飛鷹満随想録

哲学者、宗教者、教育者であり、社会改革者たらんとする者です。横レス自由。

本当の英文法

2018-09-05 06:09:49 | 教育
あるブログに英語教育についてコメントしたところ「本当の英文法を教えてほしい」と要望されました。以下はそれに対する私の返信です。

以下引用。

search を「探す」と覚えてはいけません。「調べる」です。search for と表記して表記して「探す」と訳せるから search は「探す」と訳すのだと無意識に簡略化してしまっているのです。search for が「探す」と訳されるのは実はsearch 故ではなく、他動詞的前置詞の for の故です。ですから、....for となっていたら、周囲の状況が許す限りにおいて「探す」と訳してよい。look for、investigate for 、explore for、.... これらは全部「探す」です。これらは英語の起源の一つであるアングロサクソン語(古いドイツ語)由来の捉え方です。この場合「動詞」は実は動詞として機能せず、程度の副詞或いは様態の副詞として機能している。探す気持ちの強さや探し方を表しているのです。他動詞で「探す」の意味を持つのはseek だけです。

for の基本的な機能は to 他動詞 の代用です。他動詞的前置詞の for を見たら常に、to 他動詞 に変換して理解する。他動詞は文脈とコロケーションによって容易に復元できるようになっている。for = to find と理解した時、「探す」の意味が出てきます。

全ての動詞について、上と似たような話を、私は展開することができます。私の英文法ではイディオムは覚えるものではなく、覚える必要がない、類推すべきものとなります。300の動詞を29の動詞型に関連させながら、コロケーションにも注目して勉強することで、中学生でも容易に東大京大レベルの英文和訳の世界に導き入れることができます。

他にも衝撃的な事実がいくつもあります。学校英文法のほとんど全てが嘘だと断言できます。

関係文は形容詞節ではないし、that 節は名詞節ではない。

「関係代名詞」that は実は関係詞ではない。

that dog は実は「あの犬」と訳せる場面はほとんどない。例えば「そんな汚い犬」と訳すことが必要な場合が多い。such a 形容詞 の代用物がその基本。

the concept は「その概念」と訳せるが、conception は絶対に「概念」とは訳せない。

and は全ての接続詞の意味を内包し、「しかし」と訳すべきことすら多い。and をbut の反意語と捉えるのは完全な間違い。

関係文の先行詞には必ず the をつけなければいけない。それが the の基本的な機能だから。a man who loves you は常に a man of the men who love you の略として理解すべき。the man who loves you とは意味が全く異なる。

He is a fool. と He is fool. とHe is foolish. の違いが学校文法では全く理解できていない。He is a fool. = He is a fool of the fools. や He is foolish. = He is like a fool. と理解すべきことが全く見えていない。

文章は全てargument と story に分類できる。それぞれに厳密な型が決まっている。argument pattern と story pattern を念頭において読めば、例えば助動詞 may の正確な意味把握が容易にできるようになる。これは全英文法の基本中の基本である。これの正確に説明された書籍は一冊もない。

some に「いくつか」という意味はない。

a man、the man、men、the men の訳し分けも学校文法は全く把握できていない。岩波文庫の一冊にもなっている東大での講演で「英語の冠詞が全く理解できない」と嘆いた夏目漱石から100年経ってもその悩みを解消できていないばかりか、夏目漱石が抱いた真面目な悩みすら抱かなくなっている。森鴎外が嘆き、京大の入試問題にその文章を採用することで京大教授が間接的に嘆いてみせたように、日本人の外国語習得は幕末から明治初期がピークで後は停滞の一途となってしまっている。

以上本当の英文法の一端を書いてみました。雰囲気は十分伝わるのではないでしょうか?この詳細を著作にまとめたことはありますが、書物としてはあまりにも面白くない。やはり授業の中で若者一人一人に教授するのが本質的と考えて封印しました。日本古典文法も学校文法はほとんど全部が偽物と見抜いてしまっていて、本当の日本古典文法としてまとめ上げたものを、生徒達には教えています。私は、英文法も日本古典文法も、中学生に、大学受験レベルのものを、一人の例外もなく、ごく短い時間で完全マスターさせることができます。

皆さんには、学校英文法がほとんど全て嘘で、日本人の大半が、学校英文法のせいで日本語の読み書きの能力すら低いものに留められている事実があり、それが「知識人」達の思想の浅さに繋がっていることが伝わればいいと思います。

ただし、深みのある本物の知識人がゼロとは言いません。例えば、鷲田清一さんの文章は、まるでイギリス人の学者の書く英文のように緻密な日本文になっていて、その内容の深みがよく伝わってきます。本物の哲学者は一般の人が気づかない深みを持っていますよ。その理由の一つが本物の文法ということになります。

引用以上。

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1 コメント

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ありがとうございます (海が好き)
2018-09-05 21:34:52
記事をupしてくださり、ありがとうございます。
私は哲学も好きだし、文章が上手に書ける人に憧れます。

伏見顕正さんのブログに寄稿しているダヤンさんの記事を読んでも、
私たちの英語習得方法はどこか間違っている、何かコツがあり、それに気が付いて身に付ければ急速に力を伸ばすことができるのではと思っていました。

私も多くの人と同様、英語習得にお金と時間を注ぎ込み、外資系の会社でも6年半働きましたが、TOEICは825点まででした。今は英語とは無縁な生活をしていますが、今回の飛鷹満様の記事を読み、脳がじんわりくるような、何か栄養を与えられたような感覚がありました。

ブログのその他の記事も読ませていただきますね。

今回はお忙しい中、参考になる記事をありがとうございました。
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