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『アルテミスの涙』

2021年10月14日 | 

著者 下村 敦史

 

「閉じ込め症候群」で入院中の女性患者・岸部愛華が深夜に体調を崩した。

当直中の産婦人科医・水瀬真理亜が診察すると、愛華は妊娠していた。

寝たきりの愛華は誰に妊娠させられたのか?

病院は騒然となり、事件はマスコミに報道されて批判の嵐が巻き起こる。

真理亜は真相を探るべく、話すことができない愛華の まばたきを通して彼女の「声」を聞くが……

 

(岸部愛華の主治医・脳神経外科医の言葉)

間違ったことを言ってしまったら、親の表情が一変することを知っているから、彼女は常に親の顔色を窺って、間違っていない言動を選んできた。

親としても表面上は価値観が一致しているから、認めるのも当然だ。

でも、それは決して彼女の本心じゃないし、娘の意思の尊重なんて美談でもない。

そもそも、本当に本人の意思を尊重しているなら、わざわざ「そんな自分」を自慢したり、吹聴したり、アピールしたりする必要はない。

そういう「絶対的な理想」がある人間は、自分の理想から外れた人間を許容しない。

愛華さんは親が望む理想の中でしか意思を示せなかった。

 

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