美島奏城  豊饒の海へ

豊饒の海をめざす、教育と文芸と風流に関する備忘録

昔話異譚考   映画『スノウホワイト』

2010年03月14日 | 無粋

  昨日の暖かさを持ち越したような1日だった。

  鉢植えの沈丁花もやっと咲きだした。

 

  実は歴史好きから派生して、昔話が好きで、民話の研究会に所属していたこともあるほどなのだ。その類なら洋の東西を問わず読んでみたりする。

  日本の地域別の全集も所蔵しているが、今のようにネットが普及してからは検索をかければ簡単に各地の物語を読むことができる。

  子供むけのサイトもたくさんある。例えば以下のサイトは日本昔話だが、結構楽しめる。

http://hukumusume.com/douwa/pc/jap/index.html

 

  さて、中古DVDに『スノウホワイト』と云うのがあったので買って見てみた。要は白雪姫の実話風の作品なのだが。魔女役にあのシガニ―・ウィーバーが出ていたのだが、作品的にはどう見ても高級なB級映画だ。

  現在流布している昔話は日本でも西洋でも子供むけに相当の脚色がほどこされている。

  例えば「カチカチ山」。爺さんは、狸にだまされ殺されて婆汁にされた婆さんを食べてしまうというのが原作(もとは二つの話を複合させたもののという説もある)。さらに最後は狸は溺死させられる。これを残酷としてかわいらしくしてしまったのが流布しているものだ。

  同様、グリム童話もそうであって、その原作の出版がかつて話題になった。「白雪姫」なら、魔女は初版では実母であった。また最後は姫によって真っ赤に焼けた鉄の靴を履かせられ、狂い死にさせられるというものだ。

  この『スノウホワイト』は甘ったるいお話から原作に近づけようとした異説版といえる。ディズニー版のアニメが定番になっていることへのアンチテーゼだろう。

  が、その試みはいかにも中途半端のそしりを免れない。

  姫を演じたモニカ・キーナの初々しい演技とシガニーの巧みな演技が救いという感じだった。

  でも、昔話好きにとっては、所蔵しておきたい作品であることには違いない。