しゅぷりったあえこお nano

ブログ版 シュプリッターエコー

こどもの頃の夢がかなう

2020-09-23 00:05:00 | 美術
小学生の頃は、江戸川乱歩の小説に登場する少年探偵団になるため、裏山に隠れ家を作ったり、家族にも内緒で、探偵団の必需品である七つ道具を作って宝物箱の中に貯めておいたりした。でも、どんなに頑張っても小説の世界の中に入ることはできなかった。この現実の体が本の中に入る方法はないものかと考えてみたが、ついにその壁は越えられなかった。
ところがである、つい先日訪れたギャラリーで私は長年の夢をかなえることになったのだ。



city gallery 2320 (神戸市長田区)で現在開催中の「ズガ・コーサクとクリ・エイト 二人展」である。略してズガクリは女子ユニット。2009年から段ボールなどの廃材を使って、どこかでみたことのある風景を作っている。(チラシ文面を一部引用)
前回、6月に開催された「非常口」(内容はこちらの記事をご覧ください)は、もとの部屋の形状が思い出せないくらい空間が作品で覆われた。そして今回現れたのは、街中を走るバスとバス停。普段、まったく意識せずにみているあれである。ところが、ギャラリーに足を踏み入れるや否や私は心の中で「あああー」と震えたのである。

壁には路上の景色が描かれ、ずっと先まで道路が続いている。バス停の時刻表や日除けのシェードは立体で創作され、目の前にはこれも立体で作られた発車間近の市バスの車体(後部)が停車している。しかもそれは壁に描かれた車体(前半分)と途切れることなく融合しているのだ。平面と立体が混在しているのである。部屋の天井や壁に、まるで市バスが閉じ込められたようにはまっているのだ。





もちろんこれらは段ボールや廃材に彩色し描かれたものである。しかし、奇妙な迫力をもってそこに「実在のもの」として存在しているのである。今や私は作品の中に、その一部となって、つまりバスに乗り込む乗客として立っている!

この震えるような感覚は、現地に行って体験してみる以外説明のしようがない。

******************************************
「ズガ・コーサクとクリ・エイト 二人展」
9月27日(日)まで(23日のみ閉廊)
city gallery 2320
神戸市長田区二葉町2丁目3-20
http://www.citygallery2320.com
※二階もぜひご覧いただきたい。
キヌガワ






最新の画像もっと見る

コメントを投稿