すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

欲まみれの幸せの予感

2020年08月25日 | 読書
 ヨシタケファンは多くいると思う。絵本に限らず、こうした「スケッチ解説エッセイ」に読み手が何を求めているかと考えると、脱力しながらの自己肯定感のようなものか。帯に「しいていうなら、くらしの知恵に。」と書かれてある。視点が独特なので、「たしかに、たしかに」と呟きたくなる「知恵」が見つかる。


 『欲が出ました』(ヨシタケシンスケ  新潮社)



 ずらっと30分で読了できた本。その中で心に残ったことを取りあえず三つ挙げてみよう。

 「心にはめる軍手のようなものが欲しい」

 危険物はともかく、軍手をはめるといろいろなモノに触ることの抵抗は減る。
 その意味で、心の中?周り?に何か入れておくような習慣があれば、様々な物事に挑戦していけるんじゃないか、と納得してしまった。
 軍手をするイメージづくりが大事かな。


 「世の中って、やっぱり正しいかどうかでは回っていない。正しいかどうかではなく、誰かの『気がすむ』かどうか、なんですね」

 この「気がすむ」という感覚を、著者は「子育て」をしていることから得ているが、孫と触れていて改めてなるほどと思う。
 そしてそれが人間の本性で、様々な日常の出来事、社会、政治等々いろいろなことであるんだなと、妙に納得できる。
 コロナ禍に関する政策も、そういうことだったかと思うと、腑に落ちる。


 「実際にいいことがなくても、『幸せの予感』さえあれば、どうにかやっていける」

 前向きとか楽観的とか言い換えられそうだが、「何かいいことが…」「明日はもっと…」と、誰にもある気持ちを動かす、膨らますということが大事だ。
 つい占いを見てしまう、そして「いいこと」だけを信じるような習慣は続けるべきだろう。そしてもしかしたら「幸せの予感」と小さく呟くのもいい習慣かもしれない。

 これも「欲」ではあるが…。