著者 小池真理子
砂漠の熱い風に全身をさらして、そのうち、肉が全部こそげ落とされて、骨になってしまえばいい……かつて彼はそう言った。
愛する男が異国の地で突然亡くなった。
アルコールと薬物の同時摂取が原因だという。
彼は生きることが辛かったのではなかったか?
愛していると囁きあったのは偽りではなかったか?
ひとり残された女は、死んだ男を追い求め、彼が直前まで過ごしたヨーロッパへと旅立つ。
>一寸先は闇だ。人生にはどんなことでも起こる。いいことも悪いことも。
小池さんの恋愛小説はステキです……
疑心暗鬼に陥った主人公の女性の心に、最後に光のような思いを与えます。
石造りの建物や運河をわたる風を感じながら、異国と内面の旅を楽しめました。