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黒い現実は連鎖する

2022年03月27日 | 読書
 放送される番組数としても多いわけだが、いわゆる刑事ドラマ、警察モノが好きである。四半期クールで必ず一つは観ている気がする。シリーズ化されている人気番組も半分はお気に入りだ。この文庫のトリビアは「事件」「警察」「鑑識」「刑罰」と章立てされていて既知のこともあったがヘェー20以上(笑)与えられる。


『黒のトリビア』(新潮社事件取材班  新潮文庫)


 関係ないが、昼に食した黒いラーメン


 事件編は、猟奇的な事柄が多く、なかには映像では扱いにくいだろうなと思うこともあった。また、これは鑑識編であるが「人間は死後三日で、身体の容積が倍になる」という記述もあり、解剖医を扱った話もよく観ていてもあまり触れられていなかった気がする。当然とはいえ、現実とドラマとはあまりに違う。


 「死体は出産する」という項目があり「棺内分娩」というらしい。妊婦が殺されベッド下に隠されたが、「巨人様化」しマットを持ち上げるほどになって発見された例もあるという。事件や事故による死は、単純な病死とは姿がかけ離れることを想像すると身近な者の痛みとはいかほどか。出逢いたくない現実である。


 そう言われれば…と膝を打ったのが、刑罰編の事柄だ。「判決の最初に、裁判官が『被告人は…』と『は』から始めれば、言い渡しは無罪」。確かに数多くないが、判決言い渡しのシーンにあるようだと思い出す。これは「主文と判決理由」のどちらを先に言うか、つまり「被告人を…」が先だと有罪という形だ。


 もちろん例外もある。「死刑などを言い渡す際は衝撃が大きいので、先に判決理由から述べることが多い」という付記もあった。いずれそういう場に立ち会った経験はないし、したくもない。ともあれ社会の中では犯罪に絡む黒い現実が連鎖して起っていると想うことは無意味ではない。驚きがほんのちょっと薄まる。