sports-freak.blog
観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



横浜FC 3対1 ベガルタ仙台(国立競技場)

心地よい秋の夜のサッカー観戦。横浜FCには10年前に、フランスW杯を目指して、ここ国立競技場で戦っていた選手が4人もいた。彼らがいい味を出して、横浜FCが快勝した。

最初は三浦知良だった。試合開始早々、カズが蹴ったフリーキックは、クロスバーを直撃。続いて、ドリブルからの左足のシュートは、仙台GK小針の好セーブに阻まれる。体調不良でここ数試合欠場していたが、復活の兆しが見える。1点をリードした前半25分には、カズのCKから滝沢がヘッドでゴールを決めた。後半にも、DFを背負いながらのシュートを放ったり、鋭いクロスを供給するなど、ゴールこそなかったが、カズらしさを見せてくれた。

横浜の先制点を決めたのは、キャプテン城彰二だった。前半19分右サイドからの長いクロスに、ファーサイドに流れながら、頭で合わせた。せっていたDFから逃げながら、ボールはGKの逆を突く、技ありのゴールだった。途中、負傷退場してしまったのが心配だ。

守備の要は小村徳男だった。広島から期限付き移籍で横浜に来た。4バックの中央で、仙台の攻撃をどっしりと受け止め、堅実なクリアを繰り返す。3点リードした後に、カウンターを受け失点してしまったが、その落ち着いたプレーぶりは、回りのプレーヤーの心の支えとなるだろう。

この試合をコントロールしていたのは、山口素弘だった。90分の間、ほとんど走らず、センターサークル近辺をうろうろしているだけのように見えた。しかし、横浜の特徴でもある相手をじらすようなスローなパス交換のテンポに変化をつけていたのは山口だったし、ピンチになる前に、ロペスを中心とした仙台の攻撃の芽を摘んでいたのも山口だった。時間がたつにつれ、山口の存在感は大きくなった。

いつのまにか、この試合はベテランのペースになっていたようだ。ゆったりとしたなかにも味のあるのが横浜FCのサッカーだった。今、J2で3位にいる横浜FCは、十分にJ1昇格の可能性を残している。しかし、J1に上がってしまったら、今のような試合を展開することは難しいだろう。選手も大幅に入れ替える必要に迫られるはずだ。

サポーターには怒られるかもしれないが、横浜FCには、このままJ2に残って、今日のようなプレーを見せてもらいたいと思った試合だった。

コメント ( 0 ) | Trackback (  )




あらかじめ聞いていたとはいえ、いざ、実際に「最終回」となっているのを見ると、やはり残念であり、さびしい。サッカーマガジンに40年以上連載していた、サッカージャーナリスト・牛木素吉郎さんのコラム「ビバ!サッカー」のことだ。(正確には、「ビバ!サッカー」というタイトルは1980年4月からだが。)

サッカーマガジンはいうまでもなく、商業雑誌である。だから、少しでも多く売らなければならない。そのために、今のサッカーファンにあった内容に変わっていくのは仕方がないことではある。

しかし、今夏のドイツW杯に関しても、スタジアムの外にこそドイツ大会の特徴があったのに、多くの日本のメディアは日本代表の結果や海外の有名選手の動向に終始していた。そのなかで、牛木さんは、スタジアムの外にも目を向けて、世界最大のスポーツイベントの表裏をリポートしてくれていた。読売新聞に載っていた牛木さんの記事の存在感は際立っていた。

老いたとはいえ、まだまだ気力も体力も十分にあり、その鋭い視点は、依然として若手記者、ライターの目標となろう牛木さんのようなジャーナリストが、新聞や雑誌といったマスメディアから、レギュラーで記事を発表する場を失ってしまうのは大きな損失ではないか。

ただし、今はインターネットの時代である。インターネットのおかげで、牛木さんは、今後も、多くのファンとコミュニケーションを続けていくことができる。サッカーマガジンの連載は終わってしまったが、その分、インターネット上で、自由奔放に、活躍していただきたいと思う。

「ビバ!サッカーの公式サイト」は、こちらから。

コメント ( 0 ) | Trackback (  )




サッカーマガジンを長年愛読してきたが、ここ何年かの間、編集長が交代するたびに、読みたい記事が少なくなってきたように感じていた。ぼくが読みたい記事とは、サッカーマガジン編集部の記者が書いている試合のレポートなどではなく、社外のフリーのライターやベテラン記者による、独自の視点をもった記事やコラムである。

えのきどいちろうさんのコラムが終了し、望月三起也さんのコーナーも、先週号であと2回と終了予告がされていた。そして、まだ誌上では発表されていないが、40年間続いた超ベテラン記者の時評も今月で終わるらしい。

インターネットにおされて苦戦をしている週刊誌が、新たな方向を模索しなければならないことは十分に理解できる。そして、その方向の先に、すなわち、これからのサッカーマガジンのターゲット(=想定購買読者)として、自分のようなオールドファンが設定されていないだろうことも。

いよいよ、サッカーマガジンとのお別れのときがきたようだ。

コメント ( 1 ) | Trackback (  )




UEFAチャンピオンズリーグダイジェスト(フジTV)

深夜にチャンピオンズリーグのダイジェスト番組を見た。フジテレビの新人女子アナウンサーが、本気で素人っぽくてなかなかよい。
さて、番組がCMに切り替わるときに、写真のようなマークが数秒間流れていた。今季からの新しいもののようだった。UEFAチャンピオンズリーグのメインスポンサーであるハイネケンの色とロゴが基調になっている。これは、今までと変わらない。しかし、この長楕円形は何の意味があるのだろうと考えた。そういえば、番組の冒頭で、ハイネケンとともにSONYもスポンサーとして紹介されていた。このマークのかたちは、ゲーム機、PSP(Play Station Portable)ではないか。
こんなちょっとしたアイデアを発見すると、ちょっとだけうれしくなってしまうのである。

コメント ( 0 ) | Trackback (  )




清水エスパルス対鹿島アントラーズ(国立競技場)

清水、鹿島、両チームにとって、優勝争いに加わるためには何とか勝ち点3をものにしたい試合だった。

清水エスパルスのホームゲームだったが、場所は国立競技場。鹿島のサポーターも多く、雰囲気は中立会場だった。そのせいか、序盤から鹿島の方が優勢に試合を進める。中盤での早いつぶしから、積極的に清水のゴールに迫る。小笠原がいなくなった鹿島だったが、フェルナンド、野沢、深井らのコンビネーションがよく、軽快なパスワークを見せた。

先制点は鹿島のフェルナンドのミドルシュートから。清水、鹿島ともに何度かチャンスをつくるもののゴールキーパーをおびやかすようなシュートはなく、無得点のまま前半が終わるかと思っていたときだった。深井からのパスを受けたフェルナンドがゴール左上すみに決めた。

後半の追加点は、フェルナンドのパスから野沢が、味方の選手と交錯しながら清水のディフェンスをかわし、ゴールキーパーの手をかすめる技ありのゴールを決めた。

2点とも、早いパス回しで清水の守備陣を混乱させたところで、余裕をもってペナルティエリア外からの距離のあるシュートを放った結果だった。

小笠原がイタリアに移籍し、柳沢とアレックス・ミネイロが先発からはずれた鹿島だったが、かえってとてもまとまりのあるチームになったのではないか。鹿島との対戦を残すガンバ大阪、川崎フロンターレにとっては、嫌なチームになりつつある。

前半から鹿島におされていた清水は、カウンター狙いが多く、まるでアウェーの試合を戦っているように見えた。鹿島と比べると、中盤での攻撃・守備にねばりがなかった。ここのところ8試合負けなしで、急上昇しているチームのサッカーを見たいと思っていたが、今日のところは小休止だったようだ。次節、浦和戦での復活を期待したい。

コメント ( 0 ) | Trackback (  )




先週、世界バスケを観戦したさいたまスーパーアリーナで、プライド無差別級グランプリ2006決勝戦を見た。プライドの観戦は、昨年の8月にヘビー級グランプリ決勝戦以来、およそ1年ぶりだった。

昨年との一番大きなちがいは、フジテレビが放送を中止し、イベントにも関与していないことだろう。イベントとしては、これまでのプライドと同じように見えたが、会場の装飾や対戦カードを紹介する映像がやや貧弱になっていたように思った。また、決勝戦をリングサイドで観戦していたノゲイラが、負傷を理由に、決勝戦後の3位選手の表彰式に姿を見せなかったことなど、段取りの拙さも垣間見えた。

ただ、そんなことよりも、リングの上の密度が濃くなれば問題はなかったのだが。

準決勝のミルコ・クロコップ対バンダレイ・シウバ、ホドリゴ・ノゲイラ対ジョシュ・バーネットの2つの試合は、十二分に見ごたえがあった。これまでのプライドの看板選手同士の決勝戦進出をかけた戦いは、大観衆を熱狂させた。

そして、ミルコ対ジョシュの決勝戦も、準決勝以上に見る者の心を熱くした。この日、32歳の誕生日を迎えたミルコが優位に試合を進める。ノゲイラとの対戦でのダメージが感じられるジョシュは、寝技に持ち込みたいところだが、逆に、ミルコに上になられてしまう。ミルコがマウント状態からパンチを繰り出す。最後は、必死にこらえるジョシュの左目あたりにとどめのパンチが入り、ジョシュが思わずタップ。試合後のジョシュの顔の左半分は少し変形していたのではなかったか。短い時間で決着がついたものの、2人のプライドが凝縮していた試合だった。

試合後の表彰式で、チャンピオンベルトを腰に巻いたミルコが泣いていた。プライドという舞台での、これまでの苦悩が思い起こされたのだろう。いよいよ、ヒョードルとの対戦が待っている。

無差別級グランプリの試合はプライドらしい素晴らしいものだった。しかし、その一方で、この日登場した新たな顔が総崩れだったことは、プライドの厳しさとともに、プライドの今後の不安を感じさせた。

韓国相撲シルムの王者、イ・テヒョンとベテランファイター、ヒカルド・モラエスの対戦では、両選手にテクニック、スタミナ、スピリットのすべてが欠如していて、場内の失笑を買うはめになった。続く、期待の日本人選手、中尾“KISS”芳広と中村和裕の対戦も、「戦い」の片鱗さえなく、最後はブーイングの嵐となった。マウリシオ・ショーグンに敗れたザ・スネークもシャープな蹴りを披露したものの、総合格闘技の場には程遠い選手だった。今後も新たな選手の発掘に期待したいが、そのときの最低条件として、「気持ちの折れない選手=プライドを放棄しない選手」であることをあげておきたい。

プライドがフジテレビと決別してから3ヶ月。この日の観衆の数は4万7410人と発表された。多くのプライドファンの期待にこたえるためにも、主催のDSE(ドリーム・ステージ・エンターテインメント)には、確固としたプライドをもって、がんばってほしいと思う。

コメント ( 0 ) | Trackback (  )




日本対イエメン(TBS)

帰宅してから、後半だけをTBSテレビで見た。
画面がやけにみづらいな、と思いながら見ていると。「イエメンのテレビ局が制作した映像を中心に放送しています」というテロップが流れた。TBSのカメラが撮っていたのは、ベンチのオシム監督の様子だけだったのだろう。映像のひどさをTBSのせいにされたらたまらないということか。

その映像よりもひどかったのが、ピッチ・コンディションだった。でこぼこの芝生のために、日本選手のボールコントロールはとても不安定だった。ぼくが見た後半は、ほとんど日本がボールを保持していたために、相手のイエメン以上に、日本の拙さが目立った。

そして、そのひどいピッチの上で、日本選手は、ひたすら、まじめに自分たちが目指すオシム・サッカーを展開しようとしているように見えた。つまり、内容をともなった結果を得ようともがいていたように。あるいは、そうするしか得点をとることができないかのように。

試合は後半ロスタイムに途中交代出場の我那覇がゴールを決め、1対0で日本が勝った。DF坪井からのクロスをFW巻がヘッドでゴール前に落としたところに、もう1人のFW我那覇が走りこみ、冷静にイエメンのGKの逆を突いた。悪いピッチコンディションで得点するためのお手本のようなゴールだった。

もっと早い時間から、トライすべきプレーだったと思った。ベンチからの指示がどうあったのかはわからない。しかし、ピッチに立つ選手たちが、自分たちで感じ、考えて、もう少し柔軟にプレーをしていれば、ロスタイムまで待つことなく、日本は得点できていたにちがいない。

コメント ( 0 ) | Trackback (  )




決勝戦:スペイン対ギリシャ(さいたまスーパーアリーナ)


準決勝で負った骨折のためエースのパウ・ガソルを欠いたスペインが、準決勝でUSAを破ったギリシャを圧倒した。最終スコアは70対47。USAから100点以上をとったギリシャを、その半分以下に抑えたのだから、スペインのディフェンスがいかに素晴らしかったか容易に想像できるだろう。

ギリシャ相手に、2-3のゾーン・ディフェンスとマン・ツー・マンディフェンスを巧みに使い分けたスペインだった。しかし、どちらのディフェンスのときでも、ギリシャのローポストプレーヤーがボールを持つと、すばやくダブル・チームを、ときには3人がかりでトリプル・チームを仕掛け、ギリシャのセンター陣にまったく仕事をさせなかった。1対1のディフェンスでも強烈なプレッシャーをかけ続けながら、機を見てダブルチームを仕掛け、そのカバーリングに次の選手が入る。見事なチームディフェンスだった。

攻めでは、カベサス(6番)、ナバーロ(7番)、カルデロン(8番)のガード陣が魅せてくれた。独特のテンポから積極的にドリブルインをし、ゴール下で詰まったところから、まわりの選手に好パスを供給する。そして、そのパスを受けた選手が確実にシュートを決める。この日、アウトサイドでパスの受け手となったセンタープレーヤーのガルバホサとガードのナバーロは2人で10本もの3ポイントを決めた。

第2クォーターが終わり、43対23とスペインが20点差をつけたところで勝負はあった。ギリシャは準決勝でUSAを破ったことで、燃え尽きてしまったのだろうか。1試合40分間の間には、必ずギリシャのペースになることがあるだろうと、後半のギリシャの奮起に期待をかけたのだが。

案の定、後半、第3クォーターの序盤、ギリシャが先に得点を挙げ、スペインが何本かシュートミスを犯す。ギリシャの時間が来たか、と思いきや、スペインの8番カルデロンのドリブルプレーで、スペインがペースを取り戻してしまった。せっかくのチャンスを生かせなかったギリシャから勝機は完全に去った。

その後の試合に見るべきものはなかった。ただただ、スペインの世界選手権初優勝の瞬間を待つだけだった。

決勝戦らしい緊張感みなぎる接戦を期待していたので、ちょっと残念な得点差となってしまった。しかし、優勝したスペインのバスケットボールを生で見ることができたのは貴重な経験だった。なにしろ、スペインのガード陣がボールを持っているときの、すなわちドリブルをしているときの独特の間合い、テンポ、身のこなしを楽しむことができた。彼らは、まるで猛々しい闘牛と対峙する勇敢なマタドール(闘牛士)のようだった。

コメント ( 0 ) | Trackback (  )