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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



全日本柔道選手権大会
2011/4/29 日本武道館

もう、かれこれ10年は通い続けている4月29日の全日本柔道選手権大会。今年は、アテネ・オリンピック100kg超級の金メダリスト、鈴木桂治が4年ぶり2回目の王者に返り咲いた。鈴木が1本で優勝を決めた瞬間は、本人のガッツポーズは当然ながら、日本武道館に復活を祝う拍手がうずまいた。
この日の鈴木は、2回戦からの登場。初戦はやや鈍い動きで優勢勝ち。3回戦は見事な内股で1本を奪う。4回戦は旗判定ながら3対0。準決勝では、2回戦で前年王者の高橋を破った本郷光道を押さえ込み1本。決勝まで徐々に自分を高めていく、ベテランらしい戦いぶりだった。
決勝戦の相手は、2年前の王者、穴井隆将だった。穴井は、オリンピックこそ出場経験はないが、経験、実績ともに豊富で、まさに今をリードする柔道家である。
この日も、2回戦から出場し、危ない場面もありながらも、順調に決勝に駒を進めていた。しかし、決勝では、いいところなく鈴木の引き立て役に終わった。よほど、くやしかったのだろう。試合後の礼の後、鈴木が握手を求めて寄ろうとしたときには、すでに振り返りロッカーへと足を進めていた。
鈴木の復活は見事であり、すばらしいことである。しかし、次のスターが育っていないことも明らかになった。期待していた高橋和彦、穴井隆将、高木海帆、立山広喜らは、そこそこの結果は残したが、強さという点では、その印象は希薄だった。
スター不在の日本柔道。井上康生や篠原信一らがしのぎをけずっていた10年前は、この大会、日本武道館が満員だったと記憶している。しかし、今年はかなり空席が目立っていた。若手の台頭は急務だ。
そんななか、新たなスター候補がいた。今年初出場した、九州地区代表の七戸龍である。昨年度の全日本学生の100kg超級の優勝者。この日は、2、3回戦を1本勝ちしたものの、準々決勝で鈴木に旗判定で敗れた。しかし、193cm、107kgという恵まれた体格、ハーフのような端正な顔だち、そして長い足を使った切れ味鋭い技。ぜひ注目していきたい。

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