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 本は私の人生の友・・・

『砂漠の影絵』

2017年01月06日 | 


著者 石井光太

2004年、イラク・ファルージャ。イスラーム武装組織「イラク聖戦旅団」に5人の日本人が拉致された。
要求は、自衛隊のイラクからの即時撤退。しかし日本政府はこの要求を突っぱねる。
日本国内では、人質の「自己責任論」が巻き起こり、処刑の期日は刻一刻と迫ってくる・・・
テロリスト集団、彼らはいったい何を考え、何を目的にこのような組織となったのか?
日本人被害者、テロリストの両方の立場から描かれる、現実にギリギリまで肉迫したストーリー。
闇に包まれた身代金交渉の実態や、イスラム過激派組織の内情、テロリスト一人ひとりの実人生、
そして戦争から遠く離れた私たち日本人の生き方が、鮮明に あぶり出される・・・。

著者の石井さんは、国内外の貧困、戦争、災害、事件などをテーマに執筆活動をしています。
ルポルタージュではなく小説として書かれた この本は読みやすく、
内容は悲惨ですが引き込まれるように読みました。
なぜテロリストになったのか、それまでの酷い話を読むと同情を禁じえません。
「やられたら やり返す」の繰り返しが戦争であり、テロ。
人は互いにとっての正義があまりにも違うから衝突する・・・。


『草花たちの静かな誓い』



著者 宮本 輝

叔母・菊枝の死を知り、甥の弦矢が渡米すると、巨額な遺産の相続人として彼が指名されていた。
また、幼くして病死したはずの叔母の娘が、実は死んだのではなく、ずっと行方不明なのだと知らされる。
なぜ叔母はそのことを黙っていたのか。娘はどこにいるのか。

ある辛い理由で叔母は娘の行方不明を装うのです・・・
裕福な米国人と結婚し、ロス郊外の高級住宅地に暮らしていた叔母は果たして幸福だったのか?
一説では全米で毎年約百万人が行方不明になり、そのうちの85%が子供だそうです。
それだけ不幸の数があるということですね。


新しい年が始まりました。
もっと心が愉快になる本を読みたかったのですが、
本との出合いなので読みました・・・読んで良かったですよ。
本年も よろしく お願いいたします。
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