すぷりんぐぶろぐ

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「盗む」は一つの極意

2009年02月04日 | 読書
 なんといっても、題名が秀逸だ。

 『経験を盗め』(中公文庫) 
 まさに糸井重里という稀代の聞き手だからこそ考え付くネーミングだ。

 鼎談という形をとって、様々なジャンルの話題を取り上げているが、どれも面白く読める。ほとんど知識がないことでも興味深く思えてくるのは、やはり糸井の腕(口?頭?)だろう。

 内容はともかく、「経験は盗めるものか」とふと思う。もちろん比喩にしか過ぎないこの表現には、かなり強い意志が含まれている。

 「学ぶ」よりも強い「盗む」。

 かつて職人の世界における修業の常套語のように言われたこの言葉を、用いるということはどういうことだろうか。
 必要だから「盗む」。役立つと思うから「盗む」。大切なことを発見したらほしくなるでしょう…
 そう考えていくと「盗め」と命令形にしたのは、語り合いへの強く参加を薦める意図のように思えてくる。
 
 そして、ぼんやり探しても大切なものは見つからない。

 「盗む」は一つの極意だなあと感じる。