織りの道具を紹介します。
コレは「杼(ひ)」。
管(くだ)に 緯糸(ヨコ糸・ヌキ糸)を巻いたものを 中央にセットしてサイドに開いた穴に糸を通します。これを上下する経糸(タテ糸)の間に通すことで生地が織られていきます。木で出来ていて、タモかな。
使い込むうちに手汚れで色が濃くなってきます。ココだけの話、同僚の一人は 汗っかきなのか、この杼の黒くなり方が激しかったです(^^;…。
1~2年に一度、湯で洗って、干し、再度 丁寧に一本一本「ろう」を塗り込みます。
綴れ織りでは 二種類の大きさの杼を使います。
大小の杼の使い方の差は 巻いた糸の量に関係し、 糸を多く巻いた管をセット出来ると 糸替えの回数が少なくてすむので 主に無地を織る時は大杼(おおび)。反対に模様場は少量ずつたくさんの色糸を使うことになるので 小杼(こび)を使います。
柄にもよりますが、10本~30本以上を同時に使うので 織っている手元は小杼でいっぱいな状態です。
小杼が 織り前で 順番に整理されていないと すぐに糸が こんがらがってしまい、織るスピードも遅くなりますし、すんなり作業が進みません。ちゃっちゃっと目的の糸がセットされた小杼を手に取りながら 頭の中のイメージをカタチにしていくことが とても大事です!
集中して織っていると、ついつい適当に小杼が山になっていき ついにガラガラと落ちてしまって大変~…なんてことや、 途中で中断する時には ちゃんと整理してから席を立たないと、次に座った時には訳がわからない… なんてコトも(^-^;)。
さて、
なぜ 織りの仕事をしているのか とよく質問されます。コレ!といった答えが自分の中で見つけられていないのが正直なトコロなのですが、ひとつ確かなコトがあります。5年程前に「OLから職人への転職」に関するインタビューを受けていて思い出したことなのですが、ソレは「道具へのあこがれ」です。(もちろん、他にも色んな要素が絡み合ってはいるんですけどね。)
自分だけの道具を持って ソレを大切に使い込みながら仕事をしていくのって素敵やなぁと。ソレも絶対 木の道具!子供の頃から木の道具が大好きでしたので、毎日 木に触れられる仕事がいいナ。と。
そんなわけで、私にとって 織りの道具、中でも常に手に触れている「杼」は また特別に大切なモノなのです。
2006.8.21追加→こんなページも見つけました。