著者 中島京子
帰り道は忘れても、難読漢字はすらすらわかる。
妻の名前を言えなくても、顔を見れば、安心しきった顔をする――。
東家の大黒柱、東昇平はかつて区立中学の校長や公立図書館の館長をつとめたが、十年ほど前から認知症を患っている。
長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし、娘が三人。孫もいる。
“少しずつ記憶をなくして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行く”といわれる認知症。
ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう、迷子になって遊園地へまよいこむ、入れ歯の頻繁な紛失と出現、記憶の混濁・・・日々起きる不測の事態に右往左往するひとつの家族の姿を通じて、終末のひとつの幸福が描き出される。
著者独特のやわらかなユーモアが光る傑作連作集。 (「BOOK」データベースより)
「やわらかなユーモア」が光る・・・まさに その通りの小説でした。
家族は大変でしょうが、読者としては暗い気持ちにならずに読めました。
著者・中島さんの力量でしょうね。
「入れ歯をめぐる冒険」という章では・・・
孫の将太がテレビドラマシリーズの「SHERLOCK」(シャーロック)の影響を受け、東昇平が紛失した入れ歯に対する名推理をしますよ。
(シャーロックを演じたベネディクト・カンバーバッチは、ホントに素晴らしい俳優さんだと思います。)
暖冬かと思っていたら5日ほど前から寒くなり、なんと雪が降りました~