大昔から「闘争か逃走か」の連続であるということ。受けとめて立ち向かわなければ逃げるしかない、ごく当たり前の選択はいつも目の前だ。
 この小説では結局「立ち向かう」機会をつぶされたり、逃したりの連続によって「逃げる」行為がクローズアップされていく。同化しそうになる自分が見え隠れした。



『二度寝で番茶』(木皿泉  双葉文庫)

 数年前、ある若い方に「意外と女性目線ですね」と褒められた(?)ことを思い出した。というのは、この文庫の「帯」の惹句(読了してから目についた)は小泉今日子、窪美澄、川上弘美と、いずれも女性であったから、そして三人が書いている文章にも共感できたからだ。
 夫婦ユニットの脚本家によるエッセイ数編と、二人による対談によって構成されている。実にぴりりとしている文章、そして言葉のキャッチボールがまた素晴らしい。
何度も読み返したくなる」はまさにその通り、現にすぐ読み返した部分もある。
 そのメモは明日へ。


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