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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



iRB RWCフランス2007
日本 31対35 フィジー
(2007/9/13 NTV)

この試合にすべてを賭けていたカーワン・ジャパンが、4点差で惜敗した。ノーサイドの瞬間、ジャパンの面々はグラウンドに崩れ落ち、カーワンHCは、何事かを叫び、くやしさをあらわにした。

オーストラリア戦とは別のチームで臨んだ真の日本代表は、フィジーに先制されるも、気持ちの入ったプレーを披露した。事実、前半は9対10とリードされながら、後半に逆転をし、まさに一進一退の展開。ジャパンは、後半20分過ぎのトライで1点差に迫った直後、SH矢富が負傷し、交代退場。その後、フィジーにトライ、ゴール、PGを許し11点差となり、この試合の最大得点差となった。そして、終盤の粘りむなしくジャパンは敗れた。

終盤のジャパンの粘りは、スタンドから「ジャポン、ジャポン」の大声援を誘った。“Brave Blossom”と称された4年前の豪州大会でのスコットランド戦が思い出された。確かに、“Brave Blossom”が、ワールドカップの舞台に戻っていた。

しかし、この試合は、ジャパンのスピリットを見せるだけでは不十分だった。なぜならば、カーワン・ジャパンは、この大会では、感動よりも勝利を選んだからだ。2チーム制を採り、オーストラリア戦を捨て、フィジーを倒すことこそが、目標(ベスト8)に向かうための最も重要なポイントだった。世界ランク12位のフィジーは、同18位のジャパンにとって、十分に射程圏内の相手だった。だから、勝たなくてはならなかったし、勝たなくては意味のない試合だった。感動に満足してはいけない試合だった。

次の対戦相手は、強豪ウェールズ。オーストラリアとフィジーに敗れたことによって、決勝トーナメントへの自力進出の可能性はなくなった。しかし、ウェールズに勝てば、他力ながらも、その可能性は広がる。

目標達成の可能性があるうちは、あくまでも勝利にこだわったカーワン・ジャパンの姿勢を貫いて欲しいと思う。好結果が出ないまま大会が進むにつれて、勝利から感動へとシフトしてしまった世界陸上の日本チームのような姿は見たくない。

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iRB RWCフランス2007
オーストラリア 91対3 日本
(2007/9/9 NTV)

iRBラグビー・ワールドカップ・フランス2007が開幕した。その大会2日目、日本がオーストラリアと対戦し、予定通りに敗れた。

「予定通り」というのは、今大会に臨むカーワン・ジャパンは、初戦のオーストラリアは主力を温存した捨て試合とし、2戦目のフィジー戦を本命チームで戦い、勝利をもぎとろうとしているからだ。いわゆる2チーム制をとって、フィジー戦で勝利をし、次のウェールズ戦への弾みをつけ、続くカナダにも勝って、ベスト8へ進出しようという狙いである。

日本代表のジョン・カーワン・ヘッドコーチが、その方針を発表してから、多くの意見、批判があった。しかし、前回のラグビーワールドカップでイタリアを率いたカーワンが、同じ戦略で2勝を上げた実績があること、今大会の試合日程の不公平さ(日本は試合の間が短い)、そして現実的にどうやったら日本が勝利をおさめることができるのか、などから、この2チーム制が実践されることになった。

その結果、前半こそオーストラリア23点対日本3点と善戦したものの、後半は68対0と無得点に抑えられ、合計91対3と完敗したわけである。敗戦は想定内だが、その内容をみると、日本のパフォーマンスは、準代表とはいえ、得点差以上にひどかった。特に後半。はたしてフィジー戦の真の代表に影響はないのだろうか。

前日におこなわれた開幕戦では、地元のフランスがアルゼンチンに敗れた。アルゼンチンの実力や開幕戦ということを考えれば、必ずしも番狂わせとはいえないが、ちょっとした波乱ではある。アルゼンチンが、格上のホスト国に果敢に立ち向かい、勝利したこともあり、あらためて日本の戦う姿勢、大会に臨む姿勢に複雑な思いをもった。

次の日本対フィジー戦には、想定していた以上の注目が集まることを覚悟しておかなければならないだろう。


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オーストリア 0対0 日本(PK4-3)
(2007/9/8 TBS)

スイスとオーストリアの2カ国共催のEURO2008のプレ大会「3大陸トーナメント」がはじまった。この大会では、招待された日本とチリが、ホスト国のオーストリアとスイスと対戦する。招待国同士、ホスト国同士の対戦がない、いびつなトーナメントであり、まさに準備のための大会である。

初戦でオーストリアと対戦した日本は、アジアカップの反省をふまえた布陣となった。最終ラインに闘莉王が、トップには田中達也が起用された。また、途中で、松井大輔も交代出場した。意外(?)に素直なオシム監督の采配だった。

結果的に、この布陣は成功したと思う。得点こそ奪うことはできなかったが、中澤と闘莉王が中央を固める最終ラインはまったく危なげがなかった。また、攻撃面では、現在の日本代表の特徴である巧みなパスワークに、田中達也や松井の、前へ前へといくドリブルが加わった。中盤の稲本、鈴木啓太の豊富な運動量と中盤での激しい守備も目だっていた。

アジア大会を終え、その反省を、新たな選手を加えることで、すぐにカバーできるということは、それだけ日本サッカーの選手層が厚くなっているということだろう。この中に、U-20、U-22世代が加われば、さらに楽しみなチームになるのだが……。

ホスト国のオーストラリアは、前半15分頃までは、中盤の激しいチェックからカウンターを狙うかたちで、試合を優勢に進めた。しかし、日本があわてずにパスをまわしつづけることで、その勢いは失せてしまった。最終ラインの4人はしっかりしていたが、中盤と前線のタレント不足は明らかである。

EURO2008の本番まで、あと約10ヵ月。PK戦で勝ったものの、試合内容のふがいなさから、地元の大観衆のブーイングを浴びていたオーストリアだったが、現状では、「負けない」という現実的な戦い方をつきつめていくしかないようだ。


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