FIFAワールドカップ・南アフリカ大会(第1日)
南アフリカ 1対1 メキシコ
フランス 0対0 ウルグアイ
W杯の初日が終わった。ヨハネスブルグで、ケープタウンで、試合をしている国や、試合の流れとは関係なくブブセラの音が鳴り響いているのが、サッカー発展途上国らしい。
開幕戦の南ア対メキシコは、ともに持ち味を発揮した、スリリングで面白い試合だった。大会第1ゴールは、後半10分に南アのチャバララの豪快なゴール。中盤でボールを奪ってからの見事なカウンター。南アの狙い通りのゴールで、南アフリカW杯が動き出した。ベテランのブランコを投入して同点、逆転をもくろむメキシコが、南アの守備網のほころびをついて、同点に追いつく。初戦ということで、両チームとも、やや下がり気味の守備重視でありながら守備がゆるかったために、攻撃面の面白さが表れた試合だった。W杯の開幕を飾るにふさわしい内容だったと思う。
2時間後のフランス対ウルグアイは対照的な試合だったのではないか。プレー・スピードは、明らかに南ア・メキシコ戦よりは、アップしていたが、高い位置からの厳しいチェックのため、中盤の攻防が多く、そのためゴールに迫るプレーが少なかった。しかし、これもW杯。日本代表は、どんな試合を、世界に披露してくれるのだろうか。
テレビで2試合を観戦しての雑感を書いておきたい。なお、今大会から採用された電光(LED)型広告看板については、すでに感想を書いたので、ここでは省きます。
今大会のために新設されたヨハネスブルグのサッカー・シティ、ケープタウンのグリーンポイントはともにサッカー専用スタジアムで(南アのことだから、ラグビーにも使われるのだろうが…)、美しく、明るい素敵な劇場のように見えた。この2つのスタジアムには、準々決勝、準決勝を観るために訪れる予定なので、とても楽しみだ。
試合のなかで、ボールが、選手の意思以上に、伸び、高く飛んでいっているように見えた。これが高地の影響なのだろうか。ボールを正確に蹴るという、基本中の基本の技術が、勝負の分かれ目になる大会になるかもしれない。南アのチャバララ、メキシコのマルケスの2つのゴールが、そのことを表していたように思う。
選手のユニフォーム。今大会は、1978年アルゼンチン大会以来の冬の大会であるが、ほとんどの選手(あるいは全員だったか?)が、半袖のユニフォームを着ていた。そして、必要な選手は、メキシコのブランコのように長袖のアンダーシャツを着けていた。アンダーウェアの素材の進化により、長袖のユニフォームを着るよりも動きやすいのだと思うが、ぼくは、格好いいとは思えず、あまり好きではない。スポーツメーカーには、その知恵と技術で、動きやすい長袖シャツを作ってもらいたいものだ。
さて、始まったばかりの南アフリカ大会は、ぼくにとって、というかW杯史において、新たなコミュニケーション「ツイッター」で伝えられる大会として記憶されることになりそうだ。開幕前日には、FIFAのブラッター会長が、ツイッターをはじめた。1998年フランス大会でインターネットが使われ始め、2002年日韓大会ではチケット販売などにまで用途が広がった。そして、2006年ドイツ大会では、ブログやメディアとしての携帯電話が主流になり、今大会ではツイッターである。観客や選手がさまざまな生の情報を発信することが可能になった今、テレビや新聞は、何を、どう伝えるのだろうか。
そして、そのオールドメディアのチャレンジを期待したいと思っていたが、フランス対ウルグアイ戦を地上波で放送したテレビ東京のスタンスにはがっかりした。南アから送られてくる国際映像を、日本のスタジオで見ながら解説を加える方式だった。制作費を抑え、治安が悪いと言われる南ア行きを避けようとした結果だろうが、現地の生の出来事を伝える気がないのならば、ワールドカップの中継などすべきではない。
以上がW杯南ア大会初日の感想である。ますます、南アフリカのワールドカップが盛り上がることを期待する。
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