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「大岡裁き」をつかませる

2021年07月07日 | 絵本
 講談絵本に挑んだ(笑)のは、昨年の末だ。その顛末はここへも書いた。同じシリーズを6冊取り揃えてみた。現状では小学生相手がほとんどなので、何を取り上げても内容の難しさがある。しかし、いわば「調子よく語るお話」を耳に入れたいというねらいであれば、それはそれで今どき価値があるのでは…と考えた。


『大岡越前 しばられ地蔵』(石崎洋司・文 北村裕花・絵 講談社) 



 同世代であれば大岡越前といえば加藤剛だな…それはともかく、いわゆる「大岡裁き」の有名な話の一つであろう。「荷かつぎ人足」の弥五郎が、南蔵院という寺の地蔵様の前で昼寝をし反物を盗まれ、相談した善太郎が奉行所にその顛末を話したら、名奉行と言われた大岡さまが「地蔵が盗人と通じ…」と断を下し…。


 絵本作家として有名な北村裕花。親しみやすさがあり、奇をてらった描き方もしていない。馴染みやすいとは思うが、文章の方はやはり「武家ことば」が多いので、今の子どもたちは意味をつかみにくい。時代劇ドラマがたくさんあった昭和期とは違うだろう。会話の調子によって「身分」を感じさせる必要があるか。


 俗にいう大岡裁きのパターンは解決の仕方にからくりがあり、それが逆転劇という形をとる。大人なら簡単に理解出来るが、やはり小学生には難易度高し。そこを絵の力を借りて雰囲気をつかませよう。「難しい言葉や知らない土地の名前はあるけど、絵から想像してみよう!」と言い訳し、再び始めることにしよっ(笑)