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何を考え何を想い何するの

神戸の山の暮らしから。
育児のこと、日々の手シゴト、身の廻りの自然のこと。
悩み進む楽しく愛おしい日々。

杼(ひ)

2006年08月07日 | 綴れ織(1997~2006年 爪搔き本綴れ織師)

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織りの道具を紹介します。

コレは「(ひ)」。

管(くだ)に 緯糸(ヨコ糸・ヌキ糸)を巻いたものを 中央にセットしてサイドに開いた穴に糸を通します。これを上下する経糸(タテ糸)の間に通すことで生地が織られていきます。木で出来ていて、タモかな。Hi02_2

使い込むうちに手汚れで色が濃くなってきます。ココだけの話、同僚の一人は 汗っかきなのか、この杼の黒くなり方が激しかったです(^^;…。

1~2年に一度、湯で洗って、干し、再度 丁寧に一本一本「ろう」を塗り込みます。

綴れ織りでは 二種類の大きさの杼を使います。

大小の杼の使い方の差は 巻いた糸の量に関係し、 糸を多く巻いた管をセット出来ると 糸替えの回数が少なくてすむので 主に無地を織る時は大杼(おおび)。反対に模様場は少量ずつたくさんの色糸を使うことになるので 小杼(こび)を使います。

Orikata05_1柄にもよりますが、10本~30本以上を同時に使うので 織っている手元は小杼でいっぱいな状態です。

小杼が 織り前で 順番に整理されていないと すぐに糸が こんがらがってしまい、織るスピードも遅くなりますし、すんなり作業が進みません。ちゃっちゃっと目的の糸がセットされた小杼を手に取りながら 頭の中のイメージをカタチにしていくことが とても大事です!

集中して織っていると、ついつい適当に小杼が山になっていき ついにガラガラと落ちてしまって大変~…なんてことや、 途中で中断する時には ちゃんと整理してから席を立たないと、次に座った時には訳がわからない… なんてコトも(^-^;)。

さて、

なぜ 織りの仕事をしているのか とよく質問されます。コレ!といった答えが自分の中で見つけられていないのが正直なトコロなのですが、ひとつ確かなコトがあります。5年程前に「OLから職人への転職」に関するインタビューを受けていて思い出したことなのですが、ソレは「道具へのあこがれ」です。(もちろん、他にも色んな要素が絡み合ってはいるんですけどね。)

自分だけの道具を持って ソレを大切に使い込みながら仕事をしていくのって素敵やなぁと。ソレも絶対 木の道具!子供の頃から木の道具が大好きでしたので、毎日 木に触れられる仕事がいいナ。と。

そんなわけで、私にとって 織りの道具、中でも常に手に触れている「杼」は また特別に大切なモノなのです。

2006.8.21追加こんなページも見つけました。


武庫川女子大学生活美学研究所 クリエイティブサロン 報告

2006年07月25日 | 綴れ織(1997~2006年 爪搔き本綴れ織師)

  7/8(土)武庫川女子大学 甲子園会館にて 生活美学研究所 平成18年度 第1回クリエイティブサロン「綴れ織」 開催することが出来ました。 参加者の皆様はじめ 担当の柏木さん、矢田部さん ありがとうございます。

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30分程、「綴れ織」についての説明や 作品紹介などをしてから 製作に入りました。

今回は 初心者向けにふたつの図案を用意し かつ時間的に厳しかった為、あらかじめカード(厚紙)に図案とタテ糸をセットした状態で参加者にお配りしました。 ヨコ糸は中太毛糸で、それにより合わせてもらうよう細い絹糸も用意しました。各自が好きな色を選んで織っていくのですが 毛糸+絹糸で色や織り上がりの見え方のバリエーションがぐっと豊富になります。

始めこそ、 慣れないカンジではあったものの すぐにコツをつかんで 皆さん自分なりに楽しみながら とても熱心に織っていらっしゃいました。

「いぬ想う」の図案の方は 皆さん、とても上手に工夫して織られていました。様々に特徴ある「いぬ?」がそれぞれの雰囲気で楽しく織られています!

「きのこ観察」の図案はやはり難しかったようで とても上手に織っている方の一方  途中で断念された方もいらっしゃったので この辺りは私の方の課題残しデス…申し訳ありません。

総じて、 想像していた以上に 楽しい個性ある模様が完成し、同じ図案からこんなに個性が出るのだなぁと、改めて綴れの面白さと奥深さを感じました。ただ やはり時間的にはもうちょっと余裕があれば ゆったりと楽しんでいただけたろうに…と思うばかりです。

タペ 気に入って飾っていただいていると嬉しいですね。一部 参加者の皆さんの作品を紹介します。

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掛け軸「日の出・鶴」

2006年07月04日 | 綴れ織(1997~2006年 爪搔き本綴れ織師)

Obigak02_1  2000.6 製作

鶴の飛翔の よく好まれる情景です。

これは織り上がりの写真で コノ後 掛け軸に仕立てられます。

綴れで織るのが 一番難しいカタチ、それはです。

段数の上がり方、ヨコ糸の詰め方など コツが必要ですので 経験がいる上、紋などで正円を織る時なんかは数を数えたりと なかなか面倒なのです。(またいずれ紋を織る話もしたいなぁと思います。)

この模様の場合は 太陽なので 多少の歪みがあった方がよく見えますよね、しかし、ちょっと太陽が平面的な印象になってしまったコトが残念で…雲の霞(本金です)を入れながらぼかしていくのも難しかったと記憶してます。ここらは雰囲気良く織れているんですが。 

鶴は  やはり 描いたものと 織ったものとで

どんな違った表現が出来るかを考え、迫力を出すために色の離れた糸同志を撚って 羽の先に使いました。これで大胆な印象の部分を作ることで 迫力も出たかな。(反対に、近い色の糸を拠って使うと やわらかくぼかすことが出来、やさしい印象の表現が出来ます。)

織りは 糸の色はもちろんのこと 撚り方などでも見え方が大きく変わります。

職人によってそれぞれに 糸の撚り方変わってきますので、それだけでも技術の差が見え隠れし、奥が深いと痛感させられます。


「いぬ想う」Part.2

2006年06月29日 | 綴れ織(1997~2006年 爪搔き本綴れ織師)

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7/8の武庫川女子大学 クリエイティブサロンでの講習会がせまってきました。

当日 参加者に織ってもらう「いぬ想う」の模様、いろんなバージョンを織ってみました。

バックは 好きなように織ってもらうので、それぞれのいろんなイメージをカタチにする際の少しでも参考になれば良いなぁと。きっといろんな「いぬ想う」が出来るだろうと 楽しみにしています。ほんとに個性が出ますよ。

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帯「おしどり」

2006年06月27日 | 綴れ織(1997~2006年 爪搔き本綴れ織師)

Obi08_1 2001.2 製作

木彫のおしどり をモチーフにした帯です。

ワンポイントなのでおとなしく、カジュアルにあわせやすいですし、可愛らしくて とても人気がある模様です。

おしどり模様の帯は昔からよく織られていますね、様々にデフォルメされたものがあります。日本画家や図案家は必ず一度は描いたことがあるのではないでしょうか。

話は変わりますが 

日曜日に読売TV「鉄腕DASH」のDASH村で 機織りをしていましたね。(あひる村長の模様を織っていたので 鳥つながりでちょうど思い出しました^^)

つづれ織りではなく、一番シンプルな 平織りでしたが、村長模様の部分はヨコ糸の色糸を途中で折り返していく手法はつづれ織りと基本が同じですが、これはいわゆる「すくい織り」になるでしょうね。

織りあがって 機から外したところまで やっていましたが、何とも味わいのある風合いが見てとれて TOKIOの皆さんに 織りの感想をじっくりきいてみたいデスわ。男のヒトは、やはりなかなかやらないですからね。

機織りは 時間もかかるし 根気のいる、いわゆる辛気臭い作業なんですが 織っている時間は何とも言えない楽しい時間なのですョ。(納品締め切り間近で 焦って織らなきゃいけない時は シンドイこの上ないですけどね…)

まだ 娘が小さく、育児の為、本ちゃんの織り機に向かえずにいるので 早く織りを再開したくなりました。