goo blog サービス終了のお知らせ 

gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

モデラーの目から見た戦闘車両。。。

2010-10-15 21:48:22 | 戦車について

この1週間、かなりマニアックな記事ばかりになって申し訳ございません。

その締めくくりとして、今回は“戦車モデラーは戦車のどんな所を見ているのか?”という、一般の方々にはど~でもいいようなコテコテに濃い内容で行きたいと思います。

 

戦車の模型を作る際に一番困るのが、題材となる戦車を身近に見る機会が殆ど無い事です。車の模型ならば、モーターショーやディーラー、あるいは街中を走っていたりと実車を見る機会も多いですし、塗装面や部品の質感などは自分の家の車を見に行けばいいのですから塗装や工作などの際に、ココは何色なんだろう?とか、どんな構造になっているのだろう?なんて事で悩む事は少ないと思います。逆に言えば、それだけごまかしが効かないシビアな世界でもあるのですが。。。

ただ、戦車の場合、その辺を走り回っているわけでもありませんし、“ちょっと車庫に見に行こう!”なんてシチュエーションはまず絶対に考えられません。

ですから、自衛隊駐屯地の一般公開は、戦車モデラーにとって実物を身近に見て触れる事が出来る貴重な機会なのです。

そして、この貴重な機会を有効に活用するために、周囲の冷たい眼差しを一向に省みることなく、目を血走らせてカメラ片手に戦車の周りを行ったり来たり、戦車の装甲板のあちらこちらをコンコンと叩いて回るという挙動不審な行動を取るのであります。

 

それでは一般の健全な方々からすれば、正気を疑われそうな戦車モデラーがどんな視点から戦車を眺めているのか?という事についてご紹介します。

 

まず最初は軽く96式装輪装甲車から。。。

このキットは先日発売になり、まめ八も購入しているので近々(本当か?)製作する予定なんです。

 

 

この写真、一般の方が写真を撮られる場合、前からの撮影になると思いますが、敢えて後ろからのショットです。この場合、何処に注目するのかと言うとアンテナの基部、車体側面の展視孔(窓)の色、迷彩のパターンやタイヤホイールのボルトの頭が黄色く塗られている所などに戦車モデラーは目が行ってしまいます。

 

次は87式偵察警戒車です。

このキットも持っているのですが、ストックの山に積まれたままになっています。

 

 

この辺りからちょっと濃い内容になってきます。

まず、目が行くのはワイヤーロープの色ですね。

明るい銀色をしています。模型の塗装表示ではメタリックグレーという暗い銀色で指定してありますが、自衛隊車両を製作する時にはフラットアルミ位で丁度いいみたいです。

あとサイドミラーの取り付け部や二段になっている支柱の太さ、ヘッドライトカバー横に付いた赤色の反射板などに注目です。

 

 

この写真からは、排気ガスによって煤が付いた状態とか、アンテナ基部やスモークディスチャージャーの形状、リアのコンビネーションランプの色、装甲板の角の光り方、タイヤハウス後部の油染みや垂れ、車体後部のフックの厚さ、タイヤの汚れ方などが模型製作の上で役に立ちそうです。

 

 

次は大砲編。。。155㎜りゅう弾砲FH70を装填部から見た画像です。

大砲は車両などに比べて複雑な構造をしており、そのメカニックな部分が魅力的なのですが、迷彩色で塗られている部分と、金属色がむき出しになっている部分がこの写真から解ります。

またこの砲は、迷彩塗装を吹き付けで行っている箇所と刷毛で塗っている箇所があり、興味深かったです。

 

 

砲弾を載せる部分は金属色そのままで銀色に輝いていますが、その他の部分は迷彩色によって塗りつぶされていました。また潤滑油が漏れ出た後なのでしょうか?迷彩色の部分も濡れた様な色をした場所が所々に見られます。

 

 

これはいいものを見つけました。

迷彩色を吹き付けで行った際に塗料がタイヤに付いてしまっています。

しかもタイヤのホイール色もはみ出してしまっています。

実車がこんな物なんですから、模型でも多少のはみ出しはOK!ということですよね。

戦闘車両の塗装なんてこんなものなんです。

プロモデラーの作品など、模型の方が実車よりも綺麗に塗られているのかも。。。

 

 

次は、本題の74式戦車です。この戦車のキットは今から数年前に模型再開第一号として制作したことがあります。これを機会にもう一台作ろうかなぁ・・・

ゲッ!排気管の色が間違ってた。

 

 

転輪と履帯のアップです。(ちなみにこの写真は74式戦車ではなくMLRSのものです)

シングルピンの履帯の形状が良く解ります。

転輪のゴム部の傷や色、汚れ、履帯の錆色など模型を作る際の資料としてはとても参考になります。

また、ここでも迷彩色がゴム部にはみ出していますね。

 

 

MLRSの誘導輪のアップ。

履帯と接する部分は金属色がむき出しになって鏡のようになっていました。

また履帯の歯や転輪と接する部分も金属色に輝いていました。

 

 

MLRSの履帯には転輪と接する部分に緩衝用と静音のためにゴムラバーが貼られていました。ただ、金属で出来ている部分は摩擦のせいで金属色がむき出しになっています。

また、履帯は想像以上にかなり錆びている事が解りました。

これまでの塗装の考え直さないといけないかも。。。。

 

 

こちらは74式戦車の起動輪です。

起動輪の歯は金属色がむき出しになるのではなく錆びていました。

まぁ、これは起動輪や履帯の形状によって異なってくるのでしょうが、まめ八としては新しい発見でした。今後の塗装方法にも影響しそうです。

MLRSと違って、74式戦車の履帯がダブルピンであることが解ります。

この辺りはアメリカ軍戦車の影響でしょうか?

それから、74式戦車の履帯には、履帯が転輪と接する部分と地面に接する部分にゴムのラバーが貼られている事が解ります。自衛隊の戦闘車両がいかに静音化に気を使っているかがわかります。

 

 

74式戦車の操縦手ハッチ周辺です。

車体内部が比較的薄く、しかも雑に白色で塗られていることがわかります。

また、操縦手のペリスコープはオレンジがかっている事が解りました。

砲塔と防楯の隙間に取り付けられたカンバスの留め方や砲塔基部の防弾版、ペリスコープ基部の溶接跡などもタミヤのキットとはちょっと違うみたいです。

正面のペリスコープの両側に付いた分度器のようなパーツが気になります。

 

 

ヘッドライトのアップです。

戦車のヘッドライトって色がとても難しいんですよね。

ワイヤーロープはやはりクロームシルバーみたいです。

 

 

この写真からは、砲塔と防楯の隙間を埋める雨よけのカンバスの複雑な形状や、予備履帯の留め方が解ります。

また、予備履帯はツヤがある黒(恐らく履帯自体、最初はこの色で塗られていたと思われます。)で塗らなくてはいけないみたいですね。

 

 

過去記事でも取り上げた事のある工具類。

やっぱり車体色と同色で塗られていました。

砲塔側面に取り付けられた工具箱を留める為のベルトは車体色とは関係無しにカーキ色でした。この辺りは模型でも十分再現できる所なのでしっかりとチェックしておきます。

工具類の留め具も最近のキットでは再現されていますのでとても参考になります。

 

74式戦車のテールランプのアップです。一番上のスリットが黒に近い赤、真ん中のスリットは両サイドに赤味を帯びたやや明るい黒、一番下の逆三角形は黒味を帯びた赤でした。塗り分けのためにもしっかりとチェック。

 

 

最後に、今回、初めて展示された遠隔操縦観測システム(FFOS)。

ラジコンのヘリに各種観測システムを搭載して偵察活動を行います。

このヘリは迷彩色の境界に薄い茶色の線が吹きつけ塗装で描かれていました。このような複雑な迷彩をやってくれるとモデラーとしては苦労がまた増えてしまいます。

 

 

さて、超マニアックな内容の記事となってしまいましたが、もし最後までご覧頂いた方がおられましたなら、感謝申し上げます。(多分、誰も読まないでしょうが。。。

最後に、もし自衛隊の駐屯地公開行事等に行かれた際に戦車の周りで履帯とかの写真を必死で撮っている挙動不審な人間を見つけても自衛隊の方に通報したり、変態扱いせず温かい目で見守るようにして下さいね。決して危害はありませんから。。。

 


コメント

--------これより以下のコメントは、2013年5月30日以前に-----------
あなたのブログにコメント投稿されたものです。

W650 [2010年10月15日 22:30]
こんばんわ!
確かに、車やバイクのプラモなら、すぐに実物を見ることができますが、戦車などの軍事車両の場合はなかなかお目にかかれませね。
ただ、すいません、こうして戦車や戦闘機を見るのは好きですが、まめ八さんほど知識がないので、よく分かりませんが、まめ八さんの、軍事車両に対する熱い思いは大変よく分かりました。
軍事マニアの元防衛大臣の石破茂もまめ八さんの熱い思いは伝わっていると思います。

宮ちゃんNO1 [2010年10月16日 1:12]
こんばんは 宮ちゃんで~す。

マニアックな話題につい興味深々で読んでしまいました~
実車がまめ八さんのモデラー基準って事は理解出来ますが、
余りに実写の迷彩塗装が酷すぎます(笑)
でも実際にはこんなモンなんですか??
パレード展示用にタイヤがやけに光っているのも
何となく笑えてしまう宮ちゃんでした~
まめ八 [2010年10月16日 23:19]
W650さん、こんばんわ。
このようなマニアックな記事にコメントを頂きまして有難うございます。
織姫と彦星ではありませんが、年に一回しか見られないとなるとどうしても必死になってしまいます。!(^O^)
石波議員を始め橋本元首相等、軍事オタクの議員さんは多いですが、私の個人的な意見としては全くの素人よりこうした方々の方が戦争回避の意見をお持ちだと思います。戦争って全く知識を持っていないと、何があってもやってはならないものと考えるか、カッコいいものと考えるかの両極端になってしまうからです。
戦争とはあくまでも国際間のこじれた問題を解決する、国際的に認められた政治的な最終手段である事を日本国民はもっと知るべきだと思います。
まめ八 [2010年10月16日 23:31]
宮ちゃん、こんばんわ。
このようなマニアックな記事にコメントを頂きまして有難うございます。
市販車と違って、戦闘車両というものは工事現場のブルとかショベルカーと同じ部類ですから小さな事は余り重要ではないみたいです。!(^O^)
だからこそ戦車模型はいい加減で済むのだと私は勝手に思い込んでいます。
ご指摘の通り、展示車両はタイヤだけ綺麗に艶がありますね。ただそれは車体の手入れをいい加減にしているのではなく、車体がつや消し塗装であるためにタイヤだけが目立ってしまっているのです。逆に言えば、タイヤが綺麗だと車体自体が少々汚れていても綺麗に見えるって事ですよね?
若かりし頃、中古車屋でアルバイトをしていた時に“洗車の極意はタイヤに有り”って事を先輩から聞きましたが、これって本当だったんだ!って自衛隊車両を見て思いました。!(^O^)
EP82-SW20 [2010年10月17日 0:10]
こんばんは。
そっかー、モデラーとしての見方は、実は車も戦車も一度もしたことの無いEP82-SW20です(^^;)
迷彩塗装がはみ出ているのは「時間短縮」もあるでしょうけど、模型もそれで良いというのは私の場合手抜きができますから朗報です(笑)
工具類も今までは茶系に塗っていましたが、未使用状態なら迷彩塗装そのままで目立たないようになっていますねw
(しかし、近代では熱源感知器を敵も使うので迷彩の意味合いが薄れているような気もしていますが・・・)

そんなまめ八さんにゆーわくのYouTube。
パンツァーフロント B型の触りを見られますよw
http://www.youtube.com/watch?v=ouHucJgaLgU&feature=related

もう少し時間のある時に、動画ではないけれど紹介のアップをしたいと思っています。
(あ、まだラジコンタイガーのアップもできていない・・・汗)
まめ八 [2010年10月17日 23:30]
EP82-SW20さん、こんばんわ。
いつもコメント頂き、有難うございます。

確かに現代においては赤外線やレーダー、もしくは磁気探知など可視光線以外の探知方法が幾らでもありますから、迷彩効果はWW2の頃に比べると半減しているのかもしれません。ただ、これまで迷彩塗装に関して殆ど関心を示さなかった米軍でさえ迷彩塗装を導入している事から考えると、それなりの効果があるのかもしれません。また、迷彩を施すことにより、敵の兵士に対して心理的な圧迫感与える事も狙っているかもしれませんね。!(^O^)
パンツァーフロントAusfB、拝見しました。
北アフリカ戦線。凄くリアルですね。登場する戦車は恐らくⅢ号戦車G型だと思います。
それにしてもこのゲーム、リアルなのはいいのですが、凄く難しそうですね。照準装置も当時のドイツ戦車で使用されていた物がそのまま使われているので、シュトルヒの計算が出来ないとまともな照準が出来ないと思いますよ。
ここまでリアルなら、このゲームをクリア出来た人物なら、タイムスリップして大戦中に戦車兵になったら、余程不運でない限り少なくとも騎士十字章はモノに出来るでしょうね。!(^O^)
yut666 [2010年10月18日 23:40]
こんばんわ。
戦車の動画、迫力ありますねー。
戦車が公道を走る姿を初めて見ました。
きっと生でみたら動画以上の迫力なんでしょうね。
ところで、自衛隊と聞くと昔、防衛大学を受験したことを想い出しました。
まめ八 [2010年10月19日 23:26]
yut666さん、こんばんわ。
いつもコメントを頂きまして有難うございます。

最近、色々とお忙しいご様子ですね。
そうした中、コメントを頂き重ねてお礼申し上げます。!(^O^)
yut666さんは防大を受験されたのですかぁ~。
筑波に防大とは・・・学生時代、かなりの優等生だったものと拝察致します。
一般公道を戦車が走る光景は日本では珍しいと思いますよ。
熊本は、旧軍の第六師団が置かれて以来の軍都ですから。。。!(^O^)
経済的にも苦しい事から、自衛隊に入隊する人も多くて自衛隊員や自衛隊幹部には結構熊本出身者が多いと聞きました。
農業以外にこれといった産業がない熊本では自衛隊は貴重な就職先なんです。(;^_^A
EP82-SW20 [2010年10月22日 23:21]
再度こんばんは。
そのとおり、Ⅲ号G型ですよ。
そして「リアルすぎ」て「ゲーム」として成り立たず、結局「売れなくて終わった」ゲームでもあります。
まめ八さんなら多分買っても損はしないと思いますが、「クリアすることの楽しさ」ははっきり言って少ないです。
むしろ「生き残れた」事のありがたさを実感するかもしれませんよ。
いずれ私のブログで紹介したいと思いますが、こちらも参考にご覧ください
→http://okusaga.lix.jp/hihyou/game/panfro-b.html
まめ八 [2010年10月24日 8:56]
EP82-SW20さん、おはようございます。
いつもコメントを頂きまして有難うございます。
リコメが遅くなってしまってすみません。

戦闘系シュミレーションゲームは余りにリアルさを追及しすぎるとゲームとしての楽しさは勿論、ゲームとして自体成立しなくなってしまいますよね。!(^O^)
何かの本で読んだことがありますが、パンフロの場合、そのシナリオで実際の戦闘を行ったら、騎士十字賞拝領者でもまず間違いなく戦死していただろうって言われています。
つまり、シナリオのような不利な戦況では戦闘を行わないのがベテラン戦車兵なんだそうです。!(^O^)
そういう意味では、実際の戦闘よりも過酷なミッションのシナリオを書いたゲーム製作者は無能な指揮官だと言う事ですよね。!(^O^)
おぺ [2010年10月30日 22:24]
こんばんは。
この記事面白く拝見させていただきました。モデラーってホントこういう見方をしてしまいますよねw。自分も思い当たることが幾つもあります。解説のある箇所はこれから自分が作るとしたら…という気分になってしまいましたw。
まめ八 [2010年10月31日 22:58]
おぺさん、こんばんわ。
いつもコメントを頂き、有難うございます。

ジャンルは違えど、おぺさんならこの心境を理解していただけるものと信じておりました。!(^O^)
モデラーって、一般の方から見たらやっぱり変ですよね。(;^_^A
だって、普通の人が見ない所ばかりに目が行ってんですから。。。o(^▽^)o
でもそれもまた楽しい作業ではあるんですよね。!(^O^)
今回の観察を模型製作にどれだけ役に立つのか、また、敢えて実車と違った形で製作して行くのか。。。
これからの私自身の宿題です。!(^O^)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿