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福島原発事故レベル7。。。こんな時だからこそ読んで貰いたい1冊の本

2011-04-13 21:04:38 | 戯言

昨日、政府は福島原発のにおける放射線漏れ事故の評価を、それまでのレベル5から7に引き上げました。

レベル7といえば、IAEA(国際原子力機関)が定める原発事故の国際評価尺度(INES)で最悪レベルの“深刻な事故”を指し、これまでの世界で発生したこれに該当する原発事故は、今から25年前に発生したチェルノブイリ原発事故だけなのです。
ところが、これだけの放射能漏れ事故が国内で発生しておきながら、政府・東電の記者会見は勿論、マスコミの報道も終始トーンが控えめなのは何故なのでしょう?
しかも、昨日の記者会見で政府や東電の説明は“レベル7といっても、放出された放射性物質の総量は、チェルノブイリ事故の10分の1だから心配する必要はない”という内容に終始していました。
でも、“チェルノブイリ事故の10分の1だから安全”という相対評価を用いた説明には全く納得がいきません。

 

今から25年前に発生したチェルノブイリ原発の事故が如何に凄まじいものであったか?ということを正確に把握し、覚えている日本人が何人いるでしょうか?
その今から25年も前に発生した事故を引き合いに出して、国民の無知に付け込むような説明でお茶を濁そうとしている政府や東電の言うことに釈然としない方も多いと思います。
25年前というと私は社会人になりたての23歳でした。

事故の爆発によって飛散した放射性物質はジェット気流に乗って世界中に拡散、日本上空でも極微量ながら放射性物質が検出されました。チェルノブイリに近いヨーロッパ諸国では、野菜、乳製品、肉類、魚介類から放射能が検出され、それらを破棄する様子が連日テレビで報道されていました。
事故が発生して1年後に現場周辺に入ったソビエトの科学調査チームが付近の森から直径1mもある巨大キノコを発見したという朝日新聞の記事、あるいは放射線障害によって醜く変形した二股の犬の写真を見て、放射線の恐ろしさを強く印象付けられたものです。
現在でも、チェルノブイリ原発から半径30㎞の地域は永久
立ち入り禁止地域になっているそうです。
チェルノブイリ原発の事故ってこんなに大きな事故だったのです。

この事故が発生した際に日本の原子力発電関係者は口を揃えて“日本の原子力発電所は、チェルノブイリとやり方が異なり、こうした事故の危険性はない。日本の原発は世界で最も高い技術をもった安全な原子力発電所である”と言っていたことを私たちは忘れてはならないでしょう。(ちなみに、チェルノブイリ原子力発電所も、事故が起こる直前まで、世界で最も高い技術を用いて作られた安全な原子力発電所であると言われていたそうです)

そして、25年後、そのチェルノブイリ事故と同じレベルの“起こり得ないはず”だった“深刻な事故”を引き起こした日本政府や東電が、この期に及んでも“チェルノブイリ事故の10分の1”という言葉で誤魔化そうとするのであれば、私達はチェルノブイリ事故を今一度思い出し、調べてみる必要があるのではないでしょうか?
そんな時、役に立つのがこの本です。まめ八自身は、この本を20代半ばで読みました。

 


広瀬隆著、新潮社文庫“新版危険な話~チェルノブイリと日本の運命~”です。

この本を著した広瀬氏は、1970年代から一貫して原子力発電に反対してきたジャーナリストで、いわゆる原発反対派の急先鋒に属する人です。
そのため、その著作に対しては、様々な反論、批判があります。また、著述の一部に、ちょっと話が飛躍過ぎる部分や、読者に対して原発の恐怖を煽っていると感じ取れる表現が見られることも事実です。
ただ、チェルノブイリ原発事故についての記述は、多くの新聞記事や、政府の内部資料、海外の資料など広く収集し、かなり冷静な分析がなされ、読み応えある内容になっていると思います。


政府や東電が真実を全て発表せず、またマスコミが真実を追求しようとしないのであれば、後に残された自己防衛策は、チェルノブイリ原発事故について今一度検証することによって、政府・東電がその10分の1と強調する福島原発の事故がどれ位の規模の事故なのか?ということを私達日本人一人一人が判断していくしかないでしょう。
その判断材料の一つとして、チェルノブイリ事故をまとまった形で解りやすく紹介しているこの本は読んで損はないと思います。

ただ、この本、初版が平成元年なので入手が困難かもしれません。

それでも図書館や古本屋には置いてあるかもしれないので探してみる価値はあると思いますよ。

 

また、こうした検証を通じて、何故、世界各国が今回の原発事故にあれ程神経質になり、過剰とも思える反応をし、事故の動向に強い関心を示しているのか?ということも見えてくるのではないでしょうか?

マスコミは、取材を通じて自身で確かめる手段をどれだけでも持っているにも拘らず、そうした確認作業をすることなしに、海外のこうした反応を“過剰反応”とか“風評被害”という言葉で軽々しく片付けていますが、本当にそうなんでしょうか?

もしこれが逆の立場で、例えば中国で今回に匹敵するような深刻な原発事故が発生し、その事故に対して中国政府が情報をなかなか開示せず、国民に対してはそんなに重大な事故ではないと公言し、中国のマスコミも沈黙を守っている状況を仮定してみて下さい。その時、日本人は“あ~。。やっぱり中国は共産主義国家だな”って考えることでしょう。そして何も知らされずに、政府の発表を信じている中国人を見て“何にも知らされずに可愛そう。。。”と思うのではないですか?

今の日本がそんな状況でないとは言い切れないのです。


海外からの報道を見る限り、今回の事故に関して、政府・東電は情報の開示を意図的に遅らせ、正確な情報を国民に伝えていないと私は思っています。
何故、事故後1ヶ月と1日でいきなりレベル5から7への引き上げが行われたのか?
レベル7に相当する大量の放射性物質が大気中にばら撒かれたわけですから、観測体制を整えておけばこんなに時間を要するまでもなく発表できたのではないでしょうか?(最初の発表はレベル3でしたよね)

なるべく事故を小規模な形で発表したいという東電と政府の意図がそこには見え見えです。(菅総理は、慎重な分析を行った結果、これだけ時間がかかったと言っていましたが、レベル3とレベル7では余りにも差が大きすぎます。結局、その説明も詭弁としか思えません)


つい、先日まで“微量だから安心して下さい”と言っていた同じ人物が、レベル7を発表する。。。しかもここに至っても、なお安全性を強調しようとする。。。

信じたくても信じられませんよ。

 

“今すぐ健康に影響が出ることはない”。。。政府も東電も言いますが、放射線障害による健康被害は、すぐに症状として現れるものじゃない(すぐに症状が出るレベルなら確実に死ぬ)そうです。
被爆して5~10年位してから癌などの形で現れてくるのです。

しかし、被曝して数年~数十年後に発症した癌と、原発事故による被曝との因果関係を証明することは殆ど不可能なんだそうです。

チェルノブイリ原発事故の後、周辺地域や周辺諸国の発癌率が高くなっているのですが、世界保健機関(WHO)ですらその因果関係を突き止めることは出来ませんでした。

ですから、これから先、数年後から数十年後に癌を発症した被爆者が賠償を求めても、国や東電が“因果関係はない”として突っぱねれば補償されない可能性が非常に高いのです。

 

今、政府や東電が行うべき事は、福島原発の放射性物質漏れについてもっと積極的に国民に公表することだと思います。

放射性物質が最も大量に飛散した3月14日~15日ころの風向き、各地における放射線量、今後の拡大予想など、外国の専門機関や研究者も加えた観測・監視体制を整備して、そのデータを逐一国内外に公表していくべきでしょう。

チェルノブイリ事故が発生した時、チェルノブイリがあるウクライナはソビエト社会主義共和国連邦でした。社会主義政権の下、情報統制が行われ、国民の様々な自由が束縛されていました。

しかし、日本は独裁国家でもなければ共産主義国家でもありません。

全ての国民に基本的人権が認められた、国民主権の民主主義国家であるはずです。

旧ソビエト時代のような情報統制は今すぐに止めて、政府や東電が、国民のみならず、世界に向けてもっと積極的に情報を開示し、危険性を正直に公表していくことを一人の日本人として切に願います。

 


コメント

--------これより以下のコメントは、2013年5月30日以前に-----------
あなたのブログにコメント投稿されたものです。

宮ちゃんNO1 [2011年4月13日 21:32]
こんばんは~ 宮ちゃんで~す!

今更の話ですが・・・地震発生後に福島第一原発が水素爆発した時点で自分はヤバイと思いました~
でも・・・政府報道や東電は何もないかのようは発言・行動・・・
いち早く動いたアメリカからの支援声明も無視?
そう・・・海外の方が敏感に感じてたのかも・・
国内報道も含め・・・原発に関する報道が
かなり隠ぺいされているのではと疑いが・・・
結果は・・・ご存知の通り・・・
先日も強い余震が有った際・・・
東電の記者会見?酷すぎる(笑)
状況の把握が出来て居ないなら会見開くな!
と言いたくなるような記者とのやり取り・・
こんな会社に原発の管理を任せていたと思う事しきり・・・ホント危機管理無さ過ぎ・・・
これで・・・夏の電力ピーク時は25%節電
国民は振り回されているだけ(爆)

W650 [2011年4月13日 21:53]
こんばんわ!
いろいろとご意見はあると思いますが、安価に電気を使ってこれたもの原発のお陰だと思います。
散々、原発を安く利用しておいて、いざ問題が起きると、電力会社や国の問題だけにするのもどうかと思います。
これから普及するであろう電気自動車も原発ありきでの話で、発電を停めることの出来ない原発の深夜電力を使って電気自動車を充電しようと実験をトヨタもスマートグリットとか唱ってますね。
かといって、原発をなくせば、火力発電の依存率が高くなり、原油の高騰、CO2の排出量の増大、電気料金UP、様々な問題が発生します。
いち早く、次世代のエネルギー開発が急務だと思います。

まめ八 [2011年4月13日 22:01]
宮ちゃん、こんばんわ。
いつもコメントを頂き、有難うございます。
そうですね。今回の震災は自然災害ですが、原発の方は明らかに人災ですよね。
チェルノブイリという前例がありながら、事故に対する備えがまるで出来ていなかった訳ですからこれはお粗末過ぎますね。しかも我々の生命がかかっているのですから。。。
“安全だ!安全だ!”と言っておきながら、事故に対する対応もまるで出来ない国と電力会社の責任は大きいと思います。

まめ八 [2011年4月13日 22:16]
w650さん、こんばんわ。
いつもコメントを頂き、有難うございます。
手厳しいご意見ですが、この原子力行政が国民の合意の上で推進されてきたのか?ということがまず私の中にあります。少なくとも私は反対の意見を持っていますが、それを表明すべき機会も場所も与えられないままに原子力行政は推進されてきました。
また、原子力発電は、他の発電方法に比べて、建設費や周辺住民、自治体への補償なども含めれば決して安価な発電方法ではないのですよ。
原発を止めれば即電力不足になるという話も実は全くの嘘で、全国の火力発電所、企業の自家発電機をフルに使えば、日本の電力需要を上回るほどの発電量は確保できるのです。
確かに、現在の私たちの便利な生活は電気によって成り立っていますが、国家規模での被災を招く危険性がある発電方法をとって便利な生活を享受するか?それとも多少不便はあっても原発はやめるべきなのか?そういったことを国民規模で討議する機会を敢えて避けてきた国の責任は大きいと思います。また、安全性だけを強調してきて、実際に事故が発生するとこれを対応できないばかりか、詳細を隠蔽しようとしている電力会社に責任は内のでしょうか?
EP82-SW20 [2011年4月15日 18:53]
こんばんは。
確かにまめ八さんのおっしゃる様に、全部の情報を公開しているとは私も思っていません。
別途アップする予定ですが、先日「震災3日後に東電が福島からの撤退を首相に打診した」と新聞記事に載っていました。
それによると、初日の段階で殆ど制御不能に陥っていたみたいです。
そして、それが政府に伝えられていなかった。

しかし、仮にその段階で「レベル7」と言う報道がされてしまったらどうなっていたでしょうか?
あくまで「結果論」ではありますが、日本はパニックにならずに済んだと思います。
(そうでなくても外国人の出国ラッシュがあったわけですよね)

EP82-SW20 [2011年4月15日 18:57]
長くなりました。すみませんが、続きます。

「レベル7だけど、チェルノブイリより程度が酷くない」
あちらは1基。しかし、こちらはまだまだなだめすかしている状態の怪物が3基あるわけです。
何かが暴走すれば、最悪3基全部駄目になり、日本に住めなくなると思います。
その懸念が「7」
しかし今の状態が維持できるのであれば、おそらく「5」から「6」位で落ち着くのではないかと思います。
そして、一応現段階では放射線が原因と見られる死者が出ていない。
(勿論10年後以降にバタバタ亡くなる人が出てくるかもしれませんが・・・。)
そうなると、パニックにならないような公表は、現段階では一番だと思いますよ。
もっとも、今の首脳陣がきちんとそこまで配慮しているのかはわかりませんけど(^^;)

しかし、この本、機会があったら読んでみたいと思います。
2006年に、浜岡原発反対の署名運動をしていた人もいたみたいです。
ただ、この時の反対運動もこのような津波の予想は全然認識されておらず、「地震にだけに対する安全神話」を覆せなかったみたいです。
まめ八 [2011年4月15日 22:34]
EP82-SW20さん、こんばんわ。
いつもコメントを頂き、有難うございます。
EP82-SW20さんが仰るように、政府や東電の段階的な危険レベルの引き上げにはパニックを防ぐ意味があったことは十分に想像できます。
ただ、それでいいのでしょうか?
パニックになっても、ならなくても、結局被曝するのだから、パニックにならないように発表を段階的にしよう。。。ということでしょう?
これって恐ろしい選択だとは思いませんか?
私ならば自分や家族の命や健康を、第三者によってこんな形で選択されたくないですね。
それならば、いっそのこと為政者として最後まで嘘をつき通す方が余程国民のためになったのではないでしょうか?そこまで考えての段階的な引き上げであるならば、何故今更レベルを引き上げるのか?私は理解に苦しみます。恐らく将来、責任を問われることを恐れての今回のレベル引き上げだと思うのですよ。やることが中途半端なんですよ。
まめ八 [2011年4月15日 22:36]
EP82-SW20さん、長文リコメ、申し訳ございません。続きです。。。。

さらに私が一番納得が行かないことは、これまで推進されてきた原子力事業が国民不在のままに推進されてきたこと、そして安全性だけを強調して原子力発電のリスクを国民に積極的に知らせようとしなかった政府と電力会社の姿勢なんです。
例えば、今日面白い記事が出ていたのでご紹介しますね。読んでみてください。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00197486.html
笑っちゃうでしょう?
しかも、東電や政府は、今回の地震や津波を想定外と言いわけしますが、福島よりも震源地に近い女川原発では事故が発生せずに、福島だけこうした事故が発生しているのは何故か?ということにも注目してみて下さい。
(さらに続きます。。。)
まめ八 [2011年4月15日 22:37]
EP82-SW20さん、長くなってスミマセン。。。
続きです。。。

私個人は、何も知らされずに被曝するよりは、こうした国の原子力事業の過ちを二度と再び繰り返させないためにも事実が公開されることを望みます。このまま事実が明るみに出ないままになるのであれば、国や電力会社は、また性懲りもなく原発を作り続けることでしょう。
相反する云い方かもしれませんが、嘘をつきとおす度胸もなければ、責任もとれない政府や電力会社経営者、そして官僚であるならば、今回の事故の危険性を全て正直に告白し、今後全ての原子力事業から撤退すべきだと私は思います。