<スポーツ雑感+ 2025/4/29-2>
今年の「全日本柔道選手権大会」の後半を盛り上げたのは、原沢久喜(長府工産)だった。3回戦、準々決勝で、試合時間(5分間)内に決着がつかない旗判定が多くなり、会場の雰囲気がよどんでいた中、準々決勝では、上林山裕馬を腕ひしぎ十字固めで秒殺(試合時間56秒)し、準決勝では、増山香補を試合終了間際に谷落としでしとめ、2試合続けての一本勝ちで観客を沸かせた。その勢いで、7年ぶりの優勝かと思ったが、原沢には疲労がたまっていたようだ。
香川との決勝戦の序盤、足技をかけたことで右足を攣ってしまい、しばらく動けなかった。また、準決勝までの試合よりも3分間長い、8分間の決勝戦の中盤あたりからは、明らかに疲労の色が濃くなっていた。
この要因として、今年の大会は試合数が多かったことがあるのではないか。今年は、昨年のパリ五輪のメダリスト、世界選手権の優勝者という推薦選手が5人も出場した。よって、出場選手数が昨年の42人から47人になり、大会全体の試合数も5試合増えた。しかし、1日のスケジュールは、昨年と同じで、10時40分ごろから1試合目が始まり、決勝戦は17時30分からだった。決勝戦の開始時間はNHKの中継の都合で動かせないと思われる。
この結果、試合スケジュールが過密になり、特に後半の準々決勝と準決勝、準決勝と決勝の間のインターバル(選手にとっての休憩時間)が昨年よりもかなり短くなっていたのではないか。実際に検証したわけではないが、準決勝、決勝の開始時間のアナウンスを聞いて、2度とも「えっ!」と思ったし、例年だと余裕でトイレや売店に行っていたのに、今年はあまり余裕がなかった。
推薦選手の出場で大会が盛り上がったのはよかったが、ベテランの原沢には少し不利に働いたかもしれない。