<スポーツ雑感+ 2025/3/18>
東京五輪・贈収賄疑惑の角川歴彦被告の公判を傍聴した。いつもの東京地裁104号法廷で、一般傍聴人の約15人も、だいたい同じ顔ぶれだ。
本日の証人は、事件当時、KADOKAWAの広告局、ビジネスプロデュース局に所属し、その後、東京五輪を担当する2021年室の業務も兼務し、すでに有罪が確定している馬庭教二元室長の部下にあたる人物。公判中の組織委元理事、高橋治之被告とのつなぎ役となった元電通雑誌局長でコモンズ2代表の深見和政被告(公判中)と長い付き合いがあったことで、KADOKAWAと深見被告との窓口・仲介役になっていた。しかし、角川被告とは、直接、話をしたこともなく、「雲の上の人」と証言。この証人から角川被告に関連情報が伝えられることはないだろう、ということだけは明らかになった尋問だった。
検察側の主尋問のなかで、検察官が少しイラつく場面があった。今日の証言内容が、2022年8月から10月にかけておこなわれた取り調べの内容(調書)と違っていたようなのだ。証人は、当時は、逮捕されるかもしれない「被疑者」として呼ばれて緊張していたが、今回、証言するにあたり、あらためて頭を整理した結果だと説明した。確かに、事件は2016年(9年前)のことであり、検察による取り調べは2022年秋(約2年半前)で、今回の証人尋問である。いくらメールなどの書類を見せられても、細かい記憶やニュアンスが違ってくるのも当然だろう。
また、東京五輪の汚職、談合疑惑の一連の公判を傍聴していて、検察官、弁護人、裁判官が、広告代理店の業務やスポーツマーケティングに対する理解度があまり高くないと感じる。実際、業界人でも、幅広く、複雑な代理店業務を十分に理解しているとは思えないが、その検察官や弁護人の尋問に対して、証人は簡潔に答えなければならず、ときにチグハグな証言がなされている。
そんな証言・供述の信用性がカギとなる、この贈収賄案件。先は長そうだが、行方を追っていきたい。