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 本は私の人生の友・・・

『地中の星』

2021年12月15日 | 

著者 門井 慶喜

 

資金も経験もゼロ。夢だけを抱いてロンドンから帰国した早川徳次は、

誰もが不可能だと嘲笑した地下鉄計画をスタートアップし、

財界大物と技術者たちの協力を取り付けていく。

だがそこに東急王国の五島慶太が立ちはだかる! 

『家康、江戸を建てる』の著者がモダン都市東京の揺籃期を描く、

昭和二年のプロジェクトX物語。

 

>速度を上げ、トンネルの闇へ とびこんで行くと、

客たちの目に のこるのはテールランプの光だけ。

上部中央に、ぽつりと一灯。

それは前照灯である。いまは消えている。

テールランプは車両下方の左隅。

ささやかな、ほんとうにささやかな赤の点だった。

しだいに闇に侵されつつ、けれども消失することは拒みつづける。

地中の星そのものだった。

 

(本の表紙の絵は、地下鉄開通時のポスターより)

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